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未来を決めた日
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「愛莉……嬉しいよ」
瑞は、そう言って私を抱きしめた。
「む、向こうに人がいるから恥ずかしいよ。離して」
「もう少しだけこうしてたい。愛莉が俺を選んでくれた瞬間を噛み締めたい」
瑞……
「離して」なんて言ったけど、そうやって周りを気にする以上に、私も、瑞といられる嬉しさの方が勝っていた。
「愛莉、左手出して」
耳元で瑞が囁く。
瑞は、そっと差し出した私の左手に、小さな箱から取り出した可愛い指輪をはめてくれた。
薬指に、ゆっくりと……
「瑞……嬉しい」
「似合う、すごく」
「本当に……ありがとう。何だか胸がいっぱいだよ」
「指輪のサイズ変わってなかったんだな。お前が高校生の頃に言ってたサイズで作った。太ってて、サイズが変わってなくて良かった」
意地悪そうに微笑む瑞。
「ひど~い、太ってないよ……って、本当はちょっとだけ太ったけど。でも、ちょっとだけだよ」
2人で笑ってるこの感じ、やっぱり好き。
「瑞、私……幸せだよ」
「俺も。ずっと一緒にいような」
「うん、ずっと一緒に……いたい」
キャンドルの光は、あと数日間、このまま輝き続ける。
その美しい輝きは、訪れる全ての人々を癒してくれるだろう。
私達をそうしてくれたように――
プロポーズの余韻を残したまま、しばらくその光景を眺め、名残惜しむように、私達はそこから近くの温泉旅館へと向かった。
***
着いてすぐに荷物を置き、源泉掛け流しの温泉に入った。少し体が冷えていたから、ポカポカして最高に気持ち良かった。
十分温まってから部屋に戻ると、瑞が待っていてくれた。
「温泉、露天風呂もあったし、気持ち良かったね」
「ああ、そうだな……」
瑞は、そう言って私を抱きしめた。
「む、向こうに人がいるから恥ずかしいよ。離して」
「もう少しだけこうしてたい。愛莉が俺を選んでくれた瞬間を噛み締めたい」
瑞……
「離して」なんて言ったけど、そうやって周りを気にする以上に、私も、瑞といられる嬉しさの方が勝っていた。
「愛莉、左手出して」
耳元で瑞が囁く。
瑞は、そっと差し出した私の左手に、小さな箱から取り出した可愛い指輪をはめてくれた。
薬指に、ゆっくりと……
「瑞……嬉しい」
「似合う、すごく」
「本当に……ありがとう。何だか胸がいっぱいだよ」
「指輪のサイズ変わってなかったんだな。お前が高校生の頃に言ってたサイズで作った。太ってて、サイズが変わってなくて良かった」
意地悪そうに微笑む瑞。
「ひど~い、太ってないよ……って、本当はちょっとだけ太ったけど。でも、ちょっとだけだよ」
2人で笑ってるこの感じ、やっぱり好き。
「瑞、私……幸せだよ」
「俺も。ずっと一緒にいような」
「うん、ずっと一緒に……いたい」
キャンドルの光は、あと数日間、このまま輝き続ける。
その美しい輝きは、訪れる全ての人々を癒してくれるだろう。
私達をそうしてくれたように――
プロポーズの余韻を残したまま、しばらくその光景を眺め、名残惜しむように、私達はそこから近くの温泉旅館へと向かった。
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着いてすぐに荷物を置き、源泉掛け流しの温泉に入った。少し体が冷えていたから、ポカポカして最高に気持ち良かった。
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「温泉、露天風呂もあったし、気持ち良かったね」
「ああ、そうだな……」
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