59 / 99
再会に胸を震わせて~涼平side~
2
しおりを挟む
「はい、社長に勧められて。でも、本当に久しぶりですね。あの時、すぐに辞められたから心配してました」
「すみません、あの時は勝手に辞めてしまって。涼平先生にはよくしてもらったのに……」
「いえ、そんな。とにかくお元気そうで良かったです。あの、双葉さん。この後、少しお時間もらえませんか? 伝えたいことがあって」
「あ、ええ……。わかりました」
いきなりの誘いに引かれてしまったかも知れない。
かなり強引だとは自分でもわかってる。
でも、どうしてもこのチャンスを逃したくはなかった。
小刻みに震える手。
上手く箸が持てない。
双葉さんに会えた驚きと喜びで、「灯り」の美味しい食事を楽しむ余裕は完全に消えてしまった。
食事を終え、双葉さんと2人、空いていた奥のテーブルに座った。
「すみません。せっかくゆっくりされてるのに」
「いえいえ。私はここにはよく来てるので、大丈夫ですよ」
ニコッと笑う顔、以前と全然変わってない。
いや、さらに素敵に思える。
とにかく僕は、初めて会った時からずっと、この笑顔が大好きなんだ。
「……あれからスクールには行かれてないんですか?」
「はい……。実は、私、あの後すぐに妊娠がわかって。出産や子育てで、仕事もしてるので忙しくて」
「妊娠!? そ、そうだったんですか……」
あまりにも予想外の答えに、あからさまに表情が歪む。
「私は……シングルマザーなんです。色々あって……。でも、今は子どもがいてくれるので幸せです。涼平先生は? お元気でしたか?」
まだ動揺が治まらないけど、双葉さんに質問されたことを答えるため、必死で冷静を装った。
「あ、相変わらずですよ。毎日スクールと家の往復で。あちこちから彼女を紹介したいと言ってもらえたんですけどね。困ってるんです、なかなか気持ちが前を向いてくれなくて」
「すみません、あの時は勝手に辞めてしまって。涼平先生にはよくしてもらったのに……」
「いえ、そんな。とにかくお元気そうで良かったです。あの、双葉さん。この後、少しお時間もらえませんか? 伝えたいことがあって」
「あ、ええ……。わかりました」
いきなりの誘いに引かれてしまったかも知れない。
かなり強引だとは自分でもわかってる。
でも、どうしてもこのチャンスを逃したくはなかった。
小刻みに震える手。
上手く箸が持てない。
双葉さんに会えた驚きと喜びで、「灯り」の美味しい食事を楽しむ余裕は完全に消えてしまった。
食事を終え、双葉さんと2人、空いていた奥のテーブルに座った。
「すみません。せっかくゆっくりされてるのに」
「いえいえ。私はここにはよく来てるので、大丈夫ですよ」
ニコッと笑う顔、以前と全然変わってない。
いや、さらに素敵に思える。
とにかく僕は、初めて会った時からずっと、この笑顔が大好きなんだ。
「……あれからスクールには行かれてないんですか?」
「はい……。実は、私、あの後すぐに妊娠がわかって。出産や子育てで、仕事もしてるので忙しくて」
「妊娠!? そ、そうだったんですか……」
あまりにも予想外の答えに、あからさまに表情が歪む。
「私は……シングルマザーなんです。色々あって……。でも、今は子どもがいてくれるので幸せです。涼平先生は? お元気でしたか?」
まだ動揺が治まらないけど、双葉さんに質問されたことを答えるため、必死で冷静を装った。
「あ、相変わらずですよ。毎日スクールと家の往復で。あちこちから彼女を紹介したいと言ってもらえたんですけどね。困ってるんです、なかなか気持ちが前を向いてくれなくて」
12
お気に入りに追加
91
あなたにおすすめの小説
イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?
すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。
「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」
家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。
「私は母親じゃない・・・!」
そう言って家を飛び出した。
夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。
「何があった?送ってく。」
それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。
「俺と・・・結婚してほしい。」
「!?」
突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。
かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。
そんな彼に、私は想いを返したい。
「俺に・・・全てを見せて。」
苦手意識の強かった『営み』。
彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。
「いあぁぁぁっ・・!!」
「感じやすいんだな・・・。」
※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。
※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。
それではお楽しみください。すずなり。
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。

甘すぎるドクターへ。どうか手加減して下さい。
海咲雪
恋愛
その日、新幹線の隣の席に疲れて寝ている男性がいた。
ただそれだけのはずだったのに……その日、私の世界に甘さが加わった。
「案外、本当に君以外いないかも」
「いいの? こんな可愛いことされたら、本当にもう逃してあげられないけど」
「もう奏葉の許可なしに近づいたりしない。だから……近づく前に奏葉に聞くから、ちゃんと許可を出してね」
そのドクターの甘さは手加減を知らない。
【登場人物】
末永 奏葉[すえなが かなは]・・・25歳。普通の会社員。気を遣い過ぎてしまう性格。
恩田 時哉[おんだ ときや]・・・27歳。医者。奏葉をからかう時もあるのに、甘すぎる?
田代 有我[たしろ ゆうが]・・・25歳。奏葉の同期。テキトーな性格だが、奏葉の変化には鋭い?
【作者に医療知識はありません。恋愛小説として楽しんで頂ければ幸いです!】
ウブな政略妻は、ケダモノ御曹司の執愛に堕とされる
Adria
恋愛
旧題:紳士だと思っていた初恋の人は私への恋心を拗らせた執着系ドSなケダモノでした
ある日、父から持ちかけられた政略結婚の相手は、学生時代からずっと好きだった初恋の人だった。
でも彼は来る縁談の全てを断っている。初恋を実らせたい私は副社長である彼の秘書として働くことを決めた。けれど、何の進展もない日々が過ぎていく。だが、ある日会社に忘れ物をして、それを取りに会社に戻ったことから私たちの関係は急速に変わっていった。
彼を知れば知るほどに、彼が私への恋心を拗らせていることを知って戸惑う反面嬉しさもあり、私への執着を隠さない彼のペースに翻弄されていく……。
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
腹黒上司が実は激甘だった件について。
あさの紅茶
恋愛
私の上司、坪内さん。
彼はヤバいです。
サラサラヘアに甘いマスクで笑った顔はまさに王子様。
まわりからキャーキャー言われてるけど、仕事中の彼は腹黒悪魔だよ。
本当に厳しいんだから。
ことごとく女子を振って泣かせてきたくせに、ここにきて何故か私のことを好きだと言う。
マジで?
意味不明なんだけど。
めっちゃ意地悪なのに、かいま見える優しさにいつしか胸がぎゅっとなってしまうようになった。
素直に甘えたいとさえ思った。
だけど、私はその想いに応えられないよ。
どうしたらいいかわからない…。
**********
この作品は、他のサイトにも掲載しています。
ヤンデレエリートの執愛婚で懐妊させられます
沖田弥子
恋愛
職場の後輩に恋人を略奪された澪。終業後に堪えきれず泣いていたところを、営業部のエリート社員、天王寺明夜に見つかってしまう。彼に優しく慰められながら居酒屋で事の顛末を話していたが、なぜか明夜と一夜を過ごすことに――!? 明夜は傷心した自分を慰めてくれただけだ、と考える澪だったが、翌朝「責任をとってほしい」と明夜に迫られ、婚姻届にサインしてしまった。突如始まった新婚生活。明夜は澪の心と身体を幸せで満たしてくれていたが、徐々に明夜のヤンデレな一面が見えてきて――執着強めな旦那様との極上溺愛ラブストーリー!
断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる