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迷宮探索
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フランの迷宮は、元は8階層の初心者向けって言っていい程のモノ。ボスですらランクCな訳だから。
いや、まぁ初心者ならランクFとか Eだから十二分な強敵なんだけどさぁ。オレ達だとフェンリルかグリフォンのワンパンチで終わるよ、コレ。
なので探索に気合が入ってるか、って聞かれたら「ぼちぼち」くらいは応えたと思う。多分。
でもマジで狭い。
当初の予定を変更して、オレはフェンとグランは陰に戻し、ハイ・ピクシーのみを肩に乗せて探索してた。
分岐点。
「『探索呪文』、うん、いるいる…けど…はぁ」
呪文を『透視』に変える。
「やっぱり…。やな予感、的中」
洞窟の先、隠し扉に隠し部屋が幾つかあって、そこに潜んでる者がいるけど…。どう見ても魔物じゃない。
冒険者だ。
真っ当な迷宮なら、ココはゴブリンやゴボルトが相場。あれ、盗賊ですらないよね。
オレは罠にハマってしまった、ってことか?
でもなぁー。
自分で言うのも何だけど、噂の渦中にいるんだよね、オレ。
「戦闘力はランクS」
ホントにそう思われてるのかなぁ。
意表を突けばOKと思ってるのかなぁ。
そもそもオレに意表を突けると思ってるのがね。
『透視』で、オレはこの位の迷宮、10階層位は見渡せるよ。罠やら仕掛けまでわかるのに、隠れられると思えるのがネェ。
「『伝声』。魔法で丸見えだ!『滅びの魔女の息子』を舐めるな‼︎」
☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★
洞窟内に響きわたる声。
魔法で丸見え?そんな魔法が?
「『透視』か?クソ、魔法使いレベルカンストって眉唾だと思ってたのに」
共に潜んでいた魔法使いが悪態をつく。
戦士の俺にはわからないが、丸見えの魔法が在る様だ。
「オイ、レベルカンストって?」
「『透視』は魔力と級レベルの相乗効果で威力が上がるんだ。こんな迷宮内を見渡せるなんて魔法使い級レベルを上げ切らないとムリだよ。ヤツが魔法使いからテイマーへ転職したのは本当だったってことだ。あんなガキがありえねーって話だったのに」
ズン!
「な⁉︎」
「は?地震?まさか」
ガタ、ガタガタガタッ‼︎
ゴゴ、バキッ、ズズン!
「ヤバい!洞窟が崩れる?」
「ヤロウ!迷宮内でまさか『地震』を使ったのか?」
「ひいい」
このままでは生き埋め?俺達は隠し部屋から慌てて飛び出す。だが「先の狭いところが崩れたぞ!出口がねぇ!」って絶望的な声が響く。
「そ、そんな…」
皆が集まる。
が、視線の先にあるのは崩れた箇所。
人1人がやっと通れそうな洞窟だった場所。上に隙間があるものの、どれだけの範囲で崩れているのか見当も付かない。
と、上の隙間から光が…。
スルリ。
隙間から出てきたのはピクシー?
俺達の前に来たピクシーの前に魔法陣が?
「ねぇ、誰の依頼ですか?」
これは?彼奴の声か?
「テイマー固有の魔法『伝心』で話しています。彼女を介して会話出来ます。で、本題。冒険者の心得を敢えて破って聞きます。『誰の依頼ですか』」
冒険者が依頼先をバラす訳無いだろ!
そう、叫びたかった。だが俺達は迷宮に閉じ込められてる。脱出不可能。
「おい、い、生命有っての物種だよな」
「言えば助けてくれるのか?」
「勿論です。座標はハッキリしたから貴方達を地上へ転移させる位簡単な事」
簡単?『転移』が?
魔法使いとしての格が違い過ぎる。
周りがざわついてる。
こんなバケモン相手なんて聞いてネェ!
