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情熱的なあなたと夜明けを迎えて…
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ルーを入れて煮込むと、とたんに良い香りがしだした。
その時、蒼真さんがスっと立ち上がり、私の横に来てお鍋を覗き込んだ。
『あ、あの…まだ出来ませんよ』
『いい匂いだな』
蒼真さんがすぐ隣にいる。
身長差、ちょうど20cm。
腕が…私の肩に触れて、自然に心臓が高鳴る。
この人、本当にいつも病院にいる白川先生?
家にいる時と病院の時との違いにちょっと驚く。
あんまりピリついてないっていうか、もちろんオフタイムなんだから当たり前だけど、それでもやっぱり何だか変な感じだ。
『蒼真さん、本当に中辛で良かったんですか?』
思わず顔を見上げた。
あっ、うわ、この至近距離で目が合ってしまった。
黒に近いアッシュグレーの前髪が下がって、目、鼻、口…全部が私の視界に入る。
こんなのダメ、近過ぎる。
ドキドキがマックスまで到達しそうで、危険回避のため、私は急いで視線を外してカレーを混ぜた。
今の私、ロボットみたいな動きになってない?
もう関節が上手く動かせなくてガチガチになってるよ。
『も、もう少し煮込みますから向こうで待っててもらえますか?』
『ここにいたら…ダメ?』
『だ、ダメです!ダメですよ。早く戻って待っててくださいね』
蒼真さんとの会話の間、ただ鍋だけを一点に見つめてた。
これでもかっていうくらいカレーをかき混ぜて。
その手は…かすかに震えてる。
『そんな真剣な顔して、鍋に穴が開きそうだな』
『えっ…』
今のは…冗談?
蒼真さん、冗談言ったの?
あたふたし過ぎて、何が起こってるのか理解できずにいた。
『パソコンしてるから』
『は、はい、そうしてください。すみません』
蒼真さんはまた椅子に座ってパソコンを使いだした。
ちょっとホッとして胸を撫で下ろす。
そして…
長かったカレー作りがようやく終わりの時を迎えた。
いつもの100倍の気力と体力を使った気がする。
その時、蒼真さんがスっと立ち上がり、私の横に来てお鍋を覗き込んだ。
『あ、あの…まだ出来ませんよ』
『いい匂いだな』
蒼真さんがすぐ隣にいる。
身長差、ちょうど20cm。
腕が…私の肩に触れて、自然に心臓が高鳴る。
この人、本当にいつも病院にいる白川先生?
家にいる時と病院の時との違いにちょっと驚く。
あんまりピリついてないっていうか、もちろんオフタイムなんだから当たり前だけど、それでもやっぱり何だか変な感じだ。
『蒼真さん、本当に中辛で良かったんですか?』
思わず顔を見上げた。
あっ、うわ、この至近距離で目が合ってしまった。
黒に近いアッシュグレーの前髪が下がって、目、鼻、口…全部が私の視界に入る。
こんなのダメ、近過ぎる。
ドキドキがマックスまで到達しそうで、危険回避のため、私は急いで視線を外してカレーを混ぜた。
今の私、ロボットみたいな動きになってない?
もう関節が上手く動かせなくてガチガチになってるよ。
『も、もう少し煮込みますから向こうで待っててもらえますか?』
『ここにいたら…ダメ?』
『だ、ダメです!ダメですよ。早く戻って待っててくださいね』
蒼真さんとの会話の間、ただ鍋だけを一点に見つめてた。
これでもかっていうくらいカレーをかき混ぜて。
その手は…かすかに震えてる。
『そんな真剣な顔して、鍋に穴が開きそうだな』
『えっ…』
今のは…冗談?
蒼真さん、冗談言ったの?
あたふたし過ぎて、何が起こってるのか理解できずにいた。
『パソコンしてるから』
『は、はい、そうしてください。すみません』
蒼真さんはまた椅子に座ってパソコンを使いだした。
ちょっとホッとして胸を撫で下ろす。
そして…
長かったカレー作りがようやく終わりの時を迎えた。
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