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after story ~常磐家の幸せ~
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小学2年の結仁は、すっかり水泳に夢中だ。
幼稚園の頃からTOKIWAスイミングスクールに通って、今ではかなり上達してる。さすが理仁さんの息子だと、周りがみんな褒めてくれて。
結仁の将来の夢は――水泳のオリンピック選手。
早々と夢が決まって嬉しいけど、あまりキツい練習は可哀想な気もしてる。
今日は、久しぶりに理仁さんが結仁の練習を見てくれるらしくて、結仁は朝からワクワクしてた。
理仁さんはインストラクターを辞めて、副社長として毎日忙しくしてるけど、たまにこうしてTOKIWAスイミングスクールにも顔を出している。
小さな子ども達のクラス。
そこに結仁の姿もあった。
上の見学シートに座り、大きな窓ガラス越しに下を見下ろす。
1番前のシートは、横一列全て、お母さん達でギチギチに詰まっている。
今日は理仁さんが来るってお知らせがあったから、いつもなら後ろに座って携帯を見ていたり、おしゃべりしてる人達も、みんな前に殺到してた。
「うわぁ、常磐先生。久しぶりに見たけど、素敵~」
「副社長様の水着姿、あの腹筋ヤバ過ぎるんですけど」
「きゃ~理仁様、めちゃくちゃかっこいい」
口々にこぼれる理仁さんへの賞賛の言葉。
私が妻です……なんて、絶対言えない雰囲気だ。
だけど、理仁さんが褒められてるとやっぱり嬉しい。
結仁は、いつもより楽しそうに笑顔でレッスンを受けてる。
一生、父親がいない人生だと思っていたのに、今、結仁にはこんな近くにパパがいる。
一生懸命な2人を見ていたら、何だか胸が熱くなった。
それにしても、あれだけ忙しい理仁さんの体はいつだって引き締まってて、衰えを知らない。
だから、私も、理仁さんに負けないように家で運動したり、ヨガをしたり、自分なりに努力してる。
いつまでも女として見ていてもらいたいから。
その日の夜は、久しぶりに3人で食事に出かけた。
相変わらず周りは理仁さんの美しさに驚嘆しているけど、こういうのもずいぶん慣れてきた。
自分とは見た目の差があり過ぎるってわかってるけど、もう気にしない。
「結仁。すごく上手くなったな」
「ありがとう。僕、オリンピック選手になれるかな?」
「ああ。もっと上手くなったら、涼平に指導してもらおう。涼平先生の言う通りに頑張ることができたら、結仁は必ず良い選手になれる」
「うん、頑張るよ。早く涼平先生に教えてもらいたいな~」
「そうね。結仁が頑張ってるから、ママも頑張らなくちゃね」
「そろそろだな。いよいよ双葉の夢が実現する」
「はい。本当にありがとうございます。理仁さんのおかげです」
「俺じゃない、双葉の頑張りだ。あんなに美味しいものが作れるんだ、店は必ず成功する」
結仁が高学年になったら、ランチのお店を開きたいと話したら、理仁さんは快く賛成してくれた。
資金の心配は一切いらないと言ってくれ、どれだけ心強かったか。
すぐに自宅マンションからすぐ近くの土地を購入し、オシャレなランチのお店を建ててくれた。
それが、私への誕生日プレゼントだって。
そんな大き過ぎる誕生日プレゼント、予想外でびっくりしたけど、理仁さんの優しさに、嬉しくて涙が止まらなかった。
「私、頑張ります。美味しいご飯を作って、みんなに食べてもらって……それでほんの少しでも『幸せ』を感じてもらえたら」
「俺と結仁は毎日幸せだ。な、結仁」
「うん。ママのご飯は最高だよ」
いつまでも子どもだと思っていた結仁ももうすぐ3年生。
あっという間に大きくなって……
だんだん理仁さんに似てくるのがすごく嬉しい。
朝起きて2人がいてくれることを幸せだと感じ、夜に理仁さんに抱かれてまた幸せだと感じる。
1日中、幸せで満たされた毎日に、私は感謝でいっぱいになる。
世界で1番幸せな私。
このままずっと家族3人、何があっても離れずに、これからの人生を仲良く歩んでいきたい。
