41 / 79
同僚の想いは春風とともに
7
しおりを挟む
私のことで恭介君を悩ませるなんて…
でも…
本当に千隼先生と私は何でもないから。
『おまけにうちのホテルの御曹司ってさ、全く俺なんか勝ち目ないよね。どこをとっても負けてる。でもさ、ウジウジ考えて落ち込むくらいなら、思い切って告白しようって思ってしまって。本当、バカだよね』
『そんなことない、恭介君はバカじゃないよ。やっぱり…嬉しかった。私のことを想ってくれてるなんてまだ信じられないけど、でも本当に…嬉しかったから』
それは本音、決して嘘じゃない。
『…ありがとう、里桜。そう言ってもらえて…良かったよ』
そう言った恭介君の表情に、なぜかほんの少しだけ寂しさを感じた。
『私は千隼先生…あっ、晴月部長とはもちろん付き合ってないし、美穂先輩がいうように全く釣り合ってもない。これからも…私達がどうにかなるなんて…きっとないから』
『未来のことはわからないよ。里桜と晴月部長、里桜と俺。誰とどうなるのかなんて…今はわからない。だから、ものすごく不安なんだ。俺、里桜にフラレるの、めちゃくちゃ怖い』
ベンチに座ったまま私を見つめる恭介君の瞳がとても綺麗で…
私、言葉が出てこなくなった。
『ごめん、また困らせた。本当ダメだ、俺』
『ごめん。恭介君の気持ち、嬉しいよ。だけどね、私、恋愛のこととかしばらく考えて生きてこなかったから…急で頭が混乱しちゃってるんだと思う。全然何も上手く言えないで、ごめんね』
お互いが何度も謝って…
何だか本当に動揺してる。
恭介君のこと嫌いじゃない。
カッコいいし、素敵な人だし、性格だって好きだよ。
でもやっぱり…
恭介君を男性として「好き」かって聞かれたらわからない。
たぶん…今は違う?
これから先のことなんて、確かにわからないけど、でも…
この思い、今は口に出来なかった。
仕事のモチベーションとして私のことを思ってくれてるならなおさらだった。
私達はしばらく目の前の春の景色に視線を向け、ただ、それを眺めた。
静寂な時がどれだけ流れただろう…
2人ともベンチから立ち上がることが出来ず、恭介君の横顔も見れなかった。
息を吸って吐く行動、ただそれだけが繰り返される。
それでも…
恭介君は言葉を絞り出し、
『さあ、明日からまた忙しくなるよ。結婚式はまだまだこれからもずっと続く。今は特に式を挙げる人が多い季節だからね、俺も頑張るよ』
って、決意したように笑った。
その顔に救われる。
『う、うん。私も…頑張る』
『誰かが幸せなら、それが俺達の幸せでもある。だから一生懸命仕事頑張りたいし、里桜が側にいるからそれが出来るよ』
恭介君の笑顔、やっぱり嬉しい。
温かくて優しいけがれのない眼差し…
何だかちょっと泣きそうになる。
『待ってる、里桜の気持ち。焦らないでいいから考えてみて。それまで、俺、絶対に笑顔でいるから』
そう言って恭介君が見上げた空は、とっても澄み切った雲一つない爽やかな水色だった。
でも…
本当に千隼先生と私は何でもないから。
『おまけにうちのホテルの御曹司ってさ、全く俺なんか勝ち目ないよね。どこをとっても負けてる。でもさ、ウジウジ考えて落ち込むくらいなら、思い切って告白しようって思ってしまって。本当、バカだよね』
『そんなことない、恭介君はバカじゃないよ。やっぱり…嬉しかった。私のことを想ってくれてるなんてまだ信じられないけど、でも本当に…嬉しかったから』
それは本音、決して嘘じゃない。
『…ありがとう、里桜。そう言ってもらえて…良かったよ』
そう言った恭介君の表情に、なぜかほんの少しだけ寂しさを感じた。
『私は千隼先生…あっ、晴月部長とはもちろん付き合ってないし、美穂先輩がいうように全く釣り合ってもない。これからも…私達がどうにかなるなんて…きっとないから』
『未来のことはわからないよ。里桜と晴月部長、里桜と俺。誰とどうなるのかなんて…今はわからない。だから、ものすごく不安なんだ。俺、里桜にフラレるの、めちゃくちゃ怖い』
ベンチに座ったまま私を見つめる恭介君の瞳がとても綺麗で…
私、言葉が出てこなくなった。
『ごめん、また困らせた。本当ダメだ、俺』
『ごめん。恭介君の気持ち、嬉しいよ。だけどね、私、恋愛のこととかしばらく考えて生きてこなかったから…急で頭が混乱しちゃってるんだと思う。全然何も上手く言えないで、ごめんね』
お互いが何度も謝って…
何だか本当に動揺してる。
恭介君のこと嫌いじゃない。
カッコいいし、素敵な人だし、性格だって好きだよ。
でもやっぱり…
恭介君を男性として「好き」かって聞かれたらわからない。
たぶん…今は違う?
