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陞爵、そして…
15.
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「魔女の息子…か」
私が、その規格外のテイマーの事を聞いたのは、この世界に来て1ヶ月弱といった処だったか。
「何でも、帝国皇女リスティア殿下を亡き者にする権力闘争に巻き込まれたらしい」
「魔女に皇女か。やはり数100年過去の時代だな」
「帝国も人物が揃っている…。後『裁きの刄』の連中の存在も確認出来た」
「当然、王国だけ召喚者がいる訳ありませんもの。マーズ、勇者の使命、別に帝国との戦争に勝利する事ではないのでしょう?」
「あぁ。我々は傭兵だけは受けなかった。まぁ王国が攻め込まれたらその限りではないが。だが、こうなるとジュピターやガイアが召喚されなかったのは地味に痛い」
あの時、ガイアは『世界には不要だ』との声があって消されてしまった。我々を召喚したあの神の如き存在の勘気に触れたのだろう。だがジュピターは?神に歯向かうと言う点では彼奴の方がより悪い。消された、と見るのが妥当か…。
☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆
陞爵…。
って言うか、オレ、母さんが貴族なんて初めて聞いたよ。まぁ実績聞けば納得はするけどさー。
エラムに帰ったオレを待っていたのは、ある意味称賛、ある意味ヤッカミ。しかも専属で契約したいとかの貴族達も居て。
「えーと、ご迷惑かけてますよね?」
「多大にな。こうなると最初から包み隠さず話して欲しかったなぁ」
ギルドの2F、応接室。
正面にギルマス・ドルフさんとサブマスのジェシーさん。右手にサラさんとマイケルさん。
で、リリアさんが皆にコーヒーを配ってる。
「信じてもらえないって思ったし、説明し辛かったし…。その…、母さんの教育がそこまで規格外って思わなかったし」
「うん、まぁ塔に住んでりゃあな。世間とのズレなんて解らんだろう」
「ひょっとして1人で悩んでたのでは?」
「実はあんまり?不遇職って皆興味無さそうだったし。それに1人暮らし、結構楽しんでたし」
リリアさんの援助もあったし、オレ、結構この世界の1人暮らし堪能してたんだ。
「うん、まぁ、確かにテイマーに興味を持つ奴は少ないと思う。オマエさんもある意味大人しくしていたし。で、もう隠し事は無いよな?」
ギルマスに聞かれて、オレ、一瞬考えてしまった。不味ったなぁ。
「ある様だな。さぁ言え。何がある?もう、何聞いても驚かないぜ」
「あの…、オレ、母さんに魔法、かなり教わってます。その…、オレ、魔法は『全属性』です」
「前言撤回だ。ったく。魔女の子供がこれ程規格外とはな」
「じゃあ回復系も使えるの?」
「それは魔法使いではなくて治癒師の呪文です。母さんみたいに賢者なら兎も角、普通の魔法使いでは回復系は使えません。でも全属性なので苦手属性も有りません。オレ、光も闇も、風火水地に勿論無属性も使えます」
「苦手属性が無い、か」
「魔女の子、の名に偽り無し、ね」
うん、まぁ、ゲーム内に転生した異世界モノ主人公的チートだとは思うよ、オレも。しかもオレには『世界の知識』ってゲームの攻略本的解説スキルがある。だから自分の存在がチート過ぎって分かってたし、目立たない様に普通のテイマーらしい行動をとっていたんだ。
全部パァになっちまったけど。
「で、これからは?」
「とりあえず帝都に行って、褒賞の陞爵って聞きました。帝都ギルドにも顔出ししときます」
「今後の拠点が帝都になる事は?」
「出来れば、このエラムギルド所属の冒険者でいたいんですけど」
「そいつは願ったり叶ったりだが…」
せっかく自宅があるんだから、その街を拠点にするのは当然。貴族だからって帝都に住める訳じゃ無いし。でもエラムはランバー辺境伯の領都。そこに他家貴族が住むのは色々あるらしいから、帝都でのゴタゴタが終わったら、辺境伯へも顔繋ぎが必要だろう、ってギルマスが教えてくれた。この辺、流石は貴族。子爵家3男だから奔放に冒険者が出来た、とは言っていたけどギルマス・ドルフさんも貴族の嗜み・しきたりは外していない。
まさか土地持ちの騎士とか無いよね。
「ったく。D昇格、緊張感無いと思ったらまさかの英雄級相当だなんて」
いつもの5人。D昇格対象者で集まってのメシ。
オレはハリー達からも非難轟々。
「で、ランクは?」
「有無を言わさずって感じで白銀札に切り替わったよ。真鍮も青銅もすっ飛ばして」
木簡札から真鍮札を目指していた仲間。一足跳びにB迄跳んだ為に実感なんて全く湧かないし、違和感しか浮かばない。
「あら?A相当なんでしょう?」
「Aになるには対貴族対応が必要なんだって。国家レベルの依頼案件もあるらしくって、今回偶々お忍びの皇女殿下一行とご一緒したけど、あまり表立って公表出来ないらしくって」
ギルマスも貴族だから領主の辺境伯と直接やりとり出来る。何でも皇宮から皇女のお忍びについて色々釘を刺されたんだって。
「ウチの辺境伯もこっち側でね。皇女殿下もそうだ。でも皇家の方々や3公爵家とかね。高貴な身分は杓子定規な言動で異端なんて以ての外なんだ」
皇女殿下も大変だ。
治癒師のティアさんは、本当に大いなる自由人って感じだったもの。
帝都に行ったらまた会えるかな?
