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転生
4.
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ギルドの場所は知ってる。
このエラムは、辺境でもグランザイア帝国で有数の街。ゲーム内でもオレ達はよく立ち寄っていた。『地上の星』はベルン王国を拠点としていたけど、全く帝国と関わらなかった訳じゃない。尤もこの2大国は色々と小競り合いを繰り返してきたけど。オレ達は傭兵だけは避けて来た。あくまでも魔物討伐等の冒険者としての依頼をうけてきていたんだ。
「勇者としての使命」
あの時、マーズは何の使命を受けたんだろう。
辺境の大都市であり『魔の森』なんかに接してるエラムは帝国中のギルドの中でも規模が大きい。冒険のネタが山程ある!だから今のオレの様なガキでもこなせる依頼もあると思うよ。肩に乗ってるアリスとそんな話をしながらオレはギルドに入っていった。
ギルドに入ると「お、新入りか?」的好奇な視線を感じる。が、直ぐに嘲りに変わる。
オレの肩にピクシーがいるからだ。
警備隊詰所の兵士も直ぐに気付いたんだから、ギルドにいる者がわからない筈がない。此処にいるのは冒険者を生業にしてるヤツラだから。
受付嬢もオレの肩をチラリと見ると
「エラムギルドへようこそ。ご依頼ですか?それとも冒険者登録?」
へぇー。真っ当なギルド職員だ。
少なくとも彼女の営業スマイルに嘲りの色処か雰囲気すら感じさせない。
「冒険者登録をお願いします」
へへっ。ゲームでのチュートリアル以来だね。
何せゲーム内では大ベテランの勇者パーティにいたし、オレ自身戦士から上級職魔法戦士へと転職した冒険者だし。
そう。オレは戦士として1度レベル100してる。魔法戦士としてもレベル48だし。この世界でもテイマーレベル48。…みてくれは初心者のガキだけど。
『神の金貨』で転職して本当に良かった。多分転生していたらガチでレベル1の初心者だったんだろうと思う。何者かわからないけど、オレ達は本当に異世界へ放り込まれたんだって実感してる。リセットなんか無い。死んだら終わり。
「以上ですが、何か質問は?」
チュートリアル以来の冒険者としての心得を説明されて、オレは別の意味で感動してた。が、ハタから見れば街に出てきた初心者のガキらしい初々しさみたいで…。
「いえ。ありがとうございます。じゃあ登録お願いします」
「はい。ではコレに記入…、あ、ごめんなさい。あなた字は?」
「あ、はい。オレ、読み書き出来ます」
日本人なら当たり前。識字率高いし。
でも現実世界ですら読み書き出来ない人はいる。この世界ならば尚の事。確かゲーム内では読み書き出来るのは貴族と商人、後冒険者。依頼書読めないと生きていけないからね。契約書にサインもいるし。読み書き出来る事って冒険者になるには必須なんだ。荒くれ多いイメージだけど、例えばゴロツキ風の野郎ですら読み書き出来る。
登録用紙に必要事項を書き込む。
名前:ロディマス
職:魔物使い
契約従魔:ピクシー
書き終わって受付嬢に用紙を渡す。
「テイマー…。当ギルドでは初めての職ですね。これから頑張って下さいね」
これで、晴れてエラムの冒険者として活動出来る。さて依頼は?依頼ボードは…、あ、初心者だからランクF。うん、薬草採取。これが無難だよね。
「ほーぉ、中々殊勝なガキだな。」
気がつけばオレの後ろにイカついアンちゃん達が3人。
「勇気と無謀を履き違えるクソガキが多くてなぁ。ベテランの俺達が新人に教えてやろうと思ったんだが」
ランクFの依頼には討伐なんて絶対あり得ない。でもこのボードは低ランク用だ。登録前のランクGでも出来るお遣いからランクDの討伐探索系までの依頼書が一緒くたに貼り付けてある。書っていっても木簡。
この世界、紙は貴重品だ。魔導書や紀行等高価な本や貴族や役人官僚の報告書位にしか使われる事は無い。
庶民が使うのは有って羊皮紙。普通は木簡。そもそもこの世界の識字率は低い。読む機会は兎も角字を書く機会等一般には滅多にないんだ。
話逸れたね。
「これは…?オレでも大丈夫?」
敢えてガキっぽく。
「あぁ。よーし。じゃあ初心者のガキにベテランの俺達が色々教えてやろうじゃないか」
あ、ちょいとヤバいか?強引にパーティに入れられて小間使い扱いのパターンか?それとも囮にされる?
