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激闘!潜水戦隊
28.
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クリスマス島攻略。
パルミラ環礁アメリカ海軍拠点攻略と比べて、イギリス軍もそこまで己が常識にとらわれてはいなかったものの、やはり戦略砲撃潜水艦の威力は大きく、哨戒艇やコルベット船が主力の兵站拠点では30センチ砲塔に対抗しようがなかった。
そのイ- 501がクリスマス島へ寄港しようとする、現況輸送船となっているイギリス客船クイーンエリザベス号と遭遇する。
本来なら攻撃し、沈めるのが当然。
それが戦時下である。
だがイ- 501艦長真田大佐は、女王の名を冠する船を沈める事に抵抗を感じ、501を浮上させ砲撃の意思は見せたものの、引き返す様に説得した。
これはイ- 401の有田司令も納得、賛同する。
有田としても、やはりイギリス女王に銃口を向ける様な事態を、戦争当事者としても可とする事には難色を示したのである。
物資輸送の任を全う出来ないのだから、イギリスにとって痛手なのは勿論なのだが、日本軍がイギリス王室への敬意を今だ持ち続けている事を実証したと言えるこの件は、イギリス軍もだがイギリス政府への心象を、思いっきり揺るがしたのだった。
☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆
「君はどう思う」
「アメリカは納得せんでしょうな」
「は、あんな親不孝者の機嫌等考慮の必要はないよ。それに日本も早期講和を望んでいると思える」
「だとしても、もう少し時間をいただきたい」
ドイツとの戦争の為ならば、どんな手でも打つ。
チャーチル首相は、場合によっては日本との単独講和をも選択肢にと考え始めたのである。
☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆
「クイーンエリザベス号を見逃した?また真田艦長も思い切りましたね」
「現女王の名を冠する船だ。私もやはり躊躇するよ」
イ- 400はパルミラ環礁攻略を終え帰路についていた。
そこへイ- 401より有田司令発のクリスマス環礁攻略作戦結果が送られてきたのである。
「そして有田司令も納得済みだ」
「流石に国際情勢には明るい、と言う事ですか」
「ああ。上が近視眼的なモノの見方をしないと言うのは、本当に有り難い事だ」
戦時下なのだから、敵性輸送船は撃沈あるのみ。
軍人として、その判断は正しい。
だが、女王の名を冠する船を沈められてイギリス国民が黙っている筈が無い。それでなくとも怨嗟の無限ループとならざるを得ないのが戦争だ。女王を沈められたイギリス軍は日本人の殲滅を言い出しかねない。それが名ばかりの船だとしても。
その国民性と山本五十六長官の構想にあるアメリカとの早期講和。ここでイギリスの怨みを買うのは悪手。頑固で聴く耳持たないと言われる有田大佐も、その意を汲めるだけの判断力を持ち合わせていたと言える。
無論、イギリス極東艦隊を空襲で壊滅させた日本軍はイギリスの怨みを買ってはいる。が、やはりこれは話の次元が違うだろう。
「艦長、通信が入っています」
☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆
クリスマス島攻略後、帰投中のイ- 501にも同じ通信が入っていた。
「ホーン岬を回ってくるアメリカ艦隊を待ち伏せ攻撃しろって?本気ですか?」
「そう言う指令だ。山本閣下はアメリカ艦隊が太平洋に出張ってくる事を、何がなんでも阻止したいらしい」
「それはウチらだけで?」
「いや、イ- 400が一緒だと言う事だ」
通信文を受けたイ- 501の真田艦長が一読して文書を横川先任へ渡す。
「401とじゃない…。と言う事は、艦長や南田艦長に事を一任する、と」
旗艦では無い2隻だけで組んでの作戦。
これまではどちらかの旗艦が一緒だったのに。
「まぁ、有田司令と同道しないというのは、ある意味助かると言えますね」
「厄介払いかもしれんぞ」
「有田司令は兎も角、柴少将に、そんなお考えはないでしょう」
「ふむ。それもそうか」
向こうが年齢も上だし、大佐への昇進も早い。
同格とは言え先達には変わりないのだが…。
有田大佐の、真田や山崎艦長への態度は多少不快感が垣間見えるのだ。
「あれだけ山本閣下に戦略潜水戦隊の事への支持をアピールしていたと言うのに、分艦隊司令に過ぎないと言う事は余程腹に据えかねる事態だったのでしょうねぇ」
