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姉妹だからこそ
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今日は朝からずっと雨。
1日中、雨予報だ。
さすがにこの土砂降りでは来ないだろう。
「琴音」
ドアを叩く音と共に聞こえた声。
嘘、まさか来たの?
案の定、インターフォンには涼香姉さんの顔が。
仕方なくドアを開けると、転がり込むような勢いで飛び込んできた。
「もう、何なのよ、この雨。バスタオル貸して」
「ちょっ、ちょっと待ってて」
慌ててバスタオルを取りにいくと、もう部屋の中に入ってきてた。
私の手からバスタオルを奪い取ると、ショートの髪をバサバサと拭いた。
「こんな雨の中、どうしたの? 何かあったの? 仕事は休みなの?」
「嫌だ、このスカート3万もしたのにこんなに濡れちゃって。そうだ、シャワー浴びさせて。そのうち乾くでしょ」
「シャワー? でも、帰る時にまた濡れちゃうわよ」
「帰りはタクシーで帰るから。そうだ、シャワーの間にピザを注文してちょうだい。そうね、シーフード以外なら何でもいいわ。2枚お願い」
涼香姉さんは、床が汚れることなんてお構い無しにそのまま浴室に向かった。
私の休日…
今日はやりたいことがたくさんあったのに。
録り溜めたビデオを観たり、クッキーを焼いたり、ゆっくり好きなことをして過ごすつもりでいた。
本当に…私の都合は何も気にしてくれないんだね。
涼香姉さんは、いつも何がしたいの?
私に会いたいわけじゃないでしょ?
シャワーを浴び、ドライヤーで髪を乾かし、私の新品のパジャマに袖を通した姉さん。
「何これ?ダサくない?」
「この前パパのパジャマを買ったついでに私のも買ったの」
「あそこの店、こんなダサいの置いてないでしょ?」
ダサいダサいって…
「そりゃそうだよ。それはネット通販だよ。自分のパジャマまで贅沢はできないし」
「それにしてもこれは無いわ。いくらだったの?」
「い、いいじゃない、値段なんて別に」
その時、インターフォンが鳴った。
ピザが届いたんだ。
1980円のパジャマの話題が途切れてホッとした。
1日中、雨予報だ。
さすがにこの土砂降りでは来ないだろう。
「琴音」
ドアを叩く音と共に聞こえた声。
嘘、まさか来たの?
案の定、インターフォンには涼香姉さんの顔が。
仕方なくドアを開けると、転がり込むような勢いで飛び込んできた。
「もう、何なのよ、この雨。バスタオル貸して」
「ちょっ、ちょっと待ってて」
慌ててバスタオルを取りにいくと、もう部屋の中に入ってきてた。
私の手からバスタオルを奪い取ると、ショートの髪をバサバサと拭いた。
「こんな雨の中、どうしたの? 何かあったの? 仕事は休みなの?」
「嫌だ、このスカート3万もしたのにこんなに濡れちゃって。そうだ、シャワー浴びさせて。そのうち乾くでしょ」
「シャワー? でも、帰る時にまた濡れちゃうわよ」
「帰りはタクシーで帰るから。そうだ、シャワーの間にピザを注文してちょうだい。そうね、シーフード以外なら何でもいいわ。2枚お願い」
涼香姉さんは、床が汚れることなんてお構い無しにそのまま浴室に向かった。
私の休日…
今日はやりたいことがたくさんあったのに。
録り溜めたビデオを観たり、クッキーを焼いたり、ゆっくり好きなことをして過ごすつもりでいた。
本当に…私の都合は何も気にしてくれないんだね。
涼香姉さんは、いつも何がしたいの?
私に会いたいわけじゃないでしょ?
シャワーを浴び、ドライヤーで髪を乾かし、私の新品のパジャマに袖を通した姉さん。
「何これ?ダサくない?」
「この前パパのパジャマを買ったついでに私のも買ったの」
「あそこの店、こんなダサいの置いてないでしょ?」
ダサいダサいって…
「そりゃそうだよ。それはネット通販だよ。自分のパジャマまで贅沢はできないし」
「それにしてもこれは無いわ。いくらだったの?」
「い、いいじゃない、値段なんて別に」
その時、インターフォンが鳴った。
ピザが届いたんだ。
1980円のパジャマの話題が途切れてホッとした。
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