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新しいパーティ
21. 貴方は、私の何なの?
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「やっと見つけたぜ、嬢ちゃん」
エンテロブルに私達を訪ねてやって来たのはいつもの団長と謎の騎士見習い。
それは、私達がゲゥドーン王国から帰り、エンテロブルに戻りついてから更に10日程経っていて、まぁ、1つの騒動が収まったかなぁと思ってた矢先の事。
「何?」
「いや、その…。ゲゥドーンから番を見っけてきたって聞いてなぁ」
「だから何?」
私に邪険にされて狼狽える2人。
「それに『元気っ娘』を解散したって」
「カノンが郷森へ里帰りしましたから。下手すると数十年戻らないのに」
そもそも妖魔界とは時間の流れが違う。しかもダークエルフの時間感覚は、他種族とは根本的に異なってる。
100年前すらこないだなのだから。
「2人で冒険者ヤレるなんて、私達でもそんな戯言考えないし」
「いや、まぁそうだろうが。あぁ、まぁ、ソッチはどうでもいいんだ。その、嬢ちゃんが番を連れて来たって事がなぁ」
ロンが気に入らないのだろうか?
そもそも、この2人が私の番について何を気にする事があると言うの?
「何か問題でも?」
たじろく2人。
多分、ここまで冷たい声は自身にも記憶が無い。
「まぁ、その、何だ、ホラ、俺は、まぁ、あのだな…、言ってしまえば」
「団長!貴方が私の保護者同然と言うのは100歩…ううん、万歩!譲って納得するわ。とっても、甚だ不本意で遺憾に思うんだけど‼︎」
「…そんなに強調せんでも」
陽気な団長の泣きっ面は、私もあまり見た事無いけど。でも不本意って思うし。
まぁ、保護者を否定する気も無い。
ダスカー団長といる時には、甘える娘気分を十二分に味わってる訳だし。私が冒険者としてやっていけるのも、オッサンに槍術を基礎から徹底的に仕込まれたおかげだし。
「お、俺は…」
レン様も口籠る。
「旧い、とっても親しい大事な友人です。それに、敬慕する殿下だし、忠誠もヴァイランシアに誓う事、声を大にして言えますよ」
「た、他人行儀だね?」
「身分と常識をお考え下さい、レン様」
流石にここまで露骨だと…。
レン様の私への好意は、獣人愛護なんて話ではなくて。それに…、レン様は、どうしてもあの当時のロランと生写しだから。
頭では分かってる。
今の私には、そのロラン本人の転生体だって側にいるのに。
レン様の好意に、単純に喜んでしまう自分がいる。目で追ってしまう。
周りに勘違いって思われても仕方ない程に。
「まさか紹介が遅れたとか、『ワシは認めん』なんて頑固オヤジする気じゃありませんよね?」
2人を睨む。
保護者同然と言い張るダスカー団長なら、万歩譲って兎も角。
レン様にロランの事をとやかく言われる筋合いは無い。私の態度は置いといて。
「リーファ…」
「やっと出会えた番です。これは獣人の本能的なモノ。人族には上手く説明出来ません」
他種族は口を出すな。
逃げだって分かってる。でも、これ程説得力のある理由はない。
「いい奴なんだよね」
「最高の番です」
かっての想い人。生命神フェーダの思いやり。
これ以上の生涯のつれあいはいない。
…頭では分かってるのに。
「…そうか」
この後しばらく。
レン様の落ち込み様は、見ていて痛々しかったんだとか。
ちなみに、コレ、カチュア様情報。
後日、ギルドにきた依頼で教会絡みのモノがあって、私は司教待遇「銀の聖女」として帝都に赴いたんだけど、その時せっかくだからヴェルダート侯爵家をも訪れたんだ。
「リーファ様、少し罪作りですわ」
「カチュア様、揶揄わないで下さいませ」
レン様の落ち込みを教えてくれたカチュア様は、かなり悪戯っぽい笑みを浮かべていて。だからこそ私も、只の揶揄だと思えた訳で。
レン様の想いは兎も角。
私は絶対に、カチュア様にとっての恋敵にはなり得ないから。皇族と獣人では、側室は勿論、極秘の囲われ人としても無理があるし。
私自身、秘めたる恋慕は否定出来ないけど、表面上は敬慕する皇族で旧く親しい友人というモノしかとってないし。
まぁ、カチュア様に秘めたる恋慕をも見抜かれてはいるけど。
「今度、紹介して下さいね」
カチュア様は、ロンに会いたがっていて。
それくらいの恋バナは、あってもいいよね。
☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆
エンテロブルギルドに持ち込まれたのは『銀の聖女』への指名依頼。
「瘴気獣が?それって黒沼もですか?」
「確定情報じゃないの。でも瘴気獣にしか思えない黒い魔物が出没してるって。そのせいで森の奥まで探索出来てないのよ」
「そういうの、帝都の最高教会への依頼じゃないのかなぁ」
「場所がね。その辺りを浄化出来そうな実力者って、ホラ、結構高齢な方が多くて」
ホラ、じゃねぇーだろ。
エンテロブルに私達を訪ねてやって来たのはいつもの団長と謎の騎士見習い。
それは、私達がゲゥドーン王国から帰り、エンテロブルに戻りついてから更に10日程経っていて、まぁ、1つの騒動が収まったかなぁと思ってた矢先の事。
「何?」
「いや、その…。ゲゥドーンから番を見っけてきたって聞いてなぁ」
「だから何?」
私に邪険にされて狼狽える2人。
「それに『元気っ娘』を解散したって」
「カノンが郷森へ里帰りしましたから。下手すると数十年戻らないのに」
そもそも妖魔界とは時間の流れが違う。しかもダークエルフの時間感覚は、他種族とは根本的に異なってる。
100年前すらこないだなのだから。
「2人で冒険者ヤレるなんて、私達でもそんな戯言考えないし」
「いや、まぁそうだろうが。あぁ、まぁ、ソッチはどうでもいいんだ。その、嬢ちゃんが番を連れて来たって事がなぁ」
ロンが気に入らないのだろうか?