ゲーム内ですら新人相手にそういうタチの悪いプレイヤーがいたが、これは運営への報告でカタがついた。
でも、これは現実だから…。
「ちょっと!ゲールさん、ボスガンさんも。貴方達は…」
「何やってる!オメーら、仕事だ!」
ギルドの2階。ゲームでは応接室なんかの個室があったから、造りも一緒だし多分商談したたんだろうな。降りて来たのはベテランと言ってたアンちゃん達よりちょいと年配のイカつい髭面。
うん、強面のオッさんって何で髭面なんだろ?ある種のステイタスシンボル?オレも冒険者として貫禄付く頃にはヒゲはやしてみようかな。
波目の童顔だから似合わないか…。
「ビリーのアニキ」
あ、確かゲーム内でエラムのゴロツキをまとめ上げているワルの親父。名前付きのNPCで新人の頃に絡まれる腕試しクエストのボス役…なんだけど憎めない、割と後々も絡む事、世話になる事すらあるオッさん。
「あ、どした!そのボウズ」
「今日の新入りでさぁ。俺達が今教えてやってるとこで」
「ビリーさん、彼等はまたやりそうでした。ギルドとしても」
「わかったって。そんな噛み付くな、リリア。アイツらにはちゃんと言い聞かせておく。よし、野郎共、特別な依頼だ。ヘマするんじゃねぇぞ」
ゴロツキ達が悪い笑みを浮かべてついていく。ビリーって呼ばれたオッさんがコッチをジロっと一瞥していく。一応ど新人だ。道を譲って会釈しとく。
特別な依頼。
ゲームでもあった。ある商会の隊商を襲うんだ。ライバル商会の依頼だから、ある意味冒険者の仕事だ。でも明らかに悪い事だからギルドを通さない直接の依頼。必要悪と言えばそれまでだけど…何だかなぁ。
そうだ。せっかくだからギルドの受付嬢…えと、リリアさん。ギルドとは関係ないけど聞いてみようかな。
「あの、この街にマディアスさんの身内がいるって聞いたんですけど」
「はい?あの、ロディマスさん…でしたかしら。兄に何か?」
は?兄?そう言えば、このお姉さん、この世界では珍しい黒髪だ。
「残念ですが兄は15年前に亡くなっています。貴方が生まれる前だと思うのですが?」
「それ、魔の森の魔女の塔で、ですよね?何か大事な人の薬を作って欲しいって」
あ、ひょっとして大事な人ってリリアさん?兄って事は、マディアスさんの妹?でもこの人…。
このエラムは、辺境でもグランザイア帝国で有数の街。ゲーム内でもオレ達はよく立ち寄っていた。『地上の星』はベルン王国を拠点としていたけど、全く帝国と関わらなかった訳じゃない。尤もこの2大国は色々と小競り合いを繰り返してきたけど。オレ達は傭兵だけは避けて来た。あくまでも魔物討伐等の冒険者としての依頼をうけてきていたんだ。
「勇者としての使命」
あの時、マーズは何の使命を受けたんだろう。
辺境の大都市であり『魔の森』なんかに接してるエラムは帝国中のギルドの中でも規模が大きい。冒険のネタが山程ある!だから今のオレの様なガキでもこなせる依頼もあると思うよ。肩に乗ってるアリスとそんな話をしながらオレはギルドに入っていった。
ギルドに入ると「お、新入りか?」的好奇な視線を感じる。が、直ぐに嘲りに変わる。
オレの肩にピクシーがいるからだ。
警備隊詰所の兵士も直ぐに気付いたんだから、ギルドにいる者がわからない筈がない。此処にいるのは冒険者を生業にしてるヤツラだから。
受付嬢もオレの肩をチラリと見ると
「エラムギルドへようこそ。ご依頼ですか?それとも冒険者登録?」
へぇー。真っ当なギルド職員だ。
少なくとも彼女の営業スマイルに嘲りの色処か雰囲気すら感じさせない。
