90 / 152
好きだからこそ~俊哉side~
1
しおりを挟む
「俊哉さん」
「あなたは…」
仕事が一段落し、店を出たところに見覚えのある派手な女性が立っていた。
「少しお話できます?」
「あっ、ええ」
「喉が渇いてるの、お茶したいわ」
「わかりました。近くのレストランに行きましょう」
ドアをあけると、躊躇なく僕の車に乗り込んだその女性。
桜木 琴音ちゃんのお姉さん。
確か、涼香さんだったか。
いったい僕に何の用なのか。
あれから琴音ちゃんとは深い話はできていない、もしかして涼香さんから彼女について何か聞けるかも知れない…その思いだけでつい誘いを受けてしまった。
「ああ、美味しいわ。やっぱりビールが最高ですね」
レストランに入って、すぐにビールを注文し、一気に飲み干した後、
「もう1杯頼んでいいかしら? あと、お腹も少し空いてるの」
と、メニューを見始めた。
「どうぞ」
僕はそう言いながら、早く琴音ちゃんの話を聞きたい…と心の中でつぶやいた。
「ねえ、俊哉さん。あなたは琴音のことどう思います?」
注文を済ませた涼香さんからの突然の質問。
「い、いきなり何です?」
「嫌いですか?」
「き、嫌い…とか好きとか言われても、僕は彼女の上司ですから」
もっともらしいことを言って、自分の気持ちをごまかそうとした。
「上司と部下だから清い関係だとでも言いたいんですか? 世間ではその方程式は成り立たないんですよ」
ドキッとさせるような涼しい目。
その眼力に圧倒されてしまう。
「お姉さん。本当に何がいいたいんですか?」
「涼香で結構よ。お姉さんなんて、本当は呼ばれたくないの」
「では…涼香さん。琴音ちゃんのことを僕がどう思っていても、今さら関係ないんです。彼女は、鳳条グループの御曹司と結婚したんですから」
そう、もう…どうにもならない。
琴音ちゃんは人妻なんだから。
今、抑えられない自分の気持ちと必死に戦っているところだ。
「あなたは…」
仕事が一段落し、店を出たところに見覚えのある派手な女性が立っていた。
「少しお話できます?」
「あっ、ええ」
「喉が渇いてるの、お茶したいわ」
「わかりました。近くのレストランに行きましょう」
ドアをあけると、躊躇なく僕の車に乗り込んだその女性。
桜木 琴音ちゃんのお姉さん。
確か、涼香さんだったか。
いったい僕に何の用なのか。
あれから琴音ちゃんとは深い話はできていない、もしかして涼香さんから彼女について何か聞けるかも知れない…その思いだけでつい誘いを受けてしまった。
「ああ、美味しいわ。やっぱりビールが最高ですね」
レストランに入って、すぐにビールを注文し、一気に飲み干した後、
「もう1杯頼んでいいかしら? あと、お腹も少し空いてるの」
と、メニューを見始めた。
「どうぞ」
僕はそう言いながら、早く琴音ちゃんの話を聞きたい…と心の中でつぶやいた。
「ねえ、俊哉さん。あなたは琴音のことどう思います?」
注文を済ませた涼香さんからの突然の質問。
「い、いきなり何です?」
「嫌いですか?」
「き、嫌い…とか好きとか言われても、僕は彼女の上司ですから」
もっともらしいことを言って、自分の気持ちをごまかそうとした。
「上司と部下だから清い関係だとでも言いたいんですか? 世間ではその方程式は成り立たないんですよ」
ドキッとさせるような涼しい目。
その眼力に圧倒されてしまう。
「お姉さん。本当に何がいいたいんですか?」
「涼香で結構よ。お姉さんなんて、本当は呼ばれたくないの」
「では…涼香さん。琴音ちゃんのことを僕がどう思っていても、今さら関係ないんです。彼女は、鳳条グループの御曹司と結婚したんですから」
そう、もう…どうにもならない。
琴音ちゃんは人妻なんだから。
今、抑えられない自分の気持ちと必死に戦っているところだ。
0
お気に入りに追加
137
あなたにおすすめの小説
シングルマザーになったら執着されています。
金柑乃実
恋愛
佐山咲良はアメリカで勉強する日本人。
同じ大学で学ぶ2歳上の先輩、神川拓海に出会い、恋に落ちる。
初めての大好きな人に、芽生えた大切な命。
幸せに浸る彼女の元に現れたのは、神川拓海の母親だった。
彼女の言葉により、咲良は大好きな人のもとを去ることを決意する。
新たに出会う人々と愛娘に支えられ、彼女は成長していく。
しかし彼は、諦めてはいなかった。
偽りの花婿は花嫁に真の愛を誓う
霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
「このまま中止するか、俺を代理にして式を挙げるか」
結婚式当日。
大幅に遅れに遅れてやってきた花婿は……知らない男でした。
彼曰く、本来の花婿はついさっき、結婚詐欺で逮捕。
決断を迫られた私は、見ず知らずの彼と結婚式を挙げることに。
……そこまではまあよかった、が。
「李亜、俺のものになれ」
結婚式費用と引き換えに、彼に買われた……。
咲乃李亜 28
FoSCompany営業統括部 営業職に就いていたキャリアウーマン
寿退社したものの、結婚詐欺に遭って一文無し
仕事の面では優秀
けれどそのせいで冷たく見られがち
見た目が地味すぎて老けて見られる
自分のことには引っ込み思案
×
御津川慧護 34
世界に名だたるMITSUGAWA警備の若き社長
顔、いい
背も高い
ただし、性格はGoing My Way
猪突猛進、狙った獲物は逃がさない
初夜からはじまる慧護との関係に、李亜は落ちるのか……!?
日給10万の結婚〜性悪男の嫁になりました〜
橘しづき
恋愛
服部舞香は弟と二人で暮らす二十五歳の看護師だ。両親は共に蒸発している。弟の進学費用のために働き、貧乏生活をしながら貯蓄を頑張っていた。 そんなある日、付き合っていた彼氏には二股掛けられていたことが判明し振られる。意気消沈しながら帰宅すれば、身に覚えのない借金を回収しにガラの悪い男たちが居座っていた。どうやら、蒸発した父親が借金を作ったらしかった。
その額、三千万。
到底払えそうにない額に、身を売ることを決意した途端、見知らぬ男が現れ借金の肩代わりを申し出る。
だがその男は、とんでもない仕事を舞香に提案してきて……
冷血弁護士と契約結婚したら、極上の溺愛を注がれています
朱音ゆうひ
恋愛
恋人に浮気された果絵は、弁護士・颯斗に契約結婚を持ちかけられる。
颯斗は美男子で超ハイスペックだが、冷血弁護士と呼ばれている。
結婚してみると超一方的な溺愛が始まり……
「俺は君のことを愛すが、愛されなくても構わない」
冷血サイコパス弁護士x健気ワーキング大人女子が契約結婚を元に両片想いになり、最終的に両想いになるストーリーです。
別サイトにも投稿しています(https://www.berrys-cafe.jp/book/n1726839)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる