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after story 家族の絆~龍聖と琴音、龍音~
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「大変お待たせ致しました。今、イヤリングが見つかりました。こちらに届けてもらうので、どうぞ安心なさって下さい」
結局『ホテル リベルテ』のコンシェルジュに届けてくれた人がいたらしく、すぐに見つけることができた。
「ありがとうございます! 本当に…ありがとうございます」
「お役に立てて光栄です。お客様、引き続き『ホテル リベルテ』でごゆっくりおくつろぎ下さい」
「ありがとう。あなたのようなジェントルマンにお会いできて良かったわ。本当に素敵ね。私の主人の次に」
「とても嬉しいです。ありがとうございます。また、いつでもいらして下さい。『ホテル リベルテ』スタッフ一同、お待ちしております」
そのご婦人は、龍音の耳元で『あなたも素敵なジェントルマンでした。本当にありがとう』そう言って、とても満足気に去っていった。
「パパって魔法使いなの? あっという間に大切なものを見つけてお客様を笑顔にしたよね」
興味津々に龍聖君に尋ねる龍音。
「パパは魔法使いじゃない。ただ、全てのお客様を笑顔にしたいだけだよ」
「そっかぁ、ホテルで働くって、みんなを笑顔にできるんだね~」
「そうだよ、龍音。ホテルはみんなを幸せにできる場所なんだ」
「わかった! 僕、ホテルで働く人になる! パパみたいにお客様を笑顔にするんだ~」
その思いに胸が熱くなる。
きっと、龍聖君も同じだろう。
「じゃあ、龍音。バスケットボールの選手はどうするんだ?」
「う~ん、そうだなぁ。じゃあ、どっちも! 僕、パパみたいにカッコいい人になる! だって、パパは僕のヒーローだから」
つまりは…龍音は『パパ』になりたいんだね。
あれ? 龍聖君、泣くの我慢してる?
今、最高に嬉しそうな顔してるよ。
たまらずに、龍音のことを抱きしめる龍聖君。
2人はとてもよく似てる。
顔も、雰囲気も、性格も。
これからどんどん龍聖君顔負けの男の子になって、モテモテで困るんじゃないかな?
私が願った通り、龍聖君に似てくれて良かった。
私達は、最高級レストランの広い個室で食事を始めた。
どれもこれも美味しそうで、目の前の料理にテンションが上がる。
にぎやかに交わされる会話、みんなの顔が本当ににこやかで…
龍音も楽しそうだった。
この子はいつかバスケ部に入って、龍聖君みたいにコートの中を走り回るんだろうな。
ポジションは…どこになるのかな?
きっと、どこになっても龍音らしく頑張っていくだろう。
あの頃の私達みたいに、龍音もいつか、誰かを好きになる。
願わくば、私達のような回り道はしないように…してほしいな。
その時、龍聖君が私にそっと耳打ちしてきた。
誰にもわからないように、さりげなく。
「今夜は離さないよ」って。
まったく、龍聖君は私をドキドキさせる天才だ。
龍音はおじいちゃんと寝るって約束してるから。
だから、今夜は2人きり。
龍聖君は、いったいどれくらい私をとろけさせてくれるのかな…
でも『ホテル リベルテ』での熱い夜は、まだしばらくおあずけだよ。
今はもう少しだけ、美味しい料理と会話を家族みんなで楽しんで…
そして…それから…
私達の幸せな時間は、まだまだ続いてく。
こんな風に、ずっと、ずっと。
結局『ホテル リベルテ』のコンシェルジュに届けてくれた人がいたらしく、すぐに見つけることができた。
「ありがとうございます! 本当に…ありがとうございます」
「お役に立てて光栄です。お客様、引き続き『ホテル リベルテ』でごゆっくりおくつろぎ下さい」
「ありがとう。あなたのようなジェントルマンにお会いできて良かったわ。本当に素敵ね。私の主人の次に」
「とても嬉しいです。ありがとうございます。また、いつでもいらして下さい。『ホテル リベルテ』スタッフ一同、お待ちしております」
そのご婦人は、龍音の耳元で『あなたも素敵なジェントルマンでした。本当にありがとう』そう言って、とても満足気に去っていった。
「パパって魔法使いなの? あっという間に大切なものを見つけてお客様を笑顔にしたよね」
興味津々に龍聖君に尋ねる龍音。
「パパは魔法使いじゃない。ただ、全てのお客様を笑顔にしたいだけだよ」
「そっかぁ、ホテルで働くって、みんなを笑顔にできるんだね~」
「そうだよ、龍音。ホテルはみんなを幸せにできる場所なんだ」
「わかった! 僕、ホテルで働く人になる! パパみたいにお客様を笑顔にするんだ~」
その思いに胸が熱くなる。
きっと、龍聖君も同じだろう。
「じゃあ、龍音。バスケットボールの選手はどうするんだ?」
「う~ん、そうだなぁ。じゃあ、どっちも! 僕、パパみたいにカッコいい人になる! だって、パパは僕のヒーローだから」
つまりは…龍音は『パパ』になりたいんだね。
あれ? 龍聖君、泣くの我慢してる?
今、最高に嬉しそうな顔してるよ。
たまらずに、龍音のことを抱きしめる龍聖君。
2人はとてもよく似てる。
顔も、雰囲気も、性格も。
これからどんどん龍聖君顔負けの男の子になって、モテモテで困るんじゃないかな?
私が願った通り、龍聖君に似てくれて良かった。
私達は、最高級レストランの広い個室で食事を始めた。
どれもこれも美味しそうで、目の前の料理にテンションが上がる。
にぎやかに交わされる会話、みんなの顔が本当ににこやかで…
龍音も楽しそうだった。
この子はいつかバスケ部に入って、龍聖君みたいにコートの中を走り回るんだろうな。
ポジションは…どこになるのかな?
きっと、どこになっても龍音らしく頑張っていくだろう。
あの頃の私達みたいに、龍音もいつか、誰かを好きになる。
願わくば、私達のような回り道はしないように…してほしいな。
その時、龍聖君が私にそっと耳打ちしてきた。
誰にもわからないように、さりげなく。
「今夜は離さないよ」って。
まったく、龍聖君は私をドキドキさせる天才だ。
龍音はおじいちゃんと寝るって約束してるから。
だから、今夜は2人きり。
龍聖君は、いったいどれくらい私をとろけさせてくれるのかな…
でも『ホテル リベルテ』での熱い夜は、まだしばらくおあずけだよ。
今はもう少しだけ、美味しい料理と会話を家族みんなで楽しんで…
そして…それから…
私達の幸せな時間は、まだまだ続いてく。
こんな風に、ずっと、ずっと。
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