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あなたがいる夜

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手にしたパジャマの生地がすごくフワフワで、触り心地がとても良かった。


「これ、いいかも……」


だけど、上下で14000円。
結構高い。


「悩むなぁ……」


きっと着心地が良くて、ぐっすり眠れるかも知れないけど……


「だけど、もうそんなに若くないから、似合わないかな」


完全なる独り言だったのに、「お客様。そちら、きっとお似合いですよ」と、店員さんに声をかけられた。


「あ、でも、これってかなり若い人が着るんですよね」


25歳の私は、ちょっと恥ずかしくなって、遠慮がちに言った。


「いえいえ、お客様も十分お似合いです。絶対、可愛いですよ。ご試着なさいますか?」 


戸惑ったけど、店員さんに言われるままに、思い切って試着してみることにした。


試着室の鏡に写るボーダーパーカーに、ロングパンツ。おまけに、お揃いのソックス。
モコモコの生地がどれもとても温かい。


着心地は最高だった。
それに、何より淡いピンクとホワイトカラーがすごく可愛い。


「どうしよう、買っちゃおうかな」


私、何でこんなにワクワクしちゃってるんだろ。
確実に舞い上がってる。


「お客様、いかがですか?」


照れはあったけど、私は試着室のカーテンを開けた。


「うわぁ、可愛いです~。とってもお似合いですから、ぜひぜひお家でも着てみてください」


若い店員さんにのせられて、つい購入を決めてしまった。かなり贅沢な買い物だ。


レジに持っていくと、店員さんが可愛い紙袋に入れて渡してくれた。


「ありがとうございました」


買っちゃった……
こんな可愛いパジャマ買ったら、あとは……下着?


もちろん、樹と何かが起こるわけじゃない。でも、下着にも気をつけて女性らしくするのは悪いことじゃないよね。


……って、私、何かを期待してる?
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