15 / 21
獣人王国ゲゥドーン
15. オレの名はロン
しおりを挟む
確かに、オレ達はギルドから依頼を受けた訳じゃない。だけど目の前で人攫いの場に出くわせば、コレを阻止しようとするのは当たり前だろ?
オレの名はロン。
狼族の、何か『氷白狼』の性質を持つ珍しい存在らしい。まぁ、青白い毛並みなんて他に会った事無いし。
「密猟追っかけてくりゃ、まさか人攫いまでやってたとはなぁ。オッさん達、もう終わりだよ」
オレの横で悪態ついてるのはキツネ…、妖狐族のラグ。燃える様な真っ赤な毛並みは、実はキツネ族には珍しくない毛並みだけど、妖狐族は火水風土闇の5属性魔法を扱える、やっぱり珍しい存在。
その代わり、人間並みって言える程の獣人としてはかなり非力。冒険者特性としても魔導師魔法使いだから、剣を持つのは足手纏いレベル。
「ガキが!テメェらを始末すりゃいいだけの話だ」
人攫い達は5人?6名か?
厄介なのは、多分リーダー格のオッさんが熟練の戦士っぽい。駆け出しのオレ達じゃちと厳しいかもしれねぇ。
「そう上手くいくもんか!こちとら只のガキじゃねえんだぜ‼︎」
「ほざけぇ!」
何も考えず突っ込んでくる。
「吹き荒れろ!氷の嵐」
水属性上位攻撃魔法、って言えばカッコいいけど、実は氷属性しかオレは使えない。しかも魔力が少ないからそれ程何度も使えない。
だが獣人のオレが魔法を使えるとは思ってなかったんだろう。2人がまともに喰らい倒れた。
「な、こ、このガキ!」
「魔法を使える獣人かよ。コイツもいい金になりそうだなぁ」
オレに向かい、ジリジリと迫ってくる人間。
「火玉よ、我が敵を撃て」
ラグの魔法が完成する。
コチラも火属性広域攻撃魔法だ。
「うわぁ、ひいぃいいい」
ドゴゴーン!
炸裂し、奴等をやっつけた?
「危ねぇ、あぶねー。が、その程度の威力じゃ俺は倒せねーぞ」
やっぱりリーダー格が残ってる。
「大人しくしやがれ!コイツ喰らって死にたくなけりゃなぁ‼︎」
剣じゃない?馬鹿でかいフレイルか?
確かにあんなの喰らったらケガじゃ済まねえ。力負けはしなくても、オレの剣であれは受け止めきれない。剣を折られて…やられる?
「神の力よ!彼者の盾となりて護り給え‼︎」
オレ達の前に光り輝くシールドが形成され、奴のフレイルを弾き飛ばした。
「「何ぃ?」」
奴もだが、オレも同じ言葉を…。
「逃がさないわよ!」
飛び込んできたのは、キツネ族の女か?
歳は、ラグと同じくらいか?そいつが捕獲用ネットをうまく拡げて、体勢を崩したリーダー格に被せ絡めて。
オレの横に来たのは、狼族の女?のガキ?
「大丈夫?今、手当するね。神よ、彼に癒しを」
彼女が薄ら銀色に輝いて。
オレの頬や手足の、ちょっとした傷が治っていく。
「ば、馬鹿な?『銀の聖女』か?」
帝国の『銀の聖女』?
「えー?悪党にも広まってるの?私、そんなに有名なんだ」
「さっすが『銀の聖女』様ね。ガラ悪いのに」
「ほっとけ」
だけど、彼女の面影は…?
何処で見た?何時?何処で会った?
ズキッ。
そうだ。今じゃない。これは昔の…、前世の記憶…。
「リーファ…」
「はい?何?」
『銀の聖女』が応える。
は?え?彼女もリーファって名前なのか?
