銀の聖女と呼ばれた公爵令嬢が獣人に転生!今度も銀の聖女と呼ばれてしまいますが、私は只の冒険者です‼︎

ノデミチ

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獣人王国ゲゥドーン

13. 陰謀をぶっ潰せ!

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 獣人王国ゲゥドーンは、その国土が森と草原。
 河や泉もある、私達獣人にとっては住みやすい環境。その分街を作り難く里が点在する形になってる。王都ですら、帝国では商都程の規模でしかなくて。
 帝国程帳簿での戸籍管理はされてないけど、獣人の付き合いは深いの。犬系種族に至っては挨拶で匂いを嗅ぎ合うから、隣人は勿論同じ里の者で知らない人なんかいないって言える。
 私達サラとリーファも帝国ではやらないけど、此処では普通に犬系族の嗅ぎ合い挨拶をしてたんだ。

「事故で行方不明がいっぱい?」

 私達がゲゥドーン王国を訪れていた時に起こった山中の事故。確かに近くの山肌の崩落から地滑りが始まって、里にかなりの被害があったんだけど。
 別に家屋が埋まった訳でもないし、何処か開けたトコへ避難したって事でもないのに。
 私達が衛士団と現場に赴いた時には、もう高齢と言える方々の死屍累々だった。

「こ、これは?」
「何かおかしいわ。ちょい調べて探っていい?」

 サラは野伏レンジャー盗賊シーフ
 凄腕の密偵とも言えるの。

「何て雑な細工。罠師としては落第点ね」

 やっぱり、崩落した山肌には、そうなるべくの仕掛けがされてて。
「サラ殿、それでは」
「はい。ここの崩落から泉に土砂を流れ込ませて泥濘を作り里へ流れ込ませる。となると、あそこ!あの高台にとりあえず集まって泥が引くのを待つのが得策。その渦中で襲撃。此処、消したつもりなんでしょうけど」
 サラが指す地面。何かを引き摺った後が。
「事故じゃなくて、離れ郷を狙った人攫いの仕業」

 里の誰かが放った通信鳥。
 慌てて、先ずは連絡が先決と「土砂崩れ発生 ガル郷」と殴り書きの手紙。字数が少ないのは、獣人の識字率の低さ。こんな離れ郷に、よくも手紙を書ける人材がいたと思う。

「人攫い…、奴隷商へ売り飛ばすって事か。此処が牛族の郷と狙ってきたか」

 帝国ならば有り得ない。
 でも他国なら、獣人は大概奴隷階級の労働力だ。

 若い牛族の女性メスは乳母として高く売れる。赤子が丈夫に育つと言われる程、牛族の乳は栄養価が高い上に、従順で献身的な性格も乳母向きとされていて。これは男性オスも同じで。従順で力も強い牛族はキツい力仕事にもうってつけだと引くて数多。
 役に立てない老人だけを置いてけぼり…いや、始末していったんだ。

「西方諸国ならば敵性国家だし、彼等は魔物呼ばわりしてるから拉致なんてしない。殲滅してくるから。この辺で…、そうか!確かローデルシア王国で大規模な奴隷市が来月開かれる筈」

 北の大国ローデルシア王国は、獣人を亜人とは認めている。奴隷階級だけど、使い捨てのモノではなくて主人のという扱い。殺すのは勿論傷付ける事も罪に問われるから、ローデルシアでは、考える程酷い扱いにはならない。
 だからといって、拉致同然に連れて行って市で売り飛ばす等許せる筈もない!

「通信鳥が来て大急ぎでガル郷へ来た。奴等の狙いはこの郷だけなのか、それとも」
「市な開催まで、まだ間があります。ならもう少し人材を確保する筈。この郷に100名近く居たら、此処で終わると思うけど」
「いや、その半分も居ない。此処は比較的新しい開拓地だから。それにしても、流石はランクCの冒険者ですね」

 ゲゥドーン王国衛士は国防を担う力こそ求められるから。勿論捜査権力も有るだろうけど、頭使う事が不向きな人が多くてって感じて、つい、私はサラと顔を見合わせてしまった。
 本来、年齢的にはもっと下のランクなんだろう。
 こないだの瘴気竜討伐で『元気っ娘私達』のランクは上がったんだ

「ね、サラ」
「うん、気付いた。冒険者かな?若い犬系族の男性オスが此処に来てる」

 私達が来るちょい前くらい。
 多分、私達と同じ様にこの辺りを調べて、同じ結論に達して。そして何か、人攫い共の動きが分かる確証を見つけて動いた?或いは単に、他の手掛かりを探しに行った?

「同族かなぁ。コレ、私と同じ狼族だと思う」

 発情期はまだまだ先の幼い身だけど、それでも私の身体は反応してる。コレは同族男性オスに対する女性メス特有のモノ。犬系族は特に嗅覚が優れる分、どうしてもこの手の匂いには敏感になってしまう。

「何か手掛かり、掴んだのかなぁ」
「多分ね。リーファ、あれ、見て」

 サラが指差すトコ、草の葉を幾つか結んでるトコがある。

「コレって?」
「コレ、さ。『野伏レンジャー』が使う草合わせって伝達方法。結びの一つ一つが意味ある言葉になってんだ。でね、『5~6人程の集団、北から西へ』って言ってる」

 この事を衛士達に伝えると。

「此処から西となるとギルチャナの森か。なるほど、野盗の隠れ家としてもピッタリだ」

 そればかりではなく、近くに郷が2つ程あるんだとか。益々彼等にとって都合の良い森だわ。

「早速向かいましょう」

 ☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆

「全く、散々手を焼かせやがって」
「やっと捕まえたぜ、このガキ」
「黙れ!薄汚ねぇ人攫いが‼︎」

 数名の男達に取り囲まれた獣人の男の子達。

 


 やや青白地味た毛色はとても珍しい狼族の少年と燃えてる様な赤毛のキツネ族の少年~こちらが少し歳上?

 森の中で、彼等が絶体絶命のピンチになろうとしていました。
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