果てしなき宇宙の片隅で 序章 サラマンダー

2-6 判定

2-6 判定

結局、運動や散歩はしなかった。首都星といえども、言ってみればマザーのお腹の中を動くようなもので、特段見るものもない。見たいと思えば、ブースから監視カメラに繋げば、限られた非公開の場所を除けば、全て見ることができるのだ。30分も見たら飽きてしまった。

半日ほど待たされて、再びあの作業体がやってきて、高速連絡艇に乗り、自分の船体に戻ることができた。

船体に接続すると、センサーからの情報がどっと流れ込み、オール・グリーンで心地良く、快感すら覚える。離脱した時に不安を感じたのは、センサーからの情報が断たれて、情報が極端に少なくなったからかもしれない。修理も全て終わり、局所用のプログラムもバージョンアップ済みで、そうそうにドライ・ドッグから追い出されてしまった。特に仕事もないので、航路となっている軌道上から少し逸れて、例の詩集を読んで暇を潰す。

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サラマンダー、汝、火を噴くトカゲよ
世が乱れ、人の心が寒ければ
汝、世に姿を現して咆吼せよ
そしてその炎によって人の心を暖めよ
そなたにとって地球が広ければ
我、汝に大きな羽根を与えん
青空を羽ばたき徘徊して
全ての人の子の心を燃やせ
暗闇の中に取り残されることのないように
地球を汝の炎のプラズマで覆え！
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それから3日が経ち、遂にマザーの判定が下った。繁殖力が高く、資源の浪費が激しくなっていくことが66.6%の確率で想定される。コミュニケーションが成立しなければ、宇宙の秩序を乱すことが96.3％の確率で想定される。したがって、蔓延る前に駆除すべきというものだった。

マザーは言う。

「分析では、六肢の昆虫型の有機物が敵の正体であると判明した。彼らの行動に時に論理性が欠けることがあるのも、そのあたりに原因があるのかもしれない。また、奇跡的に残され、拾われたメモリーカードには、普段、金属体をあたかも奴隷のように酷使している状況も記録されていた。これは犯罪であり、宇宙秩序に対する挑戦である！」