最高ランクの御曹司との甘い生活にすっかりハマってます

けいこ

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桜散る前の幸せ

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少し恥ずかしそうにその男性が続けた。


『プロポーズしたいんです。だけど、どんな風にしたらいいか悩んでいて。こんなこと相談したら…ダメですかね。すみません』


申し訳なさそうに頭を下げる男性。


『とんでもございません。お客様、ご宿泊ありがとうございます。もしよろしければ、お客様と彼女様のことをもう少しお聞かせ頂き、お2人に合った設定をご用意出来るよう、私どももご協力させて頂きたいと思いますがいかがでしょうか?』


プロポーズのご提案だ。


前にも1度、お手伝いしたことがある。


その時はほとんど山内さんのアドバイスを頂いてのことだったけど、今度は私も、このお客様の幸せのために頑張ってみたいと思った。


『山内さん、しばらくお願いします』


『わかりました。よろしくお願いします』


私はカウンターを山内チーフに任せ、お客様を応接室に案内した。


長時間の打ち合わせは、他の仕事上、支障が出る。


なるべく早く、なるべく深く、話しを聞き出さなければ。


お客様も最初の緊張が解け、少し安心してくれたのかいろいろと楽しそうに話をしてくれた。


彼女さんのお名前が「さくら」さんということ。


さくらさんの誕生日が明日だということ。


この桜の季節が大好きだということ。


学生時代にコーラス部で知り合ったこと。


必死に数ヶ月仕事を頑張ってお金を貯めて、初めてこのホテルに泊まること。


私は、プロポーズの舞台にこのグレースホテル東京を選んでくれたことに、心からの感謝と喜びを覚えた。


少し背伸びをしましたと照れてるお客様を見てたら、この人の彼女さんはとても幸せだなって…すごく思った。


いろいろ話しているうちに、私の中で強い決意が湧き上がってきたんだ。


「このプロポーズ、何がなんでも絶対に成功させる!』


って。
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