「ぎ、ギルマスだぁ!」
☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★
ホントにしゃべった。
まぁ、薄々見当ついてた。
冒険者を動員出来るのはギルドしかない。
そもそも前回の魔物暴走の時だって、あんなタイミングよく山賊退治の動員があるなんて…。上位ランク冒険者を根こそぎ連れて行ったんだよ。
あれこそ、ギルマスの関与の証拠だよね。今思えば。そして依頼主の代官…。
結論。
ゴーダ准男爵兄弟が主犯。首班かな?
オレがいたからシナリオが変わったんだ。
チンケな暗殺者1人になった。
多分、あの時にオレがいなかったら…。
「貴方達を転移します。そこを動かないでください」
従魔を介して転移呪文を発動させる。おし!上手くいった。
多分地上に出たあの人達はギルドに駆け込むだろうから。その前にこの迷宮を潰しとく。埋まった洞窟の瓦礫を除去して…。
「『ブロック』そして『ブラックホール』」
土属性のブロックと闇属性のブラックホール。
サイコロ状に削り取った岩をブラックホールに放り込んで除去。おっけー!これで入口が出来た。
このまま一気に迷宮核晶石のある場所へ。
さらに成長してて核部屋は18階層だった。
そして迷宮ボスはオーガ・キング。でも急激なランクアップのせいか?歪だ。成長変化に体格とかついていけてない。
「もう、慈悲だね、コレ」
魔法剣『核撃斬』。刻んだ後焼き尽くす剣技で瞬殺。
で核晶石に目をやると…。
「紅く染まってる。何人の血を吸ったんだ」
粉砕するための心奥点を剣で突く。
「ギャアアア…、や、やめてください」
「助けて、た、助けて」
「ひぐ、ひぃい」
「あわ、あわわわ」
成る程。魔力付与の魔道具で無理矢理核晶石に繋いで魔力を搾り取ったんだ。ボスのオーガ・ジェネラルは倒すもののトドメを刺さずに放置して。これならボスを大人しくさせた上で後日復活させられる。
「何の為に?」
出口で待ち伏せされてる?いや…。
やって来てる?
いや、まぁ初心者ならランクFとか Eだから十二分な強敵なんだけどさぁ。オレ達だとフェンリルかグリフォンのワンパンチで終わるよ、コレ。
なので探索に気合が入ってるか、って聞かれたら「ぼちぼち」くらいは応えたと思う。多分。
でもマジで狭い。
当初の予定を変更して、オレはフェンとグランは陰に戻し、ハイ・ピクシーのみを肩に乗せて探索してた。
分岐点。
「『探索呪文』、うん、いるいる…けど…はぁ」
呪文を『透視』に変える。
「やっぱり…。やな予感、的中」
洞窟の先、隠し扉に隠し部屋が幾つかあって、そこに潜んでる者がいるけど…。どう見ても魔物じゃない。
冒険者だ。
真っ当な迷宮なら、ココはゴブリンやゴボルトが相場。あれ、盗賊ですらないよね。
オレは罠にハマってしまった、ってことか?
でもなぁー。
自分で言うのも何だけど、噂の渦中にいるんだよね、オレ。
「戦闘力はランクS」
ホントにそう思われてるのかなぁ。
意表を突けばOKと思ってるのかなぁ。
そもそもオレに意表を突けると思ってるのがね。
『透視』で、オレはこの位の迷宮、10階層位は見渡せるよ。罠やら仕掛けまでわかるのに、隠れられると思えるのがネェ。
「『伝声』。魔法で丸見えだ!『滅びの魔女の息子』を舐めるな‼︎」
☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★
洞窟内に響きわたる声。
魔法で丸見え?そんな魔法が?
「『透視』か?クソ、魔法使いレベルカンストって眉唾だと思ってたのに」
共に潜んでいた魔法使いが悪態をつく。
戦士の俺にはわからないが、丸見えの魔法が在る様だ。
「オイ、レベルカンストって?」
「『透視』は魔力と級レベルの相乗効果で威力が上がるんだ。こんな迷宮内を見渡せるなんて魔法使い級レベルを上げ切らないとムリだよ。ヤツが魔法使いからテイマーへ転職したのは本当だったってことだ。あんなガキがありえねーって話だったのに」
ズン!