「今、私の名前?」
「あら?『銀の聖女』は名も売れてる?」
「えー?それはちょい困る」
「あ、ゴメン。その、知り合いに似てて。その、ウィルザード帝国の『銀の聖女』様?」
「不本意だけど、そう認定されちゃってるの。でも、さっき名前呼んだよね?」
「え、じゃあ」
「リーファでいいよ。フフ、同族会うの、何年振りだろ?」
銀色の毛並みが美しい狼族の少女。
それに、金色の毛並みが輝いているキツネ族の美少女。
「私はサラ。よろしくね。私も同族…ってか妖狐族なんて初めて会うわ」
ネットが絡まり、動けなくなったリーダー格の男をそのまま縛っていく。
「フレイルなのが残念、ってとこね。剣ならネットは意味ないから。衛士団に引き渡すからね」
「く、くそぅ」
オレ等の魔法で倒れた者達に、縛った後で癒しを掛けていくリーファ。
「そんな奴等に」
「性分。どんな悪党でも、やっぱり怪我人は見過ごせないの」
成る程。まさしく『聖女』だ。
「ぐっ。こ、これは」
「手当はするけど、悪党のオッサンは官憲に渡すからね」
「ち、チクショー!何で『銀の聖女』がこんな何処に」
「何処にいようが私の勝手!文句あっか‼︎」
成る程。ガラ悪いわ。
「で、貴方は?名前くらい教えてくれてもバチ当たんないと思うんだけど?」
小首をかしげ、悪戯っぽく微笑む彼女。その仕草も…、まさか?
「あ、ゴメン。オレの名はロン。あっちがラグ」
「よろしく、『銀の聖女』様」
「リーファでいいよ。私はただの冒険者で聖職者じゃないし」
「ガラ悪いし」
「ほっとけー!」
オレの名はロン。
狼族の、何か『氷白狼』の性質を持つ珍しい存在らしい。まぁ、青白い毛並みなんて他に会った事無いし。
「密猟追っかけてくりゃ、まさか人攫いまでやってたとはなぁ。オッさん達、もう終わりだよ」
オレの横で悪態ついてるのはキツネ…、妖狐族のラグ。燃える様な真っ赤な毛並みは、実はキツネ族には珍しくない毛並みだけど、妖狐族は火水風土闇の5属性魔法を扱える、やっぱり珍しい存在。
その代わり、人間並みって言える程の獣人としてはかなり非力。冒険者特性としても魔導師魔法使いだから、剣を持つのは足手纏いレベル。
「ガキが!テメェらを始末すりゃいいだけの話だ」
人攫い達は5人?6名か?
厄介なのは、多分リーダー格のオッさんが熟練の戦士っぽい。駆け出しのオレ達じゃちと厳しいかもしれねぇ。
「そう上手くいくもんか!こちとら只のガキじゃねえんだぜ‼︎」
「ほざけぇ!」
何も考えず突っ込んでくる。
「吹き荒れろ!氷の嵐」
水属性上位攻撃魔法、って言えばカッコいいけど、実は氷属性しかオレは使えない。しかも魔力が少ないからそれ程何度も使えない。
だが獣人のオレが魔法を使えるとは思ってなかったんだろう。2人がまともに喰らい倒れた。
「な、こ、このガキ!」
「魔法を使える獣人かよ。コイツもいい金になりそうだなぁ」
オレに向かい、ジリジリと迫ってくる人間。
「火玉よ、我が敵を撃て」
ラグの魔法が完成する。
コチラも火属性広域攻撃魔法だ。
「うわぁ、ひいぃいいい」
ドゴゴーン!
炸裂し、奴等をやっつけた?
「危ねぇ、あぶねー。が、その程度の威力じゃ俺は倒せねーぞ」
やっぱりリーダー格が残ってる。
「大人しくしやがれ!コイツ喰らって死にたくなけりゃなぁ‼︎」
剣じゃない?馬鹿でかいフレイルか?
確かにあんなの喰らったらケガじゃ済まねえ。力負けはしなくても、オレの剣であれは受け止めきれない。剣を折られて…やられる?
「神の力よ!彼者の盾となりて護り給え‼︎」
オレ達の前に光り輝くシールドが形成され、奴のフレイルを弾き飛ばした。
「「何ぃ?」」
奴もだが、オレも同じ言葉を…。
「逃がさないわよ!」
飛び込んできたのは、キツネ族の女か?
