情熱的なあなたに抱かれ私は甘い夢を見る~新人看護師は無敵な外科医にしつけられてます~

けいこ

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あなたの魅力に気づく月の夜

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『わ、わかりました…』


『いい子だ。じゃあ、呼んでみて』


また私を見つめる白川先生。


綺麗な瞳…


吸い込まれそうだよ。


どうしよう、鼓動がまた激しくなる。


でも呼ばなきゃ…


『…そ、そ…』


ダメだ、言えない。


こんな恥ずかしい思い、初めてかも。


絶対、赤面してる。


『どうした?早く言ってくれないか。俺は藍花に、蒼真って呼んで欲しい』


もう、言うしかないよ。


『…そ、蒼真さん』


先生の言葉につられ、意を決して何とか言えた。


なのにすぐ、


『ダメだ、やり直し。俺を見て』


って、ダメ出しが。


そんな…目をつぶってたから言えたのに。


『でも…』


『言い訳はいい。早く』


もう諦めるしかないんだよね。


『蒼真さん』


その自信のない呼び方が、周りの静けさの中で恥ずかしく浮き上がった。


顔から火が吹き出しそうだ。


だけど先生は…そっと腕をのばし、私の頭に手を置いて優しく撫でてくれた。


『よく出来ました。今日は、これでおしまいにしておく』


そして、残りのハンバーガーを全部食べた。


私達はまた土手を歩き、来た道を駅まで戻った。


何だかまだ信じられない。


今日のこのやり取りは全部夢だったのかな?


もしかして私、ベッドの中にいて眠ってるの?


目覚めたら何も無かったことになって、やっぱりまた…白川先生に注意されるの?


ううん、だけど私の頬は温かいよ。


目の前にある先生の髪、体、長い足にも、ちゃんと動きを感じる。


これは、偽物じゃなく現実だよね。


ちゃんと…先生がいる。


2人きりの時間は幻じゃない。


手を伸ばせば、きっと、その背中に触れられるはず。


いろいろ理解は出来ないままだけど、確かに私達は同じ空間にいて同じ時を過ごしたんだ。


明日からはまた、白川先生との仕事が待ってる。


私が歩く足取りは、ついさっきまでとは確実に違ってる。


ほんの少しだけ軽くなった気がして…


ちょっと、嬉しくなった。
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