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迷宮探索
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やっとこさで採掘依頼を終わらせたオレを待っていたのは、フランギルドからの特別要請だった。
噂で聞いていた、近くの森のダンジョンが成長してるって話。結構ヤバいみたいだ。
「16階層?あれ?あのダンジョンって8階層程のモノじゃ?」
ギルドマスター・ドルフさんに呼ばれて話を聞いた時、確認された階層にメチャ違和感を感じたんだ。
いくらなんでも成長が早すぎる。
普通は1階層増えるのに数年かかるんだよ?数ヶ月で倍以上なんて。
「お前さんの母親の知恵で、何か心当たりは?」
「多分ですけど…」
「おい、マジで心当たりあるのかよ」
「以前、人為的に魔物暴走起こしましたよね。あれ、迷宮核晶石に魔力注入して核魔力を狂わせ、迷宮の魔力を暴走させる方法があります。回復系魔法の『魔力回復』の応用なんですけど…」
「けど?」
「迷宮核晶石への注入なんて、多分治癒師を数10名潰す気がないと無理です。しかも荒れ狂う迷宮魔力の所為で凶暴化した迷宮主に殺されます。そして、その血肉が核晶石を狂わせて成長させる」
「…そんなヤバい方法なのかよ。そこ迄して皇女殿下を害そうとしたと言う事か?」
ドルフさんやジェシー女史が絶句するのも分かる。尋常じゃないモノ。
コレは母さんの知恵と言うよりゲームの知識。
胸糞悪いイベント。『迷宮暴走』。
虐げられ、鬱屈した治癒師が、並外れた己が魔力を全て注ぎ込み、暴走させる為だけに作り上げた迷宮の攻略。
10階層程の迷宮にも関わらず『地上の星』ですら攻略に時間を要した上に、核晶石に治癒師の悲惨な記憶があって、実に後味の悪いイベントだったんだ。
でも、この時の報酬ガチャで、オレは『神の金貨』を得た…。
名も知れぬ女神の介入が有ったにしろ、オレがこうして無事に転生出来てるのは、この宝クジ的アイテムのお陰だ。カミーユは職変更は出来なかったのだから。
「コレだけの事をやらかすとなると、皇女殿下に仇成す企みって、かなり根が深いと言う事にならない?」
ジェシー女史の溜息。
「その割には、魔物暴走発生後がお粗末なんです」
オレの疑念。
「成る程。確かに熟練とは言えない暗殺者1人しか皇女殿下を襲わなかったな。て事は」
「皇女殿下弑逆がついでなんでしょうね。迷宮の操作介入実験が主目的」
そう結論するしかない。
実際、ゲーム内でも、前例があって鬱屈治癒師が迷宮暴走を企てたのだから。
今はゲームより数100年前の過去だから、多分設定の実体験って事なんだと思う。
召喚者よ、対応してみろって事か?
やってやるよ。
「それで、迷宮探索の特別依頼、指名って事ですよね」
話を振り出しに戻す。
「所々狭いところがあるらしい。大の大人じゃキツいみたいでな」
年相応って言うか、元日本人の感覚では14歳にしては大きいと思うオレもこの世界ではガキでしかない。リリアさんですらオレより高いんだ。
多分盾役が入り辛いトコとかあるんだろうな。
「貴方なら『探索』は勿論『罠解除』もあるでしょう?」
「ありますけど、子供騙し程度の効果しかない呪文です」
魔法は万能じゃない。
気休め程度の効果しかない奴もある。
無属性探知魔法の解除系なんて、その最たるモン。盗賊職の技術に代わるモノじゃない。
だから本来、迷宮探索は盾役、戦士、魔法職、回復職に盗賊系が必要。それも出来れば専門職。更に鑑定持ちが居ればBest!
こうしてみると『地上の星』って理想的だったんだなぁ。何せ盾役に勇者、賢者に聖女、義賊に精霊魔法使い。で魔法剣士。
全員が英雄級。
義賊と賢者が鑑定持ってたし、サターンなんか上位スキルの識別を持ってた。
「ま、いいか。とりあえずソロ依頼ですよね?直ぐ向かいます」
「いや、ソロじゃなくても。ほら、『裁きの刄』さん達とか」
「ブレードさんもフレイルさんもオレの倍くらいの巨漢ですよ?オレみたいなランクBのガキって他にいないと思いますから」
大の大人じゃ狭くってキツい。
ギルマスは確かにそう言った。
「幸い、いい剣を手に入れました。以前より魔法剣の威力、上がってるんです」
帝都鍛治ギルドで頼んでた剣の微調整は出来てる。流石はガントさん。昔から使い込んでるみたいに手に馴染むよ、コレ。
☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★
その辺へぶらりと出向く。
その位の気軽さでロディは出て行った。
「ギルドマスター、あの子、背はちょっと気にしてるんですよ」
「背伸びしたい年頃よ、マスター。気配りが足りません」
リリアとジェシーから責められるとは、コレは私の失態なのか?
