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本当のさよなら
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私達は嫌な静けさをかき消そうと、全く同じタイミングで声を発した。
思わず見つめ合い、お互い苦笑いする。
『すみません、先生からどうぞ』
『あ、ああ。ごめん、じゃあ…藍花ちゃん、体調は大丈夫?元気かな?』
まずは私の体を心配してくれる。
相変わらず優しいな、そういうとこ。
『ありがとうございます。いつもと変わらず元気にしてます』
『そっか、それなら良かった。安心したよ』
一息吐いてから微笑む顔を見たら、本当に心配してくれてたんだってわかった。
『七海先生がいなくなって、病院のみんな寂しがってますよ。患者さん達も、七海先生はいないのか?って。みんなで先生の存在の大きさを改めて感じてます。それでも産婦人科の看護師さん達は、新しい先生と一緒に毎日頑張ってますよ』
『有難いね、僕のことを覚えていてくれて。でも、あの先生は素晴らしい人だから。僕も父も以前から良く知っててね。今回は彼女を是非にと松下院長に紹介させてもらったんだ。腕は確かだし、志も熱いしね』
『そうだったんですね。本当にすごく前向きで良い先生だってお聞きしました。またいろいろお話ししてみたいです』
『彼女、喜ぶよ。藍花ちゃんみたいな可愛い人が話しかけてくれたら』
七海先生…
さっきからずっと私だけを見つめて微笑んでくれてる。
先生のこと、向こうのテーブルに座ってる若い綺麗な女性達がずっと見てるのに…
他の女性だってみんなチラチラ見てるよ。
それなのに…
あんな美人に見られても視線を向けようともしない。
先生、きっと気配は感じてるはずだよね。
普通なら嬉しいし、男性なら嫌な気はしないと思うのに、でも、ずっと…
私だけを見てくれてるんだ。
少しは目を逸らせてもいいのに。
何だか…申し訳ないような複雑な気持ちになるよ。
『あの…七海先生』
私は、今、このタイミングで切り出さなきゃと思った。
思わず見つめ合い、お互い苦笑いする。
『すみません、先生からどうぞ』
『あ、ああ。ごめん、じゃあ…藍花ちゃん、体調は大丈夫?元気かな?』
まずは私の体を心配してくれる。
相変わらず優しいな、そういうとこ。
『ありがとうございます。いつもと変わらず元気にしてます』
『そっか、それなら良かった。安心したよ』
一息吐いてから微笑む顔を見たら、本当に心配してくれてたんだってわかった。
『七海先生がいなくなって、病院のみんな寂しがってますよ。患者さん達も、七海先生はいないのか?って。みんなで先生の存在の大きさを改めて感じてます。それでも産婦人科の看護師さん達は、新しい先生と一緒に毎日頑張ってますよ』
『有難いね、僕のことを覚えていてくれて。でも、あの先生は素晴らしい人だから。僕も父も以前から良く知っててね。今回は彼女を是非にと松下院長に紹介させてもらったんだ。腕は確かだし、志も熱いしね』
『そうだったんですね。本当にすごく前向きで良い先生だってお聞きしました。またいろいろお話ししてみたいです』
『彼女、喜ぶよ。藍花ちゃんみたいな可愛い人が話しかけてくれたら』
七海先生…
さっきからずっと私だけを見つめて微笑んでくれてる。
先生のこと、向こうのテーブルに座ってる若い綺麗な女性達がずっと見てるのに…
他の女性だってみんなチラチラ見てるよ。
それなのに…
あんな美人に見られても視線を向けようともしない。
先生、きっと気配は感じてるはずだよね。
普通なら嬉しいし、男性なら嫌な気はしないと思うのに、でも、ずっと…
私だけを見てくれてるんだ。
少しは目を逸らせてもいいのに。
何だか…申し訳ないような複雑な気持ちになるよ。
『あの…七海先生』
私は、今、このタイミングで切り出さなきゃと思った。
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