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あなたがいる夜

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今日は、バイトが休み。
とにかく私は、言われた通りに数日分の荷物を準備した。バッグに必要最低限の物を詰めながら、本当にこれでいいのかと疑問がよぎる。


「樹さんと一緒に暮らすんだよね……。全然、実感わかないよ……」


あんな超イケメンの樹と、毎日同じ部屋にいるなんて……


「ううん、ルームシェアだよね、ただのルームシェア」


ずっと自分に何度も言い聞かせてるけど、気持ちはかなり複雑だった。


それでも、とにかく部屋を片付けて、掃除もして、しばらく留守にするから、戸締りも全部確認した。


まだお昼前か……


私は、時間まで買い物に行くことにした。
毎日、スエットの上下で寝ていたから、パジャマと靴下を買いたいと思った。
あまりにも可愛げのない姿は、樹には見せられない。


私は、今まで女性としての努力を怠っていたのかもしれない。そう思うと、急に自分が恥ずかしくなった。


反省……
たとえ彼氏じゃないにしても、樹さんはとってもオシャレだから、一緒にいても恥ずかしくないような可愛いパジャマを買いたい。


そんな思いで、久しぶりにやってきたショッピングモール。そこで私は誰かに声をかけられた。


「あなた、この前の……」


目の前に、見覚えのある人が立っていた。


「あっ!   あの時の」


その人は、最後のデートの時にばったり会った……柊君の彼女だった。
見た目が派手な、気の強そうな彼女。


ちょっと、気まずい。


「この前は、柊のことでいろいろ言って悪かったわね」


え……
意外にも、優しい口調で謝ってくれた。


「いえ、そんな……。こちらこそすみません」


なぜか、私もつられて謝ってしまった。


「柊、元気にしてる?   同じ会社なんでしょ?」


「柊君とは、もう会ってないんですか?」


「あの時、気が動転して、あんな風に別れるなんて言っちゃったけど、やっぱり寂しくてね。1度だけ連絡したんだ。そしたら……」
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