歳は、ラグと同じくらいか?そいつが捕獲用ネットをうまく拡げて、体勢を崩したリーダー格に被せ絡めて。
オレの横に来たのは、狼族の女?のガキ?
「大丈夫?今、手当するね。神よ、彼に癒しを」
彼女が薄ら銀色に輝いて。
オレの頬や手足の、ちょっとした傷が治っていく。
「ば、馬鹿な?『銀の聖女』か?」
帝国の『銀の聖女』?
「えー?悪党にも広まってるの?私、そんなに有名なんだ」
「さっすが『銀の聖女』様ね。ガラ悪いのに」
「ほっとけ」
だけど、彼女の面影は…?
何処で見た?何時?何処で会った?
ズキッ。
そうだ。今じゃない。これは昔の…、前世の記憶…。
「リーファ…」
「はい?何?」
『銀の聖女』が応える。
は?え?彼女もリーファって名前なのか?
「今、私の名前?」
「あら?『銀の聖女』は名も売れてる?」
「えー?それはちょい困る」
「あ、ゴメン。その、知り合いに似てて。その、ウィルザード帝国の『銀の聖女』様?」
「不本意だけど、そう認定されちゃってるの。でも、さっき名前呼んだよね?」
「え、じゃあ」
「リーファでいいよ。フフ、同族会うの、何年振りだろ?」
銀色の毛並みが美しい狼族の少女。
それに、金色の毛並みが輝いているキツネ族の美少女。
「私はサラ。よろしくね。私も同族…ってか妖狐族なんて初めて会うわ」
ネットが絡まり、動けなくなったリーダー格の男をそのまま縛っていく。
「フレイルなのが残念、ってとこね。剣ならネットは意味ないから。衛士団に引き渡すからね」
「く、くそぅ」
オレ等の魔法で倒れた者達に、縛った後で癒しを掛けていくリーファ。
「そんな奴等に」
「性分。どんな悪党でも、やっぱり怪我人は見過ごせないの」
成る程。まさしく『聖女』だ。
「ぐっ。こ、これは」
「手当はするけど、悪党のオッサンは官憲に渡すからね」
「ち、チクショー!何で『銀の聖女』がこんな何処に」
「何処にいようが私の勝手!文句あっか‼︎」
成る程。ガラ悪いわ。
「で、貴方は?名前くらい教えてくれてもバチ当たんないと思うんだけど?」
小首をかしげ、悪戯っぽく微笑む彼女。その仕草も…、まさか?
「あ、ゴメン。オレの名はロン。あっちがラグ」
「よろしく、『銀の聖女』様」
「リーファでいいよ。私はただの冒険者で聖職者じゃないし」
「ガラ悪いし」
「ほっとけー!」
15
お気に入りに追加
21
あなたにおすすめの小説
婚約破棄されて辺境へ追放されました。でもステータスがほぼMAXだったので平気です!スローライフを楽しむぞっ♪
naturalsoft
恋愛
シオン・スカーレット公爵令嬢は転生者であった。夢だった剣と魔法の世界に転生し、剣の鍛錬と魔法の鍛錬と勉強をずっとしており、攻略者の好感度を上げなかったため、婚約破棄されました。
「あれ?ここって乙女ゲーの世界だったの?」
まっ、いいかっ!
持ち前の能天気さとポジティブ思考で、辺境へ追放されても元気に頑張って生きてます!

転生したら貴族の息子の友人A(庶民)になりました。
襲
ファンタジー
〈あらすじ〉
信号無視で突っ込んできたトラックに轢かれそうになった子どもを助けて代わりに轢かれた俺。
目が覚めると、そこは異世界!?
あぁ、よくあるやつか。
食堂兼居酒屋を営む両親の元に転生した俺は、庶民なのに、領主の息子、つまりは貴族の坊ちゃんと関わることに……
面倒ごとは御免なんだが。
魔力量“だけ”チートな主人公が、店を手伝いながら、学校で学びながら、冒険もしながら、領主の息子をからかいつつ(オイ)、のんびり(できたらいいな)ライフを満喫するお話。
誤字脱字の訂正、感想、などなど、お待ちしております。
やんわり決まってるけど、大体行き当たりばったりです。
能力値カンストで異世界転生したので…のんびり生きちゃダメですか?
