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情熱的なあなたと夜明けを迎えて…

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そこから1杯だけお茶を飲んで、ちょっとぎこちなく過ごし、私はキッチンで料理を始めた。


『お腹空いた』


また子どもみたいに言う。


そのギャップに心がくすぐられる。


『キッチンも綺麗ですね』


本当に全然使ってないみたいでピカピカだ。


憧れのアイランドキッチン。


どこを見ても「素敵」としか言いようがなかった。


『カレーでよかったんですよね』


『ああ。手作りのカレー久しぶりだから』


『わかりました。でも…あまり上手じゃないですよ。期待はしないでくださいね』


『食べられれば何でもいい』


何でもいいって…


それなら私じゃなくてもよくない?


何で私を呼んだのか、やっぱり未だに謎だ。


私は、いつものようにリラックスして…というか、むりやり気持ちを落ち着かせてカレーを作り始めた。


手伝うって言ってくれたけど、近くにいられると困るから、蒼真さんには仕事をしてもらうことにした。


蒼真さんは、テーブルの上にあったパソコンを開いて作業を始めた。


椅子に座ってるだけなのに絵になるっていうか、その場所が一瞬でパリのオシャレなカフェに見えるから不思議だ。


それにしても、ブラインドタッチ選手権があったら優勝?っていうくらい打つのが早い。


本当に…この人の才能はいったいどこまで広がるの?


最近、蒼真さんがナースステーションの前で、困っていた外国人の患者さんとペラペラ英語で喋ってたのも目撃したし…


あの時は看護師のみんながその姿に見とれてた。


まあ、私もなんだけど。


英語が話せる人が好きなだけに、思わず「カッコいい」ってつぶやいてしまった。


中川師長に「心の声が漏れてるよ」って突っ込まれたのを思い出す。


ダメダメ、カレー作りに集中しなきゃ。


私は、慌てて目の前に並んだ野菜を切った。


でも、この感じなら、何とか緊張しないで作れそうだ。
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