これから先のことなんて、確かにわからないけど、でも…
この思い、今は口に出来なかった。
仕事のモチベーションとして私のことを思ってくれてるならなおさらだった。
私達はしばらく目の前の春の景色に視線を向け、ただ、それを眺めた。
静寂な時がどれだけ流れただろう…
2人ともベンチから立ち上がることが出来ず、恭介君の横顔も見れなかった。
息を吸って吐く行動、ただそれだけが繰り返される。
それでも…
恭介君は言葉を絞り出し、
『さあ、明日からまた忙しくなるよ。結婚式はまだまだこれからもずっと続く。今は特に式を挙げる人が多い季節だからね、俺も頑張るよ』
って、決意したように笑った。
その顔に救われる。
『う、うん。私も…頑張る』
『誰かが幸せなら、それが俺達の幸せでもある。だから一生懸命仕事頑張りたいし、里桜が側にいるからそれが出来るよ』
恭介君の笑顔、やっぱり嬉しい。
温かくて優しいけがれのない眼差し…
何だかちょっと泣きそうになる。
『待ってる、里桜の気持ち。焦らないでいいから考えてみて。それまで、俺、絶対に笑顔でいるから』
そう言って恭介君が見上げた空は、とっても澄み切った雲一つない爽やかな水色だった。
0
お気に入りに追加
150
あなたにおすすめの小説
人違いラブレターに慣れていたので今回の手紙もスルーしたら、片思いしていた男の子に告白されました。この手紙が、間違いじゃないって本当ですか?
石河 翠
恋愛
クラス内に「ワタナベ」がふたりいるため、「可愛いほうのワタナベさん」宛のラブレターをしょっちゅう受け取ってしまう「そうじゃないほうのワタナベさん」こと主人公の「わたし」。
ある日「わたし」は下駄箱で、万年筆で丁寧に宛名を書いたラブレターを見つける。またかとがっかりした「わたし」は、その手紙をもうひとりの「ワタナベ」の下駄箱へ入れる。
ところが、その話を聞いた隣のクラスのサイトウくんは、「わたし」が驚くほど動揺してしまう。 実はその手紙は本当に彼女宛だったことが判明する。そしてその手紙を書いた「地味なほうのサイトウくん」にも大きな秘密があって……。
「真面目」以外にとりえがないと思っている「わたし」と、そんな彼女を見守るサイトウくんの少女マンガのような恋のおはなし。
小説家になろう及びエブリスタにも投稿しています。
扉絵は汐の音さまに描いていただきました。
【完結】maybe 恋の予感~イジワル上司の甘いご褒美~
蓮美ちま
恋愛
会社のなんでも屋さん。それが私の仕事。
なのに突然、企画部エースの補佐につくことになって……?!
アイドル顔負けのルックス
庶務課 蜂谷あすか(24)
×
社内人気NO.1のイケメンエリート
企画部エース 天野翔(31)
「会社のなんでも屋さんから、天野さん専属のなんでも屋さんってこと…?」
女子社員から妬まれるのは面倒。
イケメンには関わりたくないのに。
「お前は俺専属のなんでも屋だろ?」
イジワルで横柄な天野さんだけど、仕事は抜群に出来て人望もあって
人を思いやれる優しい人。
そんな彼に認められたいと思う反面、なかなか素直になれなくて…。
「私、…役に立ちました?」
それなら…もっと……。
「褒めて下さい」
もっともっと、彼に認められたい。
「もっと、褒めて下さ…っん!」
首の後ろを掬いあげられるように掴まれて
重ねた唇は煙草の匂いがした。
「なぁ。褒めて欲しい?」
それは甘いキスの誘惑…。
ヤリたい男ヤラない女〜デキちゃった編
タニマリ
恋愛
野獣のような男と付き合い始めてから早5年。そんな彼からプロポーズをされ同棲生活を始めた。
私の仕事が忙しくて結婚式と入籍は保留になっていたのだが……
予定にはなかった大問題が起こってしまった。
本作品はシリーズの第二弾の作品ですが、この作品だけでもお読み頂けます。
15分あれば読めると思います。
この作品の続編あります♪
『ヤリたい男ヤラない女〜デキちゃった編』
【完結】誰にも知られては、いけない私の好きな人。
真守 輪
恋愛
年下の恋人を持つ図書館司書のわたし。
地味でメンヘラなわたしに対して、高校生の恋人は顔も頭もイイが、嫉妬深くて性格と愛情表現が歪みまくっている。
ドSな彼に振り回されるわたしの日常。でも、そんな関係も長くは続かない。わたしたちの関係が、彼の学校に知られた時、わたしは断罪されるから……。
イラスト提供 千里さま
地味系秘書と氷の副社長は今日も仲良くバトルしてます!
めーぷる
恋愛
見た目はどこにでもいそうな地味系女子の小鳥風音(おどりかざね)が、ようやく就職した会社で何故か社長秘書に大抜擢されてしまう。
秘書検定も持っていない自分がどうしてそんなことに……。
呼び出された社長室では、明るいイケメンチャラ男な御曹司の社長と、ニコリともしない銀縁眼鏡の副社長が風音を待ち構えていた――
地味系女子が色々巻き込まれながら、イケメンと美形とぶつかって仲良くなっていく王道ラブコメなお話になっていく予定です。
ちょっとだけ三角関係もあるかも?
・表紙はかんたん表紙メーカーで作成しています。
・毎日11時に投稿予定です。
・勢いで書いてます。誤字脱字等チェックしてますが、不備があるかもしれません。
・公開済のお話も加筆訂正する場合があります。
恋とキスは背伸びして
葉月 まい
恋愛
結城 美怜(24歳)…身長160㎝、平社員
成瀬 隼斗(33歳)…身長182㎝、本部長
年齢差 9歳
身長差 22㎝
役職 雲泥の差
この違い、恋愛には大きな壁?
そして同期の卓の存在
異性の親友は成立する?
数々の壁を乗り越え、結ばれるまでの
二人の恋の物語
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる