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16. 激動の3日間
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「カナックへ赴いた時言うのか…。しかも王太子と邂逅?求婚された、と?何故、そうなる?」
「中々激動ですわ。問題は王家が娘の婚約解消を認めていない事ですね」
メイド長へルヴァから、いきなり飛び込んできた、まさに青天の霹靂と言ってもいい伝言。流石の私も予想だにしていない出来事です。
マーガレットとアルフォート王太子との婚約。
王太子より破棄宣言があり、娘も当家も承諾の旨を王家に伝えました。
でも、国王陛下の一声で無碍にされ、しかも当のアルフォート殿下より婚約破棄の撤回の申し入れがあったのです。
ですが、その頃にはマーガレットは、冒険者として生計を立てるべく当家を出奔していました。依頼をこなしつつ、王都から離れ辺境へと向かうつもりとは聞いていたのですが。
翌日。
「詳しい詳細が来ました」
水面への伝言ではなくて、ギルドに依頼しての通信鳥が送り届けてくれる速達便。これは確かに娘の字。それにリサからも来ているわ。
「リサの姉弟子の所へやむ無く跳んだ、と。其処に偶々カナック王国王太子ジュスラン殿下がいらして、殿下が一目惚れなされた、と」
あらあら。
中々ロマンチックじゃない。
ジュスラン王太子と言えば、文武両道に優れ、あの娘の一つ上と聞き及んでるわ。我が国の王太子よりもよほど優良物件ね。
「どうしますか、あなた」
「マーガレット次第だ。場合によっては降爵をも視野に入れよう」
大体に於いて、夫の判断は私の想いと変わらない。しかも明言までする。
「そうね。あの娘が望むなら他王家へ嫁ぐのも有りで」
「だが、これはお義父上は」
「構わぬ!こんな老先短い隠居に遠慮は無用じゃ」
お父様?いつの間に。
「孫娘の行末に口出しなんぞ、天に召されてから儂の席が狭くなるわ」
母に先立たれて、悠々自適の隠居生活の父。
確かに孫娘には激甘祖父でしかなかったわね。
「では、これより登城しよう。当家の判断を、王家にハッキリと示す」
この翌日にはウェルバーム王国クレイン王家にも、カナック王国から、娘を王家に迎え入れる用意がある、と通告があったそうです。
ジュスラン王太子の行動力は侮れません。
出会って数日で、此処迄事を運んだのですから。
☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆
「なんと?」
「我々も、俄かには信じられぬ話です。最初は水属性通信で『王太子と邂逅』と。今日になって手紙が直接届けられました。娘達が立ち寄った、メイドの知り合いの元へ先客としてカナック王国王太子が居られたと。彼の殿下は娘に一目惚れをし、即、交際処か求婚してきたと。そのまま王宮へ連れて行かれた由、娘達に拒む術無しと手紙にありました」
娘の事で、火急の知らせ有り。
陛下への謁見を求めた私は、筆頭公爵家の立場もあり、他の者や状況よりも優先されて謁見の間に通された。
陛下と宰相の2人のみで私を迎え入れてくれた処をみると、まだ婚約解消を公にはなされぬおつもりだろうか?