理仁さん、結仁、そして――
今まで私を支えてくれたみんな、本当にありがとう。
幼稚園の頃からTOKIWAスイミングスクールに通って、今ではかなり上達してる。さすが理仁さんの息子だと、周りがみんな褒めてくれて。
結仁の将来の夢は――水泳のオリンピック選手。
早々と夢が決まって嬉しいけど、あまりキツい練習は可哀想な気もしてる。
今日は、久しぶりに理仁さんが結仁の練習を見てくれるらしくて、結仁は朝からワクワクしてた。
理仁さんはインストラクターを辞めて、副社長として毎日忙しくしてるけど、たまにこうしてTOKIWAスイミングスクールにも顔を出している。
小さな子ども達のクラス。
そこに結仁の姿もあった。
上の見学シートに座り、大きな窓ガラス越しに下を見下ろす。
1番前のシートは、横一列全て、お母さん達でギチギチに詰まっている。
今日は理仁さんが来るってお知らせがあったから、いつもなら後ろに座って携帯を見ていたり、おしゃべりしてる人達も、みんな前に殺到してた。
「うわぁ、常磐先生。久しぶりに見たけど、素敵~」
「副社長様の水着姿、あの腹筋ヤバ過ぎるんですけど」
「きゃ~理仁様、めちゃくちゃかっこいい」
口々にこぼれる理仁さんへの賞賛の言葉。
私が妻です……なんて、絶対言えない雰囲気だ。
だけど、理仁さんが褒められてるとやっぱり嬉しい。
結仁は、いつもより楽しそうに笑顔でレッスンを受けてる。
一生、父親がいない人生だと思っていたのに、今、結仁にはこんな近くにパパがいる。
一生懸命な2人を見ていたら、何だか胸が熱くなった。
それにしても、あれだけ忙しい理仁さんの体はいつだって引き締まってて、衰えを知らない。
だから、私も、理仁さんに負けないように家で運動したり、ヨガをしたり、自分なりに努力してる。
いつまでも女として見ていてもらいたいから。
その日の夜は、久しぶりに3人で食事に出かけた。
相変わらず周りは理仁さんの美しさに驚嘆しているけど、こういうのもずいぶん慣れてきた。
自分とは見た目の差があり過ぎるってわかってるけど、もう気にしない。
「結仁。すごく上手くなったな」
「ありがとう。僕、オリンピック選手になれるかな?」
「ああ。もっと上手くなったら、涼平に指導してもらおう。涼平先生の言う通りに頑張ることができたら、結仁は必ず良い選手になれる」
「うん、頑張るよ。早く涼平先生に教えてもらいたいな~」
「そうね。結仁が頑張ってるから、ママも頑張らなくちゃね」
「そろそろだな。いよいよ双葉の夢が実現する」
「はい。本当にありがとうございます。理仁さんのおかげです」
「俺じゃない、双葉の頑張りだ。あんなに美味しいものが作れるんだ、店は必ず成功する」
結仁が高学年になったら、ランチのお店を開きたいと話したら、理仁さんは快く賛成してくれた。
資金の心配は一切いらないと言ってくれ、どれだけ心強かったか。
すぐに自宅マンションからすぐ近くの土地を購入し、オシャレなランチのお店を建ててくれた。
それが、私への誕生日プレゼントだって。
そんな大き過ぎる誕生日プレゼント、予想外でびっくりしたけど、理仁さんの優しさに、嬉しくて涙が止まらなかった。
「私、頑張ります。美味しいご飯を作って、みんなに食べてもらって……それでほんの少しでも『幸せ』を感じてもらえたら」
「俺と結仁は毎日幸せだ。な、結仁」
「うん。ママのご飯は最高だよ」
いつまでも子どもだと思っていた結仁ももうすぐ3年生。
あっという間に大きくなって……
だんだん理仁さんに似てくるのがすごく嬉しい。
朝起きて2人がいてくれることを幸せだと感じ、夜に理仁さんに抱かれてまた幸せだと感じる。
1日中、幸せで満たされた毎日に、私は感謝でいっぱいになる。
世界で1番幸せな私。
このままずっと家族3人、何があっても離れずに、これからの人生を仲良く歩んでいきたい。
理仁さん、結仁、そして――
今まで私を支えてくれたみんな、本当にありがとう。
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