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2人だけの秘密の約束

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桜はもう散ってしまった。


ちょっと…寂しい。


でも自然の中に春の気配はまだまだ残ってるから、そういうのを見つけるのは楽しい。


薫ちゃん達は新しい生活を初めて、綺麗で広いマンションで仲良く暮らしてる。


2人で幸せを満喫してるようだ。


休みの日にはたまに実家に来たり、お母さんがマンションに行ったりして、ずっと交流があるから全然寂しくなくて。


私よりもお母さんと仲良くしてくれる鏡子さんには心から感謝だった。


うちの家族は今、みんなとっても幸せそうだ。


私も、こうしてみんなといられることはすごく嬉しい。


だけど…


なんだか心が落ち着かないのはなぜなんだろう?


『里桜ちゃん、ちょっといいか?』


結婚式の企画会議が終わって1人で部屋を片付けてたら、ノックのあと、千隼先生が入ってきた。


『は、はい、どうかされましたか?』


急に先生の姿が目に飛び込んできてびっくりした…


必然的に心臓が脈打つスピードが上がる。


『悪いな、仕事中に。実は、父さんに薫君の結婚式のことを話していたら、近々里桜ちゃんに会いたいって言うんだ』


『え?千隼先生のお父様が?』


『ああ。母さんもだ』


ご両親って、晴月グループの社長ご夫妻だよ?


そんな簡単に「はい」なんて言えない。


『で、でも…私なんか』


『父さんは君のお父さんと親友だったから、僕が君と久しぶりに再会したことをすごく喜んでるんだ。忙しいのに申し訳ないけど、ぜひ会ってもらえないか?』


確かにお父さんのこと…ちょっと聞きたい気もする。


家族以外の人とどんな交流をしてたのか?とか。


私には知らないことが多いから。


これはお父さんのことを知るチャンスかも?…そう思った。


『あの、わかりました。私なんかがお邪魔しても大丈夫なら…よろしくお願いします』
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