「で、公爵家は何と返答するつもりか」
「当家は娘に任せます。確かに婚約破棄、解消には未だ及んではおりませぬが、仮にも一度は王太子殿下が宣言なされた事項です。その事を恥じて出奔した娘が他国で他国王族に求愛され、これを受け入れたとしても、彼女に責有りとは言えますまい」
「むう。確かにそうじゃが…」
「陛下、御無念は尤もなれど、此度は」
「フム。宰相も公に同意するか」
「夜会にて、堂々と宣言されておりますれば、公爵令嬢の対応言動は理に適っておりましょう」
「全ては愚息の先走り、か。時に、例の男爵令嬢に於いては」
「爵位は下位なれど、言動礼節は可なりと聞き及んでおりますれば」
「そうか」
よし。
これで、娘と王太子殿下との婚約破棄は成る。
☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆
バルター公爵から令嬢の動向と婚約破棄の申し入れがあった翌日、カナック王国から、件の公爵令嬢を自国王太子の伴侶とする旨、申出が来た。
陛下も納得された為、宰相として国書として同意と祝す旨の返書を認めた。
「彼女を手離す事、我が国最大の過ちやもしれぬ」
「中々激動ですわ。問題は王家が娘の婚約解消を認めていない事ですね」
メイド長へルヴァから、いきなり飛び込んできた、まさに青天の霹靂と言ってもいい伝言。流石の私も予想だにしていない出来事です。
マーガレットとアルフォート王太子との婚約。
王太子より破棄宣言があり、娘も当家も承諾の旨を王家に伝えました。
でも、国王陛下の一声で無碍にされ、しかも当のアルフォート殿下より婚約破棄の撤回の申し入れがあったのです。
ですが、その頃にはマーガレットは、冒険者として生計を立てるべく当家を出奔していました。依頼をこなしつつ、王都から離れ辺境へと向かうつもりとは聞いていたのですが。
翌日。
「詳しい詳細が来ました」
水面への伝言ではなくて、ギルドに依頼しての通信鳥が送り届けてくれる速達便。これは確かに娘の字。それにリサからも来ているわ。
「リサの姉弟子の所へやむ無く跳んだ、と。其処に偶々カナック王国王太子ジュスラン殿下がいらして、殿下が一目惚れなされた、と」
あらあら。
中々ロマンチックじゃない。
ジュスラン王太子と言えば、文武両道に優れ、あの娘の一つ上と聞き及んでるわ。我が国の王太子よりもよほど優良物件ね。
「どうしますか、あなた」
「マーガレット次第だ。場合によっては降爵をも視野に入れよう」
大体に於いて、夫の判断は私の想いと変わらない。しかも明言までする。
「そうね。あの娘が望むなら他王家へ嫁ぐのも有りで」
「だが、これはお義父上は」
「構わぬ!こんな老先短い隠居に遠慮は無用じゃ」
お父様?いつの間に。
「孫娘の行末に口出しなんぞ、天に召されてから儂の席が狭くなるわ」
母に先立たれて、悠々自適の隠居生活の父。
確かに孫娘には激甘祖父でしかなかったわね。
「では、これより登城しよう。当家の判断を、王家にハッキリと示す」
この翌日にはウェルバーム王国クレイン王家にも、カナック王国から、娘を王家に迎え入れる用意がある、と通告があったそうです。
ジュスラン王太子の行動力は侮れません。
出会って数日で、此処迄事を運んだのですから。
☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆
「なんと?」
「我々も、俄かには信じられぬ話です。最初は水属性通信で『王太子と邂逅』と。今日になって手紙が直接届けられました。娘達が立ち寄った、メイドの知り合いの元へ先客としてカナック王国王太子が居られたと。彼の殿下は娘に一目惚れをし、即、交際処か求婚してきたと。そのまま王宮へ連れて行かれた由、娘達に拒む術無しと手紙にありました」
娘の事で、火急の知らせ有り。
陛下への謁見を求めた私は、筆頭公爵家の立場もあり、他の者や状況よりも優先されて謁見の間に通された。
陛下と宰相の2人のみで私を迎え入れてくれた処をみると、まだ婚約解消を公にはなされぬおつもりだろうか?
「で、公爵家は何と返答するつもりか」
「当家は娘に任せます。確かに婚約破棄、解消には未だ及んではおりませぬが、仮にも一度は王太子殿下が宣言なされた事項です。その事を恥じて出奔した娘が他国で他国王族に求愛され、これを受け入れたとしても、彼女に責有りとは言えますまい」
「むう。確かにそうじゃが…」
「陛下、御無念は尤もなれど、此度は」
「フム。宰相も公に同意するか」
「夜会にて、堂々と宣言されておりますれば、公爵令嬢の対応言動は理に適っておりましょう」
「全ては愚息の先走り、か。時に、例の男爵令嬢に於いては」
「爵位は下位なれど、言動礼節は可なりと聞き及んでおりますれば」
「そうか」
よし。
これで、娘と王太子殿下との婚約破棄は成る。
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バルター公爵から令嬢の動向と婚約破棄の申し入れがあった翌日、カナック王国から、件の公爵令嬢を自国王太子の伴侶とする旨、申出が来た。
陛下も納得された為、宰相として国書として同意と祝す旨の返書を認めた。
「彼女を手離す事、我が国最大の過ちやもしれぬ」
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