最高ランクの御曹司との甘い生活にすっかりハマってます

総支配人のお願い

4

絢斗の工藤様に対する気持ちが私にはよくわからなかったけど、とにかく、この話はこれで終わりにしようと思った。


『私が先に工藤様の話をしてすみませんでした。あの、絢斗の話って何なんですか？食事してる時からずっと気になってて』


『ああ、そうだな。一花に話したかったのは…』


絢斗は、急に少し改まった感じで続けた。


『実は、この春に母が大病をしてしまった。今は順調に回復して問題はないんだが…』


『お母様が？』


大病なんて、本気で心配になったけど、どんな病気だったのかは聞けなかった。


『ああ。それで、いろいろ考えさせられた。母の口癖が、早く彼女を見つけて結婚して孫の顔を見せて欲しい…なんだ。あまり考えずにいたが、確かに、父や母がいつまでも元気だとは限らない。だから、急に母を安心させてやりたいと思った』


彼女と結婚？


そっか…


やっぱりいるんだね、そういう人が。


そりゃそうだよ、彼女がいない方がおかしいもん。


わかってたはずなのに、いやだ…胸の奥の方が何だかちょっとだけ傷む。


『一花、俺の彼女になって欲しい』


え？


えっ？！


えー！！！


あまりにも突然の言葉。


予想もしてなかった胸を撃ち抜くような衝撃的なフレーズに、腰を抜かしそうになった。


『あぁ、一花には、俺の彼女のフリをしてもらいたい』


え…


か、彼女のフリ？


「彼女になって」も「彼女のフリ」も、もちろんどちらもとんでもないお願いだけど…


でも、心なしか残念な気持ちになったのは、私が一瞬でも変な期待をしちゃったから？


だとしたらめちゃくちゃ恥ずかしい。


絢斗が私なんかに告白するわけないのに。


『嫌か？』