ミルキィにおまかせ!

ノデミチ

文字の大きさ
上 下
37 / 55
王女襲来!

37. 王宮への報告

しおりを挟む
「監視と工作を怠るな。我はそう言った筈だ」
「ハン、必要ねぇだろ?」
「ミノゾス。貴様が楽観する間にダームは斃されてしまったぞ?」
「はあ?何の冗談だ?ライガス」
「全く。使えんな、ミノゾス。どうやら魔将の名はお前には荷が重い様だな」
「ぐ、ぐげ…げぇふ」

「本当に何も見ておらぬ様だが。念には念をいれて、監視役にはココらで消えて貰うと。さて、2人のレベッカ様はどう動かれるのかな。クックックッ、フ、フハハハハハ」

 どうぞ、ライガスを存分に楽しませて下さいませ、レベッカ様。

 ☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆

「では、ミルキィが倒したのは魔将だと」
「魔将ダームと。ミルキィの受け応えから察するに、彼女はかなり魔族を知っているのでは?」

 王都での魔族暗躍に端を発した警備強化と戦闘防御力の増強。その一環として、王立学院の特Aクラスの底上げを図るために組まれた野外演習カリキュラムにて、初年度特Aクラスに王族2人を加えた特別編成の実習は、当の魔族の乱入と言う事態を生んでしまった。
 ジャック=シルバーが対処するより早く、ミルキィが動いていた。

 結界と防御魔法の重ね掛けを指示して。

 確かに、魔族の魔法や剣戟を防ぐ事は出来た。
 だが、此方からは何も手出しが叶わず、ミルキィ1人に全てを任せる結果になってしまう。

 …我が目が信じられない。
 ミルキィは魔族の爪が化した剣を腕ごと斬り飛ばした。

 何?何を言ってる?
 あの魔族は、何故魔法を撃たなくなった?

 ミルキィ?攻撃魔法を使ったのか?
 …ま、魔族を倒した?

 あれは?
 魔族がもう1人?
 何?何を話してる?

 結界と防御魔法が切れた時には、ミルキィが斬り落とした角をもって1人佇んでいた。

「ミルキィ君!」
「…魔族は倒しました」

 やっぱり、前の神官ソンダクに化けていた魔族を倒したのも君なのですね?ミルキィ。

 従魔が追い払った。

 君はそう言っていたが、その魔族の足取りも途絶えていた。まさかとは思っていたけど…。

 兎も角、演習を切り上げ私達は学院へと戻りました。生徒達を解散させ、学院長へと報告した後、そのまま王宮へと報告する事に。

「ミルキィは魔族を知っている。魔族を、いや魔将すら単独で倒せる力を持つ、か」
「とても…、その、我が目すら信じられない事です。こうなると重ね掛けの結界や防御魔法の為に詳細を見届けられなかった事が惜しまれます」
「或いは、その意図もあったやも知れぬの。とは言え、1度は従魔が撃退したと言っておるのだ。此度も己が実力を示す気は本来無かったで有ろうが、それでも魔族と単身戦った訳だな」
「そうですね。自身の実力を曝す事より友人クラスメートの安全をとった。あの子らしい」

 陛下の意に学院長も同感する。
 私もだ。単独戦闘はミルキィの本意ではないのは日頃の彼女を見ればよく分かる。錬金術師はある意味裏方だ。ミルキィもその本分に徹したいと思っている様だし。

「それと、彼女が攻撃魔法を行使したとの事だが?」
「そう見えたのです。また、魔族の魔法を打ち消した様にも見えました」
「ティオーリア?これは」
「おそらく解析消去マテリアルキャンセル。それが独自オリジナルの魔法であろうとも生成陣を解析し同じ魔法を打つける事で相殺してしまうスキル。…そうか、だからか」
「ティオーリア?」
「ミルキィの左眼です。いくらMIXでもオッドアイは珍しい。何か他の亜人の血が入っているのかと思っていたのですが金色の瞳、このスキルが故の事だったのですね」

 ミルキィは右が紅眼、左が金眼だ。
 その可憐な童顔に似つかわしくない神秘さを印象付ける目。魔人族もだがMIXの証として受け入れられているが、それも人種差別の少ないこのレクサンダルならではの事だ。

解析消去マテリアルキャンセル…。まるで夢でも見ている様なスキルの持ち主じゃな」
「陛下、彼女にはまだ秘密がありそうですが?」
「構わん。下手に詮索して我が国から出奔されては元も子もなくなる。最早『勇者』とも思える程の存在になってきておるのじゃ」

 そうだ。
 君が、この世界に本当に必要なんだよ。

 ミルキィ。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない

月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。 人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。 2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事) 。 誰も俺に気付いてはくれない。そう。 2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。 もう、全部どうでもよく感じた。

処理中です...