最高ランクの御曹司との甘い生活にすっかりハマってます

けいこ

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総支配人のお願い

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絢斗の顔、とても真剣だった。


きっと、お母様を安心させるためにいっぱい考えたんだろう。


その優しい気持ちには共感する。


だけど、やっぱり…何で私なの?って思うよ。


本当、わけが分からない。


絢斗からの有り得ない申し出に、まだ頭が混乱してる。


『あ、あの、気持ちは良くわかりました。お母様を安心させてあげたいって、優しくて素敵なことだと思います。だけど、あの…』


それ以上聞き出しにくくて、口ごもってしまった。


『何?言って』


『あっ、でも…』


『構わないから、言って』


『あの、なぜ相手が私なんでしょうか?彼女のフリだけだとしても、もっとお金持ちで美人な人がいいと思うんです。私みたいなお金持ちでもない、普通以下の見た目の地味な女じゃなくても…』


私は、必死に言葉を絞り出し疑問をぶつけた。


なのに、絢斗を見たらきょとんとしてる。


『一花?君は、自分のことを普通以下の地味な女だと思ってるのか?』


そんな…


改めて聞かなくても…


総支配人みたいなハイスペック男子と私とでは、全くレベルが違うんだから。


誰が見てもその違いは歴然なんだよ。


何だか、またちょっと悲しくなった。


『そ、そうですよ。私なんて昔から地味な顔がコンプレックスで』


そう半分ヤケになって言った瞬間、体が急に何かに包まれた。


え?


何が起こったの?


体温が直に伝わってきて、体が熱い。


私、今、絢斗に抱きしめられてるんだ。


『一花…』


絢斗の口から私の名前がこぼれ落ちていく。


熱い吐息が私の耳元にかかる。


ダメ…


こんなの…


心臓がキュッとなる。


『それ、本気で言ってるのか?』


『は、離して下さい!お願い、絢斗、離して…』


必死で体を離そうとしたけど、その腕からは逃げられない。


だけど…


離してって言いながらも、反対のことを思ってる自分がいることに気づいた。


お願い、離さないで…って。


『…悪い…急にこんなことして…』


絢斗が謝る。
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