そもそも、この2人が私の番について何を気にする事があると言うの?
「何か問題でも?」
たじろく2人。
多分、ここまで冷たい声は自身にも記憶が無い。
「まぁ、その、何だ、ホラ、俺は、まぁ、あのだな…、言ってしまえば」
「団長!貴方が私の保護者同然と言うのは100歩…ううん、万歩!譲って納得するわ。とっても、甚だ不本意で遺憾に思うんだけど‼︎」
「…そんなに強調せんでも」
陽気な団長の泣きっ面は、私もあまり見た事無いけど。でも不本意って思うし。
まぁ、保護者を否定する気も無い。
ダスカー団長といる時には、甘える娘気分を十二分に味わってる訳だし。私が冒険者としてやっていけるのも、オッサンに槍術を基礎から徹底的に仕込まれたおかげだし。
「お、俺は…」
レン様も口籠る。
「旧い、とっても親しい大事な友人です。それに、敬慕する殿下だし、忠誠もヴァイランシアに誓う事、声を大にして言えますよ」
「た、他人行儀だね?」
「身分と常識をお考え下さい、レン様」
流石にここまで露骨だと…。
レン様の私への好意は、獣人愛護なんて話ではなくて。それに…、レン様は、どうしてもあの当時のロランと生写しだから。
頭では分かってる。
今の私には、そのロラン本人の転生体だって側にいるのに。
レン様の好意に、単純に喜んでしまう自分がいる。目で追ってしまう。
周りに勘違いって思われても仕方ない程に。
「まさか紹介が遅れたとか、『ワシは認めん』なんて頑固オヤジする気じゃありませんよね?」
2人を睨む。
保護者同然と言い張るダスカー団長なら、万歩譲って兎も角。
レン様にロランの事をとやかく言われる筋合いは無い。私の態度は置いといて。
「リーファ…」
「やっと出会えた番です。これは獣人の本能的なモノ。人族には上手く説明出来ません」
他種族は口を出すな。
逃げだって分かってる。でも、これ程説得力のある理由はない。
「いい奴なんだよね」
「最高の番です」
かっての想い人。生命神フェーダの思いやり。
これ以上の生涯のつれあいはいない。
…頭では分かってるのに。
「…そうか」
この後しばらく。
レン様の落ち込み様は、見ていて痛々しかったんだとか。
ちなみに、コレ、カチュア様情報。
後日、ギルドにきた依頼で教会絡みのモノがあって、私は司教待遇「銀の聖女」として帝都に赴いたんだけど、その時せっかくだからヴェルダート侯爵家をも訪れたんだ。
「リーファ様、少し罪作りですわ」
「カチュア様、揶揄わないで下さいませ」
レン様の落ち込みを教えてくれたカチュア様は、かなり悪戯っぽい笑みを浮かべていて。だからこそ私も、只の揶揄だと思えた訳で。
レン様の想いは兎も角。
私は絶対に、カチュア様にとっての恋敵にはなり得ないから。皇族と獣人では、側室は勿論、極秘の囲われ人としても無理があるし。
私自身、秘めたる恋慕は否定出来ないけど、表面上は敬慕する皇族で旧く親しい友人というモノしかとってないし。
まぁ、カチュア様に秘めたる恋慕をも見抜かれてはいるけど。
「今度、紹介して下さいね」
カチュア様は、ロンに会いたがっていて。
それくらいの恋バナは、あってもいいよね。
☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆
エンテロブルギルドに持ち込まれたのは『銀の聖女』への指名依頼。
「瘴気獣が?それって黒沼もですか?」
「確定情報じゃないの。でも瘴気獣にしか思えない黒い魔物が出没してるって。そのせいで森の奥まで探索出来てないのよ」
「そういうの、帝都の最高教会への依頼じゃないのかなぁ」
「場所がね。その辺りを浄化出来そうな実力者って、ホラ、結構高齢な方が多くて」
ホラ、じゃねぇーだろ。
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