面倒くさいロボットゲームアプリに誘われたら、ガッツリハマりました。勿論彼女もね。

21. 再び改造して

　夏希の新機体RD-36。
　そのテストとしての模擬戦と、クラン対抗フェスで思い知った愛機Za-98の実体弾火力不足。

　VBi-fdビーム中和フィールド。
　確かに超レアなオプション。多分上位ランカーしか装備してないと思うけど、この対策が無ければ頭打ちになるのは目に見えてる。

　もらったチケットを使って、再び隠し工房に入った時だった。
「改にされたお客はんでしたねー。その後の調子はどうでっか！」
　コテコテの、浪速の商人と描かれた前掛けを付けたオッさん。
「とてもいいけど、少し火力不足がね」
　折角なので相談してみる。
「なーるほど。では、追改造、試しまっか？」

　示されたのは『オプションスロットの増加』と『装甲材質マテリアルの変更』。チケット2枚とコイン1万の支払い。
　そして…。
「コイツは掘り出し物でっせ。普通はかなり扱いにくいシロモノやけど、お客はんあんさんなら使い熟る筈やねん」
　実体弾高火力武装BRL-X大型ロケットランチャー。
　ロケット砲にはホーミング機能がない。
　ミサイルが比較にならない高火力にも関わらず使い辛いのはそれがあって。しかもミサイルより弾速が遅く、高性能バーニアを持つ機体ならば避ける事も難しくない。なので余程の火力偏重なオーナーじゃないと装備してない。

　って、この武装、No.部分がX?

「掘り出し物、ゆうたやろ？まだ市場に出とらへん奴やねん」
　そろそろ関西の方から苦情来そうな、おかしな関西弁で捲し立てる『浪速の商人』。
「お客はんの機体なら、ランチャー系もロックオン出けた筈や。コイツも適用されまっせ」

　ロケット砲でロックオン出来る？

「そう。コイツは条件付きでホーミング付加性能を持つ優れモンや。どうでっしゃろ？まぁ、テストも兼ねとるさかい、改造と纏めて此処迄勉強しまっせ？」

　こうしてみるとフェス前の初優勝出来たのが、本当に付いてると思う。夏希に融通しても、まだ余力があるんだから。とは言え、改造で次月大会に出られなければランクアップはどうなるんだろ。

　そう。
　クラン対抗フェスは、決勝トーナメントがない大会だったので、ランクアップの対象試合として認められなかった。但し特別大会フェスで有るが故に連続未達の対象にも当てはまらないとのお墨付きは貰えたんだ。

「お客はんの状況は知っとります。だーい！出血の大サービスや。10日で面倒見まひょ」

　今月末の大会には間に合う。

「お願いするよ」
「まいど、おおきに」

　状況は知ってます、か。
　商人なのは運営の遊びだろうけど、今回の好条件は運営の贔屓かもしれない。デモにもなった『ダークホース』にテコ入れしてくれるのかな。

　そう思うのは自惚れか？
　でも、ならばこそ運営の期待に応えるべきだと思うんだ。

　本当に10日後。
　俺のガレージに改造された『ダークホース』が届けられた。既に左肩装備がロケット砲になってるし。

　スロット数は…は？32？
　16も増加されてるの？倍じゃん！
　しかも装甲値アーマーポイントは増えてるのに自重は減ってる。その分ローラーダッシュとバーニア移動値が上がって。

「なら」
　俺は最後の手持ちチケットを使って隠し工房に。
「まいど」

　購入したのは『追加装甲（ビーム）』『火力アップ』『追加弾倉』『補助アシスト探査レーダー』。スロット4使用のオプション。

　コレらを装備して、機体評価は…？

　『Miracle！』

　『Excellent！』の上が有ったんだ。

　模擬戦してるヒマ無さそう。って言うか、ガレージでの模擬戦は最早意味無いよね。
　あ、いや。
　ちょい試すものが有ったんだ。

　ガレージ内の模擬戦闘技場。
　俺はロケット砲の試射をしてみた。

　ロケットランチャーって武装名。なら発射態勢を作らないといけないのか？でも砲身がある訳じゃないし。

「ローラーダッシュ！で左肩武装‼︎」

　『ダークホース』は前屈みになってダッシュに入る。と武装が切り替わる表示。

「ファイア！」

　大型ロケット弾が発射された。
　使える！しかも‼︎

　避けようと動く標的機に合わせて追尾したロケット弾は、ロックオン機能通りの標的機右腕へと命中した。
　いや、何だ？この火力。
　腕、肩は勿論右半身を噴き飛ばしてる？

　確かに弾速は遅い。
　でもホーミング機能が付加されてる。

　いける！
　コレが、俺の！新たな牙を得た『ダークホース』だ‼︎