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同僚の想いは春風とともに

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先生とはそのままお別れしてお互いの道を歩んだけど、何年経っても、先生と勉強した日々、そして一緒に見た景色は全て私の中にちゃんと残ってるんだ。


忘れることなんて出来ない。


桜の出会いから10年。


私達は今、再会を果たした。


偶然にも奇跡的に…


『里桜!』


ハッと我に返ると、道路の向こう側から恭介君が手を振ってくれてた。


その笑顔に、思わず私の中の思い出が一旦胸の奥に引っ込んだ。


『恭介君!』


私も手を振り返した。


『そっち行くから待ってて』


『うん、わかった』


信号が青に変わるまで、通りすぎる車を何台も目で追う恭介君。


そして、赤から青になった瞬間に走り出した。


横断歩道を風をきって渡る恭介君もまた…


春のように爽やかで清々しい人だ。


私の目の前で息を切らすこともなく立ち止まり、ニコッと笑った。


『ごめんな、時間作ってくれてありがとう』


『ううん、こっちこそ』


『行こっか』


『うん』


何気ない言葉のやり取りに、恭介君の優しさを感じる。


先生もそうだけど、恭介君もきっと誰からも愛される人柄なのに、彼女がいないのは本当に不思議だな。


『ちょっと散歩しない?桜綺麗だから』


そう言って、うららかな春の道を広い公園の方まで歩くことになった。


キラキラした光が2人に向かって降り注ぐ。


こういうの、すごくいい。


自然からエネルギーをもらってる感じがする。


『仕事、大丈夫?プランナーはいろいろ大変だと思うからさ』


揺れる前髪からチラッと見える切れ長の瞳。


本当に綺麗な顔してる…


改めてそう思った。


みんなが恭介君のこと、めちゃくちゃカッコいいとか可愛いとか褒めてるけど、確かにこのレベルはなかなかいない。
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