「な⁉︎」
「は?地震?まさか」
ガタ、ガタガタガタッ‼︎
ゴゴ、バキッ、ズズン!
「ヤバい!洞窟が崩れる?」
「ヤロウ!迷宮内でまさか『地震』を使ったのか?」
「ひいい」
このままでは生き埋め?俺達は隠し部屋から慌てて飛び出す。だが「先の狭いところが崩れたぞ!出口がねぇ!」って絶望的な声が響く。
「そ、そんな…」
皆が集まる。
が、視線の先にあるのは崩れた箇所。
人1人がやっと通れそうな洞窟だった場所。上に隙間があるものの、どれだけの範囲で崩れているのか見当も付かない。
と、上の隙間から光が…。
スルリ。
隙間から出てきたのはピクシー?
俺達の前に来たピクシーの前に魔法陣が?
「ねぇ、誰の依頼ですか?」
これは?彼奴の声か?
「テイマー固有の魔法『伝心』で話しています。彼女を介して会話出来ます。で、本題。冒険者の心得を敢えて破って聞きます。『誰の依頼ですか』」
冒険者が依頼先をバラす訳無いだろ!
そう、叫びたかった。だが俺達は迷宮に閉じ込められてる。脱出不可能。
「おい、い、生命有っての物種だよな」
「言えば助けてくれるのか?」
「勿論です。座標はハッキリしたから貴方達を地上へ転移させる位簡単な事」
簡単?『転移』が?
魔法使いとしての格が違い過ぎる。
周りがざわついてる。
こんなバケモン相手なんて聞いてネェ!
「ぎ、ギルマスだぁ!」
☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★
ホントにしゃべった。
まぁ、薄々見当ついてた。
冒険者を動員出来るのはギルドしかない。
そもそも前回の魔物暴走の時だって、あんなタイミングよく山賊退治の動員があるなんて…。上位ランク冒険者を根こそぎ連れて行ったんだよ。
あれこそ、ギルマスの関与の証拠だよね。今思えば。そして依頼主の代官…。
結論。
ゴーダ准男爵兄弟が主犯。首班かな?
オレがいたからシナリオが変わったんだ。
チンケな暗殺者1人になった。
多分、あの時にオレがいなかったら…。
「貴方達を転移します。そこを動かないでください」
従魔を介して転移呪文を発動させる。おし!上手くいった。
多分地上に出たあの人達はギルドに駆け込むだろうから。その前にこの迷宮を潰しとく。埋まった洞窟の瓦礫を除去して…。
「『ブロック』そして『ブラックホール』」
土属性のブロックと闇属性のブラックホール。
サイコロ状に削り取った岩をブラックホールに放り込んで除去。おっけー!これで入口が出来た。
このまま一気に迷宮核晶石のある場所へ。
さらに成長してて核部屋は18階層だった。
そして迷宮ボスはオーガ・キング。でも急激なランクアップのせいか?歪だ。成長変化に体格とかついていけてない。
「もう、慈悲だね、コレ」
魔法剣『核撃斬』。刻んだ後焼き尽くす剣技で瞬殺。
で核晶石に目をやると…。
「紅く染まってる。何人の血を吸ったんだ」
粉砕するための心奥点を剣で突く。
「ギャアアア…、や、やめてください」
「助けて、た、助けて」
「ひぐ、ひぃい」
「あわ、あわわわ」
成る程。魔力付与の魔道具で無理矢理核晶石に繋いで魔力を搾り取ったんだ。ボスのオーガ・ジェネラルは倒すもののトドメを刺さずに放置して。これならボスを大人しくさせた上で後日復活させられる。
「何の為に?」
出口で待ち伏せされてる?いや…。
やって来てる?
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