「まぁいい。合流地点へ向かうぞ」
パルミラ環礁アメリカ海軍拠点攻略と比べて、イギリス軍もそこまで己が常識にとらわれてはいなかったものの、やはり戦略砲撃潜水艦の威力は大きく、哨戒艇やコルベット船が主力の兵站拠点では30センチ砲塔に対抗しようがなかった。
そのイ- 501がクリスマス島へ寄港しようとする、現況輸送船となっているイギリス客船クイーンエリザベス号と遭遇する。
本来なら攻撃し、沈めるのが当然。
それが戦時下である。
だがイ- 501艦長真田大佐は、女王の名を冠する船を沈める事に抵抗を感じ、501を浮上させ砲撃の意思は見せたものの、引き返す様に説得した。
これはイ- 401の有田司令も納得、賛同する。
有田としても、やはりイギリス女王に銃口を向ける様な事態を、戦争当事者としても可とする事には難色を示したのである。
物資輸送の任を全う出来ないのだから、イギリスにとって痛手なのは勿論なのだが、日本軍がイギリス王室への敬意を今だ持ち続けている事を実証したと言えるこの件は、イギリス軍もだがイギリス政府への心象を、思いっきり揺るがしたのだった。
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「君はどう思う」
「アメリカは納得せんでしょうな」
「は、あんな親不孝者の機嫌等考慮の必要はないよ。それに日本も早期講和を望んでいると思える」
「だとしても、もう少し時間をいただきたい」
ドイツとの戦争の為ならば、どんな手でも打つ。
チャーチル首相は、場合によっては日本との単独講和をも選択肢にと考え始めたのである。
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「クイーンエリザベス号を見逃した?また真田艦長も思い切りましたね」
「現女王の名を冠する船だ。私もやはり躊躇するよ」
イ- 400はパルミラ環礁攻略を終え帰路についていた。
そこへイ- 401より有田司令発のクリスマス環礁攻略作戦結果が送られてきたのである。
「そして有田司令も納得済みだ」
「流石に国際情勢には明るい、と言う事ですか」
「ああ。上が近視眼的なモノの見方をしないと言うのは、本当に有り難い事だ」
戦時下なのだから、敵性輸送船は撃沈あるのみ。
軍人として、その判断は正しい。
だが、女王の名を冠する船を沈められてイギリス国民が黙っている筈が無い。それでなくとも怨嗟の無限ループとならざるを得ないのが戦争だ。女王を沈められたイギリス軍は日本人の殲滅を言い出しかねない。それが名ばかりの船だとしても。
その国民性と山本五十六長官の構想にあるアメリカとの早期講和。ここでイギリスの怨みを買うのは悪手。頑固で聴く耳持たないと言われる有田大佐も、その意を汲めるだけの判断力を持ち合わせていたと言える。
無論、イギリス極東艦隊を空襲で壊滅させた日本軍はイギリスの怨みを買ってはいる。が、やはりこれは話の次元が違うだろう。
「艦長、通信が入っています」
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クリスマス島攻略後、帰投中のイ- 501にも同じ通信が入っていた。
「ホーン岬を回ってくるアメリカ艦隊を待ち伏せ攻撃しろって?本気ですか?」
「そう言う指令だ。山本閣下はアメリカ艦隊が太平洋に出張ってくる事を、何がなんでも阻止したいらしい」
「それはウチらだけで?」
「いや、イ- 400が一緒だと言う事だ」
通信文を受けたイ- 501の真田艦長が一読して文書を横川先任へ渡す。
「401とじゃない…。と言う事は、艦長や南田艦長に事を一任する、と」
旗艦では無い2隻だけで組んでの作戦。
これまではどちらかの旗艦が一緒だったのに。
「まぁ、有田司令と同道しないというのは、ある意味助かると言えますね」
「厄介払いかもしれんぞ」
「有田司令は兎も角、柴少将に、そんなお考えはないでしょう」
「ふむ。それもそうか」
向こうが年齢も上だし、大佐への昇進も早い。
同格とは言え先達には変わりないのだが…。
有田大佐の、真田や山崎艦長への態度は多少不快感が垣間見えるのだ。
「あれだけ山本閣下に戦略潜水戦隊の事への支持をアピールしていたと言うのに、分艦隊司令に過ぎないと言う事は余程腹に据えかねる事態だったのでしょうねぇ」
「まぁいい。合流地点へ向かうぞ」
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