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千隼先生と晴月部長
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『本当?LUNA BLUで挙式してもらえるなんて…こんなにいくつも奇跡が重なって…』
『え…?』
『そうだろ?この前里桜ちゃんに再会したことも奇跡、ここで君が働いていたのも奇跡…そのおかげで薫君もここで式を挙げることになって…全てが奇跡だと思える』
『奇跡…』
『再会した夜からずっと僕は里桜ちゃんや優木さんご家族のことを考えてた。とても懐かしくて、忙しく過ぎる日々の中に見つけた優しい思い出だった。近々、本当に里桜ちゃんに連絡しようと思ってたのに、まさかこんな形で会えるなんて』
優しい思い出…
そんな風に言ってくれるなんて…
嬉し過ぎて涙が出そうになったけど、こんなところで泣くなんて恥ずかしいからグッと我慢した。
『朝礼で里桜ちゃんを見た時、正直、本当に驚いた』
『…私もです。まさか千隼先生がこのホテルに来られるなんて…』
『お互いに…驚いたってわけだな』
『でも、私のことよくわかりましたね。少し後ろの方にいたんですけど』
『それでも見つけたんだ。目が合っただろ?』
確かに…
千隼先生がこっちを見てる気はした。
だけど、気のせいだって思ってたから。
『挨拶を始めた瞬間、里桜ちゃんの姿を見てしまって少し動揺したかもな』
千隼先生が動揺?
嘘だよ…
先生が動揺するなんて想像出来ない。
『い、いえ。それはもう立派な挨拶でした。私…挨拶を聞きながら、まるで千隼先生に授業を受けてるみたいでしたから』
懐かしい感覚。
ちょっとだけ、あの頃に戻った気がした。
『少し固かったか?』
『いえ、そんなことはないです。私が勝手に懐かしいなって思っただけです』
『本当に懐かしい。あの頃と変わらない君がいて』
そうだよね、やっぱり…
先生には私なんて大人の女性として見えてないんだよね。
ただの生徒で、いつまでも子どもみたいな存在。
『え…?』
『そうだろ?この前里桜ちゃんに再会したことも奇跡、ここで君が働いていたのも奇跡…そのおかげで薫君もここで式を挙げることになって…全てが奇跡だと思える』
『奇跡…』
『再会した夜からずっと僕は里桜ちゃんや優木さんご家族のことを考えてた。とても懐かしくて、忙しく過ぎる日々の中に見つけた優しい思い出だった。近々、本当に里桜ちゃんに連絡しようと思ってたのに、まさかこんな形で会えるなんて』
優しい思い出…
そんな風に言ってくれるなんて…
嬉し過ぎて涙が出そうになったけど、こんなところで泣くなんて恥ずかしいからグッと我慢した。
『朝礼で里桜ちゃんを見た時、正直、本当に驚いた』
『…私もです。まさか千隼先生がこのホテルに来られるなんて…』
『お互いに…驚いたってわけだな』
『でも、私のことよくわかりましたね。少し後ろの方にいたんですけど』
『それでも見つけたんだ。目が合っただろ?』
確かに…
千隼先生がこっちを見てる気はした。
だけど、気のせいだって思ってたから。
『挨拶を始めた瞬間、里桜ちゃんの姿を見てしまって少し動揺したかもな』
千隼先生が動揺?
嘘だよ…
先生が動揺するなんて想像出来ない。
『い、いえ。それはもう立派な挨拶でした。私…挨拶を聞きながら、まるで千隼先生に授業を受けてるみたいでしたから』
懐かしい感覚。
ちょっとだけ、あの頃に戻った気がした。
『少し固かったか?』
『いえ、そんなことはないです。私が勝手に懐かしいなって思っただけです』
『本当に懐かしい。あの頃と変わらない君がいて』
そうだよね、やっぱり…
先生には私なんて大人の女性として見えてないんだよね。
ただの生徒で、いつまでも子どもみたいな存在。
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