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兄弟の優しい時間~柊side~

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双子で見た目が同じ樹とは、子どもの頃から何をするにも一緒だった。
言い方が多少乱暴だったり、上手く自分を表現できなくて誤解されやすい樹だったけど、それでも、良く知る友達は、みんな樹を深く信頼していた。


樹は――誰よりも人を大事に思える男なんだ。
僕も、その優しさを子ども時代からずっとキャッチしてきたからこそ、大人になっても樹が大事で仕方ない。


少し親のような気持ちもあるのか?
両親とは離れて暮らしてるから、余計にそう思うのかも知れない。
そんな弟にアメリカに行ってもらうのは心配だったけど、どうしても樹の英語力と行動力に賭けてみたかった。
そして、思った通り、素晴らしい成果を上げて、会社のために尽力してくれた。


これからは、日本で一緒に仕事ができる。
そう思うと本当にワクワクして楽しみだった。


「樹。柚葉のこと、好きになってやってくれないか?   彼女は、本当に優しくて可愛い人だから、樹にも歓迎してもらいたいんだ」


「柊は柚葉のこと本気なんだな。でも、俺が柚葉と仲良くできるかはまだわからないな」


「お前なぁ……」


僕は、苦笑いした。


「柊は昔からめちゃくちゃ人気あって、すごくモテてたけど、いよいよ結婚するんだな。不思議な感覚だよ、兄弟が結婚するって」


「めちゃくちゃモテるのは樹だろ。僕は普通だよ」


クールでオシャレな樹の周りには、いつも女の子達がいた。ただ、樹は、本気の恋愛ができないって、いつも悩んでた。アメリカでも、特定の彼女はいなかったらしい。


「普通じゃないだろ。柊なら選び放題なのに、何で柚葉なんだ?」


樹がソファに座りながら、前のめりになって質問してきた。


「柚葉に初めて会ったのは、採用面接の日だ。顔も可愛いし、笑顔が良くって。彼女が言った言葉もとても好感が持てたんだ」


あの日、柚葉はすごく緊張してた。
過呼吸になりそうなくらいに。
それでも、一生懸命会社への思いを語ってくれて……
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