火産霊神
ファンタジー
私の異世界転生、思ってたのとちょっと違う…?
24歳OLの立花由芽は、ある日異世界転生し「ユメ」という名前の16歳の魔女として生きることに。その世界は魔王の脅威に怯え…ているわけでもなく、レベルアップは…能力値がカンストしているのでする必要もなく、能力を持て余した彼女はスローライフをおくることに。そう決めた矢先から何やらイベントが発生し…!?

異世界転生した時に心を失くした私は貧民生まれです
ぐるぐる
ファンタジー
前世日本人の私は剣と魔法の世界に転生した。
転生した時に感情を欠落したのか、生まれた時から心が全く動かない。
前世の記憶を頼りに善悪等を判断。
貧民街の狭くて汚くて臭い家……家とはいえないほったて小屋に、生まれた時から住んでいる。
2人の兄と、私と、弟と母。
母親はいつも心ここにあらず、父親は所在不明。
ある日母親が死んで父親のへそくりを発見したことで、兄弟4人引っ越しを決意する。
前世の記憶と知識、魔法を駆使して少しずつでも確実にお金を貯めていく。

聖女の娘に転生したのに、色々とハードな人生です。
みちこ
ファンタジー
乙女ゲームのヒロインの娘に転生した主人公、ヒロインの娘なら幸せな暮らしが待ってると思ったけど、実際は親から放置されて孤独な生活が待っていた。

はずれスキル『本日一粒万倍日』で金も魔法も作物もなんでも一万倍 ~はぐれサラリーマンのスキル頼みな異世界満喫日記~
緋色優希
ファンタジー
勇者召喚に巻き込まれて異世界へやってきたサラリーマン麦野一穂(むぎのかずほ)。得たスキルは屑(ランクレス)スキルの『本日一粒万倍日』。あまりの内容に爆笑され、同じように召喚に巻き込まれてきた連中にも馬鹿にされ、一人だけ何一つ持たされず荒城にそのまま置き去りにされた。ある物と言えば、水の樽といくらかの焼き締めパン。どうする事もできずに途方に暮れたが、スキルを唱えたら水樽が一万個に増えてしまった。また城で見つけた、たった一枚の銀貨も、なんと銀貨一万枚になった。どうやら、あれこれと一万倍にしてくれる不思議なスキルらしい。こんな世界で王様の助けもなく、たった一人どうやって生きたらいいのか。だが開き直った彼は『住めば都』とばかりに、スキル頼みでこの異世界での生活を思いっきり楽しむ事に決めたのだった。

こちらの異世界で頑張ります
kotaro
ファンタジー
原 雪は、初出勤で事故にあい死亡する。神様に第二の人生を授かり幼女の姿で
魔の森に降り立つ 其処で獣魔となるフェンリルと出合い後の保護者となる冒険者と出合う。
様々の事が起こり解決していく
うっかり女神さまからもらった『レベル9999』は使い切れないので、『譲渡』スキルで仲間を強化して最強パーティーを作ることにしました
akairo
ファンタジー
「ごめんなさい!貴方が死んだのは私のクシャミのせいなんです!」
帰宅途中に工事現場の足台が直撃して死んだ、早良 悠月(さわら ゆずき)が目覚めた目の前には女神さまが土下座待機をして待っていた。
謝る女神さまの手によって『ユズキ』として転生することになったが、その直後またもや女神さまの手違いによって、『レベル9999』と職業『譲渡士』という謎の職業を付与されてしまう。
しかし、女神さまの世界の最大レベルは99。
勇者や魔王よりも強いレベルのまま転生することになったユズキの、使い切ることもできないレベルの使い道は仲間に譲渡することだった──!?
転生先で出会ったエルフと魔族の少女。スローライフを掲げるユズキだったが、二人と共に世界を回ることで国を巻き込む争いへと巻き込まれていく。
※9月16日
タイトル変更致しました。
前タイトルは『レベル9999は転生した世界で使い切れないので、仲間にあげることにしました』になります。
仲間を強くして無双していく話です。
『小説家になろう』様でも公開しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる