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30. 2人で歩む道(終)
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「情け無い話だよ、マーガレット」
「素だと、祐介でしか無い訳?アルフォート殿下として生きた経験、もう少し出して欲しいんだけど?」
王宮の王太子私室。
2人っきりなのは、改めて婚約したから。ボルト男爵家から王太子妃候補を辞退する旨王宮へ奏上され、殿下とミリア嬢の仲は周知の事実ではあったものの正式に婚約が発表される前の事で。
王宮は王家とバルター公爵家の婚姻の破棄の件を正式に否定した。
なので、私の王太子の婚約者という状況は復活する事となって。王家の威信は少し傷付くものの、元鞘に収まる事で収拾がつく運びとなり、その分クレイン王家はバルター公爵家に借りを作る事と相なった形で。
勿論、そんな機をお父様が逃す訳も無くて。宰相家たるチェスター公爵家と同格とも言える家格となり、2大巨頭とも言える立場にバルター公爵家はなった。
「そ、そうだね。うん、全く無い訳じゃないんだけど」
私は、マーガレットとして生きた証と北斗真里の知識経験が程良く融合している。公爵令嬢としての立ち振る舞いとアウトドア好き女子高生のスキルの切り替えが、何の戸惑いもなく出来ているんだけど、王太子殿下はそうじゃないみたいで。
「マーガレットに触れた事がきっかけで祐介が全面に出た訳だからさ。もっとガッチリ触れ合えば、またアルフォートも出るかもしれないし」
「ガッチリ?本当かしら。ま、いいわ。その口車に乗ってあげる」
真里と祐介は幼馴染で、恋人としての交際はまだ日が浅かった。当時は中学生。お互いを異性として意識していたけど、やっぱり一歩踏み込むのは怖かったし。だから私達はキス以上進めなかった。
高校生となって、これからという時に祐介が発症し、あっという間に寝たきりとなってしまったので人目を忍ぶ事も出来ず。なのでキス位しか出来る事はなくて。
1度はB、その、胸を直に触れるのを許したけど、なんかくすぐったくて、感じるとか、その、気持ちいいとか迄いかなくて…。
婚約者だから、少し踏み込んでみよう。
私はアルフォート殿下の手を取ると、己が胸に押し当て、そのまま殿下と唇を重ねた。
永遠と思える時間。
でも、今回私は幸せと感じる事が出来た。
「お慕いしています、アルフォート殿下」
「あぁ、ま…、マーガレット」
うん、少し顔付き変わったかな?
確かに、何か、心の琴線に触れた感じあった。
現代高校生から、文官肌の王太子に戻れたみたい?って言うか、上手く融合出来た?
「次期国王として不甲斐ない姿を晒してしまって。此処からの挽回はかなり厳しいと思うけど」
「まだこれからです。陛下も御壮健なれば、直ぐすぐに国政をみなければならない訳でもありませ…、きゃっ、もう、殿下?」
忘れてた。殿下の手を胸に当ててたんだ。
ムギュッって揉まれてしまった。
何せ、前世時よりかなり豊かになっているから。
気が付けば、左手でしっかり肩を抱かれ、右手は胸に触れられたままで。
「回り道した。多分、前世の不幸をこの世界でやり直せる、その為に俺達は転生したと信じるから…」
右手が頬へ移り、殿下から優しくキスされる。
ゲームとは違う結末。
でも、これでいいんだろう。
冒険者として生きる道もあった。
多分、そのルートならカールと結ばれたかも。
また、カナック王家へ嫁ぐ事も出来た。
私は、ゲームのストーリーに囚われ過ぎていたかもしれない。可能性はいくらでもある。
私は、私達はこの世界を生きている。
この世界で生きている。
この、2人で歩む道を…、生きていくんだ。
今度こそ、幸せになれると信じて。
神様、今度は大丈夫だよね。
「悪役令嬢に転生した私に婚約破棄を告げたのは、前世で恋人だった王太子殿下でした」
~fin~
「素だと、祐介でしか無い訳?アルフォート殿下として生きた経験、もう少し出して欲しいんだけど?」
王宮の王太子私室。
2人っきりなのは、改めて婚約したから。ボルト男爵家から王太子妃候補を辞退する旨王宮へ奏上され、殿下とミリア嬢の仲は周知の事実ではあったものの正式に婚約が発表される前の事で。
王宮は王家とバルター公爵家の婚姻の破棄の件を正式に否定した。
なので、私の王太子の婚約者という状況は復活する事となって。王家の威信は少し傷付くものの、元鞘に収まる事で収拾がつく運びとなり、その分クレイン王家はバルター公爵家に借りを作る事と相なった形で。
勿論、そんな機をお父様が逃す訳も無くて。宰相家たるチェスター公爵家と同格とも言える家格となり、2大巨頭とも言える立場にバルター公爵家はなった。
「そ、そうだね。うん、全く無い訳じゃないんだけど」
私は、マーガレットとして生きた証と北斗真里の知識経験が程良く融合している。公爵令嬢としての立ち振る舞いとアウトドア好き女子高生のスキルの切り替えが、何の戸惑いもなく出来ているんだけど、王太子殿下はそうじゃないみたいで。
「マーガレットに触れた事がきっかけで祐介が全面に出た訳だからさ。もっとガッチリ触れ合えば、またアルフォートも出るかもしれないし」
「ガッチリ?本当かしら。ま、いいわ。その口車に乗ってあげる」
真里と祐介は幼馴染で、恋人としての交際はまだ日が浅かった。当時は中学生。お互いを異性として意識していたけど、やっぱり一歩踏み込むのは怖かったし。だから私達はキス以上進めなかった。
高校生となって、これからという時に祐介が発症し、あっという間に寝たきりとなってしまったので人目を忍ぶ事も出来ず。なのでキス位しか出来る事はなくて。
1度はB、その、胸を直に触れるのを許したけど、なんかくすぐったくて、感じるとか、その、気持ちいいとか迄いかなくて…。
婚約者だから、少し踏み込んでみよう。
私はアルフォート殿下の手を取ると、己が胸に押し当て、そのまま殿下と唇を重ねた。
永遠と思える時間。
でも、今回私は幸せと感じる事が出来た。
「お慕いしています、アルフォート殿下」
「あぁ、ま…、マーガレット」
うん、少し顔付き変わったかな?
確かに、何か、心の琴線に触れた感じあった。
現代高校生から、文官肌の王太子に戻れたみたい?って言うか、上手く融合出来た?
「次期国王として不甲斐ない姿を晒してしまって。此処からの挽回はかなり厳しいと思うけど」
「まだこれからです。陛下も御壮健なれば、直ぐすぐに国政をみなければならない訳でもありませ…、きゃっ、もう、殿下?」
忘れてた。殿下の手を胸に当ててたんだ。
ムギュッって揉まれてしまった。
何せ、前世時よりかなり豊かになっているから。
気が付けば、左手でしっかり肩を抱かれ、右手は胸に触れられたままで。
「回り道した。多分、前世の不幸をこの世界でやり直せる、その為に俺達は転生したと信じるから…」
右手が頬へ移り、殿下から優しくキスされる。
ゲームとは違う結末。
でも、これでいいんだろう。
冒険者として生きる道もあった。
多分、そのルートならカールと結ばれたかも。
また、カナック王家へ嫁ぐ事も出来た。
私は、ゲームのストーリーに囚われ過ぎていたかもしれない。可能性はいくらでもある。
私は、私達はこの世界を生きている。
この世界で生きている。
この、2人で歩む道を…、生きていくんだ。
今度こそ、幸せになれると信じて。
神様、今度は大丈夫だよね。
「悪役令嬢に転生した私に婚約破棄を告げたのは、前世で恋人だった王太子殿下でした」
~fin~
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