103 / 152
世界で1番大切なあなた
4
しおりを挟む
「好きな人がもし、いなくなったらって…僕にも想像はできる。今の琴音ちゃんの苦しみ、すごくわかるつもりだよ。でも、だからこそ、絶対に大丈夫だって信じていよう。マイナスのイメージを抱くより、プラスの希望を抱こうよ。君は…鳳条 琴音。今、君の旦那さんは琴音ちゃんに会うために必死に戦ってるんだから」
その瞬間、心の底から熱いものがこみあがった。
そうだよ、希望を持って龍聖君と一緒に乗り越えないと…
溢れ出た涙は止められないけど、私がしっかりしなきゃって、自分を奮い立たたせることができた。
私は『鳳条 龍聖』の妻なんだから。
旦那様の帰りを待つのが妻の役目。
『ただいま』って…
笑顔で帰ってきてくれる龍聖君を、私がちゃんと元気に迎えなくちゃ。
「綾井店長、ありがとう…ございます。店長がいてくれて本当に良かったです。私、龍聖君に会いたいです」
「ああ、必ず会える。だから、あと少し、待ってあげよう」
それから少しして、ようやく手術室のランプが消えた。
一瞬、ドキッとした。
奥から出てきて、こちらに近づいてくる先生。
足音がどんどん大きくなる。
そして…私の目の前で止まった。
「御家族の方ですか?」
思わず息を飲む。
「は、はい、そうです」
胸が潰れそうになるくらいドキドキしながら先生の第一声を待つ。
数秒間がとても長い。
「…旦那さんは…」
息が止まり、唇を噛み締めた。
「もう大丈夫ですよ。心配ありません」
先生の言葉を聞いた瞬間、張り詰めていた糸がプツンと切れた気がした。
一気にガチガチになっていた体中の力が抜ける。
と、同時に溢れ出す熱い涙。
「あ、あ、ありがとうございます! 先生、本当にありがとうございます」
龍聖君…
龍聖…君…
本当に…良かった…
よく…頑張ったね…
その瞬間、心の底から熱いものがこみあがった。
そうだよ、希望を持って龍聖君と一緒に乗り越えないと…
溢れ出た涙は止められないけど、私がしっかりしなきゃって、自分を奮い立たたせることができた。
私は『鳳条 龍聖』の妻なんだから。
旦那様の帰りを待つのが妻の役目。
『ただいま』って…
笑顔で帰ってきてくれる龍聖君を、私がちゃんと元気に迎えなくちゃ。
「綾井店長、ありがとう…ございます。店長がいてくれて本当に良かったです。私、龍聖君に会いたいです」
「ああ、必ず会える。だから、あと少し、待ってあげよう」
それから少しして、ようやく手術室のランプが消えた。
一瞬、ドキッとした。
奥から出てきて、こちらに近づいてくる先生。
足音がどんどん大きくなる。
そして…私の目の前で止まった。
「御家族の方ですか?」
思わず息を飲む。
「は、はい、そうです」
胸が潰れそうになるくらいドキドキしながら先生の第一声を待つ。
数秒間がとても長い。
「…旦那さんは…」
息が止まり、唇を噛み締めた。
「もう大丈夫ですよ。心配ありません」
先生の言葉を聞いた瞬間、張り詰めていた糸がプツンと切れた気がした。
一気にガチガチになっていた体中の力が抜ける。
と、同時に溢れ出す熱い涙。
「あ、あ、ありがとうございます! 先生、本当にありがとうございます」
龍聖君…
龍聖…君…
本当に…良かった…
よく…頑張ったね…
0
お気に入りに追加
137
あなたにおすすめの小説
シングルマザーになったら執着されています。
金柑乃実
恋愛
佐山咲良はアメリカで勉強する日本人。
同じ大学で学ぶ2歳上の先輩、神川拓海に出会い、恋に落ちる。
初めての大好きな人に、芽生えた大切な命。
幸せに浸る彼女の元に現れたのは、神川拓海の母親だった。
彼女の言葉により、咲良は大好きな人のもとを去ることを決意する。
新たに出会う人々と愛娘に支えられ、彼女は成長していく。
しかし彼は、諦めてはいなかった。
冷血弁護士と契約結婚したら、極上の溺愛を注がれています
朱音ゆうひ
恋愛
恋人に浮気された果絵は、弁護士・颯斗に契約結婚を持ちかけられる。
颯斗は美男子で超ハイスペックだが、冷血弁護士と呼ばれている。
結婚してみると超一方的な溺愛が始まり……
「俺は君のことを愛すが、愛されなくても構わない」
冷血サイコパス弁護士x健気ワーキング大人女子が契約結婚を元に両片想いになり、最終的に両想いになるストーリーです。
別サイトにも投稿しています(https://www.berrys-cafe.jp/book/n1726839)
私の心の薬箱~痛む胸を治してくれたのは、鬼畜上司のわかりづらい溺愛でした~
景華
恋愛
顔いっぱいの眼鏡をかけ、地味で自身のない水無瀬海月(みなせみつき)は、部署内でも浮いた存在だった。
そんな中初めてできた彼氏──村上優悟(むらかみゆうご)に、海月は束の間の幸せを感じるも、それは罰ゲームで告白したという残酷なもの。
真実を知り絶望する海月を叱咤激励し支えたのは、部署の鬼主任、和泉雪兎(いずみゆきと)だった。
彼に支えられながら、海月は自分の人生を大切に、自分を変えていこうと決意する。
自己肯定感が低いけれど芯の強い海月と、わかりづらい溺愛で彼女をずっと支えてきた雪兎。
じれながらも二人の恋が動き出す──。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる