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新しい家族の誕生

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まだ少し肌寒く感じる4月初旬。


つわりも早めに落ち着いてホッとしていた。


『大丈夫?寒くないか?』


『大丈夫です、ありがとうございます』


『10月には俺達の赤ちゃんがこの世にいるんだな。すごく不思議だ』


私のお腹をゆっくりと触りながら蒼真さんが言った。


『本当に…信じられないです。私がママになるなんて』


『俺もパパになるんだな…今から楽しみで仕方ない』


いろんなことに幸せを感じながら、私は…


明日、蒼真さんと婚姻届を出す。


前々から蒼真さんの4月の誕生日に出すことを決めていた。


妊娠中ということもあり、2人で真剣に話し合った結果、式は挙げないことにして、ドレスとタキシードで写真撮影だけすることになった。


数日前にカメラマンさんが撮ってくれた写真の中の私達。


2人とも笑顔で、それを見てたら少しずつだけど…本当に夫婦になったんだって実感した。


白いタキシード姿の蒼真さんは、世界中の誰よりもカッコ良くて…


この人を他の誰にも渡したくないって思った。


永遠に私の側にいて、私のことだけ見ててほしいって。


それが私の本心。


蒼真さんは私の平凡な人生をバラ色に染めて、180度変えてくれた。


これからは…


「白川先生」と「新人看護師」という関係ではなく「夫婦」として長い道のりを一緒に歩むんだ。


そして、10月。


木々の葉っぱが赤や黄色に美しく色づく頃、私達の待望の赤ちゃんが誕生した。


元気な男の子。


七海先生の紹介で入った女医さんが、ずっと私のことを診察して支えてくれて…


さすが七海先生の肝いりの先生だけあって、腕も確かで出産時の声掛けも素晴らしかった。


その女医さんや蒼真さん、周りのみんなのおかげで、私は安心して出産できたんだ。
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