お嬢様と護衛の4人に、さ。
私が、その規格外のテイマーの事を聞いたのは、この世界に来て1ヶ月弱といった処だったか。
「何でも、帝国皇女リスティア殿下を亡き者にする権力闘争に巻き込まれたらしい」
「魔女に皇女か。やはり数100年過去の時代だな」
「帝国も人物が揃っている…。後『裁きの刄』の連中の存在も確認出来た」
「当然、王国だけ召喚者がいる訳ありませんもの。マーズ、勇者の使命、別に帝国との戦争に勝利する事ではないのでしょう?」
「あぁ。我々は傭兵だけは受けなかった。まぁ王国が攻め込まれたらその限りではないが。だが、こうなるとジュピターやガイアが召喚されなかったのは地味に痛い」
あの時、ガイアは『世界には不要だ』との声があって消されてしまった。我々を召喚したあの神の如き存在の勘気に触れたのだろう。だがジュピターは?神に歯向かうと言う点では彼奴の方がより悪い。消された、と見るのが妥当か…。
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陞爵…。
って言うか、オレ、母さんが貴族なんて初めて聞いたよ。まぁ実績聞けば納得はするけどさー。
エラムに帰ったオレを待っていたのは、ある意味称賛、ある意味ヤッカミ。しかも専属で契約したいとかの貴族達も居て。
「えーと、ご迷惑かけてますよね?」
「多大にな。こうなると最初から包み隠さず話して欲しかったなぁ」
ギルドの2F、応接室。
正面にギルマス・ドルフさんとサブマスのジェシーさん。右手にサラさんとマイケルさん。
で、リリアさんが皆にコーヒーを配ってる。
「信じてもらえないって思ったし、説明し辛かったし…。その…、母さんの教育がそこまで規格外って思わなかったし」
「うん、まぁ塔に住んでりゃあな。世間とのズレなんて解らんだろう」
「ひょっとして1人で悩んでたのでは?」
「実はあんまり?不遇職って皆興味無さそうだったし。それに1人暮らし、結構楽しんでたし」
リリアさんの援助もあったし、オレ、結構この世界の1人暮らし堪能してたんだ。
「うん、まぁ、確かにテイマーに興味を持つ奴は少ないと思う。オマエさんもある意味大人しくしていたし。で、もう隠し事は無いよな?」
ギルマスに聞かれて、オレ、一瞬考えてしまった。不味ったなぁ。
「ある様だな。さぁ言え。何がある?もう、何聞いても驚かないぜ」
「あの…、オレ、母さんに魔法、かなり教わってます。その…、オレ、魔法は『全属性』です」
「前言撤回だ。ったく。魔女の子供がこれ程規格外とはな」
「じゃあ回復系も使えるの?」
「それは魔法使いではなくて治癒師の呪文です。母さんみたいに賢者なら兎も角、普通の魔法使いでは回復系は使えません。でも全属性なので苦手属性も有りません。オレ、光も闇も、風火水地に勿論無属性も使えます」
「苦手属性が無い、か」
「魔女の子、の名に偽り無し、ね」
うん、まぁ、ゲーム内に転生した異世界モノ主人公的チートだとは思うよ、オレも。しかもオレには『世界の知識』ってゲームの攻略本的解説スキルがある。だから自分の存在がチート過ぎって分かってたし、目立たない様に普通のテイマーらしい行動をとっていたんだ。
全部パァになっちまったけど。
「で、これからは?」
「とりあえず帝都に行って、褒賞の陞爵って聞きました。帝都ギルドにも顔出ししときます」
「今後の拠点が帝都になる事は?」
「出来れば、このエラムギルド所属の冒険者でいたいんですけど」
「そいつは願ったり叶ったりだが…」
せっかく自宅があるんだから、その街を拠点にするのは当然。貴族だからって帝都に住める訳じゃ無いし。でもエラムはランバー辺境伯の領都。そこに他家貴族が住むのは色々あるらしいから、帝都でのゴタゴタが終わったら、辺境伯へも顔繋ぎが必要だろう、ってギルマスが教えてくれた。この辺、流石は貴族。子爵家3男だから奔放に冒険者が出来た、とは言っていたけどギルマス・ドルフさんも貴族の嗜み・しきたりは外していない。
まさか土地持ちの騎士とか無いよね。
「ったく。D昇格、緊張感無いと思ったらまさかの英雄級相当だなんて」
いつもの5人。D昇格対象者で集まってのメシ。
オレはハリー達からも非難轟々。
「で、ランクは?」
「有無を言わさずって感じで白銀札に切り替わったよ。真鍮も青銅もすっ飛ばして」
木簡札から真鍮札を目指していた仲間。一足跳びにB迄跳んだ為に実感なんて全く湧かないし、違和感しか浮かばない。
「あら?A相当なんでしょう?」
「Aになるには対貴族対応が必要なんだって。国家レベルの依頼案件もあるらしくって、今回偶々お忍びの皇女殿下一行とご一緒したけど、あまり表立って公表出来ないらしくって」
ギルマスも貴族だから領主の辺境伯と直接やりとり出来る。何でも皇宮から皇女のお忍びについて色々釘を刺されたんだって。
「ウチの辺境伯もこっち側でね。皇女殿下もそうだ。でも皇家の方々や3公爵家とかね。高貴な身分は杓子定規な言動で異端なんて以ての外なんだ」
皇女殿下も大変だ。
治癒師のティアさんは、本当に大いなる自由人って感じだったもの。
帝都に行ったらまた会えるかな?
お嬢様と護衛の4人に、さ。
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