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あなたの強引な誘いに戸惑って

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その顔に緊張が溶けて一気にホッとする。


だけど、今のは…?


『あの、蒼真さんの部屋って…』


『俺のマンションは知ってるな?ここのすぐ近くの』


患者さんに何かあったらすぐに駆けつけたいからって、近くに住んでるのは病院内でも有名な話だ。


かなり高級で家賃が高そうなマンションだって…たまにみんな興味津々で噂してることがある。


『はい…知ってます』


私は、恐る恐る答えた。


『仕事終わりに来てくれ。料理は何でもいいし、好き嫌いは特にない。冷蔵庫には何もないから買ってきてほしい。調味料はある。いいな』


『いいなって、そんなこと急に言われても困ります!』


『なぜ困るんだ?』


『なぜって…』


『彼氏がいるから?』


か、彼氏!?


そ、そんな淡々と聞かないでほしいよ。


『か、彼氏なんていません。だけど…蒼真さんこそ彼女さんがいたり…するんじゃないんですか?』


私まで流れに任せて聞いてしまった。


『どう思う?』


今度は少し意地悪そうな笑みを浮かべて私を見た。


『そ、それは…きっと素敵な彼女さんがいるんだろうなって思ってます』


こんなにイケメンなんだもん、絶対いるよね。


でも不思議…何だか急に知りたいような知りたくないような変な気持ちになった。


『勝手に想像してたのか?俺のプライベート』


蒼真さんは、長身の腰を曲げて、そのとてつもなく整った顔を私の目の前まで近づけた。


フッとさりげなく良い香りまでして…


『えっ、あ、想像してたっていうか…あの…』


言い訳しようとしたけど、私、確かに想像してた。


改めてそんな風に言われたら恥ずかしくなる。


『蒼真さん、本当に意地悪です』


『…いない』


『…えっ』


『彼女はいない、だから…』


そう言って、また私の耳元で、


『部屋においで』


って囁いた。


熱い吐息と共に流れ込んできたそのセリフは、私にとってはあまりにも刺激が強かった。


破壊力がすご過ぎて、蒼真さんに対して閉ざしていた壁みたいな物が少しだけ崩された気がした。
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