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もうひとつの別れ
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『藍花さん、やっぱり僕はあなたのこと…ずっと想ってます。これからもずっと』
急に歩夢君が言った。
『…』
あまりに突然のことに驚く。
『でも、藍花さんには好きな人がいるから…僕達は恋人にはなれないんですよね』
『…歩夢君、ごめん…』
一呼吸おいてから、私はゆっくりと答えた。
ただそうやって謝ることしかできない。
『いやだな~僕は藍花さんの笑った顔が好きなんです。だからそんなしんみりした顔しないで下さい。好きな人にはずっと笑顔でいてほしいです。あなたが笑顔なら、僕はそれだけで嬉しい。藍花さんが幸せなんだってわかれば…それでいいんです』
そんな…
歩夢君、優し過ぎる。
ダメだよ…
もっと私を嫌なやつだと思ってほしいよ。
七海先生と同じ。
歩夢君にももっと別の世界を見てもらいたい。
いろいろな人に出会えば、きっとまた新しい道が広がるはずだから。
『僕はこれから仕事も頑張っていきます。だけど…あなたを想うことも止めませんから。あなたが誰を好きでも構いません。迷惑だとは思いますけど、もうしばらく…藍花さんを好きでいさせて下さい。今日はそれが言いたくて』
『歩夢君…すごく嬉しいけど、でも約束して。私を想ってるって言ったからって、そこにこだわらないで。新しく好きな人ができた時には必ずその人を大切にしてあげて。私のこと…ちゃんと消して前に進んでね』
『…そんな時がもし来たら…そうしますね。もし、来たら…ですけど。あっ、駅に着きました。あっという間です、早い…ですね』
歩夢君はつぶやくように言って、口角を上げてニコッと笑った。
『ありがとう…明日からもまたよろしくね』
『はい。藍花さんと一緒に働けるだけで僕は幸せです。明日からもまた頑張れます』
歩夢君の笑う顔…なんとなく切なく感じて、なぜか、ちょっと苦しくなった。
急に歩夢君が言った。
『…』
あまりに突然のことに驚く。
『でも、藍花さんには好きな人がいるから…僕達は恋人にはなれないんですよね』
『…歩夢君、ごめん…』
一呼吸おいてから、私はゆっくりと答えた。
ただそうやって謝ることしかできない。
『いやだな~僕は藍花さんの笑った顔が好きなんです。だからそんなしんみりした顔しないで下さい。好きな人にはずっと笑顔でいてほしいです。あなたが笑顔なら、僕はそれだけで嬉しい。藍花さんが幸せなんだってわかれば…それでいいんです』
そんな…
歩夢君、優し過ぎる。
ダメだよ…
もっと私を嫌なやつだと思ってほしいよ。
七海先生と同じ。
歩夢君にももっと別の世界を見てもらいたい。
いろいろな人に出会えば、きっとまた新しい道が広がるはずだから。
『僕はこれから仕事も頑張っていきます。だけど…あなたを想うことも止めませんから。あなたが誰を好きでも構いません。迷惑だとは思いますけど、もうしばらく…藍花さんを好きでいさせて下さい。今日はそれが言いたくて』
『歩夢君…すごく嬉しいけど、でも約束して。私を想ってるって言ったからって、そこにこだわらないで。新しく好きな人ができた時には必ずその人を大切にしてあげて。私のこと…ちゃんと消して前に進んでね』
『…そんな時がもし来たら…そうしますね。もし、来たら…ですけど。あっ、駅に着きました。あっという間です、早い…ですね』
歩夢君はつぶやくように言って、口角を上げてニコッと笑った。
『ありがとう…明日からもまたよろしくね』
『はい。藍花さんと一緒に働けるだけで僕は幸せです。明日からもまた頑張れます』
歩夢君の笑う顔…なんとなく切なく感じて、なぜか、ちょっと苦しくなった。
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