「オレみたいなガキって他に居ないと思います」
皮肉じゃないよな、ロディ。
いや、マジで。
噂で聞いていた、近くの森のダンジョンが成長してるって話。結構ヤバいみたいだ。
「16階層?あれ?あのダンジョンって8階層程のモノじゃ?」
ギルドマスター・ドルフさんに呼ばれて話を聞いた時、確認された階層にメチャ違和感を感じたんだ。
いくらなんでも成長が早すぎる。
普通は1階層増えるのに数年かかるんだよ?数ヶ月で倍以上なんて。
「お前さんの母親の知恵で、何か心当たりは?」
「多分ですけど…」
「おい、マジで心当たりあるのかよ」
「以前、人為的に魔物暴走起こしましたよね。あれ、迷宮核晶石に魔力注入して核魔力を狂わせ、迷宮の魔力を暴走させる方法があります。回復系魔法の『魔力回復』の応用なんですけど…」
「けど?」
「迷宮核晶石への注入なんて、多分治癒師を数10名潰す気がないと無理です。しかも荒れ狂う迷宮魔力の所為で凶暴化した迷宮主に殺されます。そして、その血肉が核晶石を狂わせて成長させる」
「…そんなヤバい方法なのかよ。そこ迄して皇女殿下を害そうとしたと言う事か?」
ドルフさんやジェシー女史が絶句するのも分かる。尋常じゃないモノ。
コレは母さんの知恵と言うよりゲームの知識。
胸糞悪いイベント。『迷宮暴走』。
虐げられ、鬱屈した治癒師が、並外れた己が魔力を全て注ぎ込み、暴走させる為だけに作り上げた迷宮の攻略。
10階層程の迷宮にも関わらず『地上の星』ですら攻略に時間を要した上に、核晶石に治癒師の悲惨な記憶があって、実に後味の悪いイベントだったんだ。
でも、この時の報酬ガチャで、オレは『神の金貨』を得た…。
名も知れぬ女神の介入が有ったにしろ、オレがこうして無事に転生出来てるのは、この宝クジ的アイテムのお陰だ。カミーユは職変更は出来なかったのだから。
「コレだけの事をやらかすとなると、皇女殿下に仇成す企みって、かなり根が深いと言う事にならない?」
ジェシー女史の溜息。
「その割には、魔物暴走発生後がお粗末なんです」
オレの疑念。
「成る程。確かに熟練とは言えない暗殺者1人しか皇女殿下を襲わなかったな。て事は」
「皇女殿下弑逆がついでなんでしょうね。迷宮の操作介入実験が主目的」
そう結論するしかない。
実際、ゲーム内でも、前例があって鬱屈治癒師が迷宮暴走を企てたのだから。
今はゲームより数100年前の過去だから、多分設定の実体験って事なんだと思う。
召喚者よ、対応してみろって事か?
やってやるよ。
「それで、迷宮探索の特別依頼、指名って事ですよね」
話を振り出しに戻す。
「所々狭いところがあるらしい。大の大人じゃキツいみたいでな」
年相応って言うか、元日本人の感覚では14歳にしては大きいと思うオレもこの世界ではガキでしかない。リリアさんですらオレより高いんだ。
多分盾役が入り辛いトコとかあるんだろうな。
「貴方なら『探索』は勿論『罠解除』もあるでしょう?」
「ありますけど、子供騙し程度の効果しかない呪文です」
魔法は万能じゃない。
気休め程度の効果しかない奴もある。
無属性探知魔法の解除系なんて、その最たるモン。盗賊職の技術に代わるモノじゃない。
だから本来、迷宮探索は盾役、戦士、魔法職、回復職に盗賊系が必要。それも出来れば専門職。更に鑑定持ちが居ればBest!
こうしてみると『地上の星』って理想的だったんだなぁ。何せ盾役に勇者、賢者に聖女、義賊に精霊魔法使い。で魔法剣士。
全員が英雄級。
義賊と賢者が鑑定持ってたし、サターンなんか上位スキルの識別を持ってた。
「ま、いいか。とりあえずソロ依頼ですよね?直ぐ向かいます」
「いや、ソロじゃなくても。ほら、『裁きの刄』さん達とか」
「ブレードさんもフレイルさんもオレの倍くらいの巨漢ですよ?オレみたいなランクBのガキって他にいないと思いますから」
大の大人じゃ狭くってキツい。
ギルマスは確かにそう言った。
「幸い、いい剣を手に入れました。以前より魔法剣の威力、上がってるんです」
帝都鍛治ギルドで頼んでた剣の微調整は出来てる。流石はガントさん。昔から使い込んでるみたいに手に馴染むよ、コレ。
☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★
その辺へぶらりと出向く。
その位の気軽さでロディは出て行った。
「ギルドマスター、あの子、背はちょっと気にしてるんですよ」
「背伸びしたい年頃よ、マスター。気配りが足りません」
リリアとジェシーから責められるとは、コレは私の失態なのか?
「オレみたいなガキって他に居ないと思います」
皮肉じゃないよな、ロディ。
いや、マジで。
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