「冒険者登録をお願いします」
へへっ。ゲームでのチュートリアル以来だね。
何せゲーム内では大ベテランの勇者パーティにいたし、オレ自身戦士から上級職魔法戦士へと転職した冒険者だし。
そう。オレは戦士として1度レベル100してる。魔法戦士としてもレベル48だし。この世界でもテイマーレベル48。…みてくれは初心者のガキだけど。
『神の金貨』で転職して本当に良かった。多分転生していたらガチでレベル1の初心者だったんだろうと思う。何者かわからないけど、オレ達は本当に異世界へ放り込まれたんだって実感してる。リセットなんか無い。死んだら終わり。
「以上ですが、何か質問は?」
チュートリアル以来の冒険者としての心得を説明されて、オレは別の意味で感動してた。が、ハタから見れば街に出てきた初心者のガキらしい初々しさみたいで…。
「いえ。ありがとうございます。じゃあ登録お願いします」
「はい。ではコレに記入…、あ、ごめんなさい。あなた字は?」
「あ、はい。オレ、読み書き出来ます」
日本人なら当たり前。識字率高いし。
でも現実世界ですら読み書き出来ない人はいる。この世界ならば尚の事。確かゲーム内では読み書き出来るのは貴族と商人、後冒険者。依頼書読めないと生きていけないからね。契約書にサインもいるし。読み書き出来る事って冒険者になるには必須なんだ。荒くれ多いイメージだけど、例えばゴロツキ風の野郎ですら読み書き出来る。
登録用紙に必要事項を書き込む。
名前:ロディマス
職:魔物使い
契約従魔:ピクシー
書き終わって受付嬢に用紙を渡す。
「テイマー…。当ギルドでは初めての職ですね。これから頑張って下さいね」
これで、晴れてエラムの冒険者として活動出来る。さて依頼は?依頼ボードは…、あ、初心者だからランクF。うん、薬草採取。これが無難だよね。
「ほーぉ、中々殊勝なガキだな。」
気がつけばオレの後ろにイカついアンちゃん達が3人。
「勇気と無謀を履き違えるクソガキが多くてなぁ。ベテランの俺達が新人に教えてやろうと思ったんだが」
ランクFの依頼には討伐なんて絶対あり得ない。でもこのボードは低ランク用だ。登録前のランクGでも出来るお遣いからランクDの討伐探索系までの依頼書が一緒くたに貼り付けてある。書っていっても木簡。
この世界、紙は貴重品だ。魔導書や紀行等高価な本や貴族や役人官僚の報告書位にしか使われる事は無い。
庶民が使うのは有って羊皮紙。普通は木簡。そもそもこの世界の識字率は低い。読む機会は兎も角字を書く機会等一般には滅多にないんだ。
話逸れたね。
「これは…?オレでも大丈夫?」
敢えてガキっぽく。
「あぁ。よーし。じゃあ初心者のガキにベテランの俺達が色々教えてやろうじゃないか」
あ、ちょいとヤバいか?強引にパーティに入れられて小間使い扱いのパターンか?それとも囮にされる?
ゲーム内ですら新人相手にそういうタチの悪いプレイヤーがいたが、これは運営への報告でカタがついた。
でも、これは現実だから…。
「ちょっと!ゲールさん、ボスガンさんも。貴方達は…」
「何やってる!オメーら、仕事だ!」
ギルドの2階。ゲームでは応接室なんかの個室があったから、造りも一緒だし多分商談したたんだろうな。降りて来たのはベテランと言ってたアンちゃん達よりちょいと年配のイカつい髭面。
うん、強面のオッさんって何で髭面なんだろ?ある種のステイタスシンボル?オレも冒険者として貫禄付く頃にはヒゲはやしてみようかな。
波目の童顔だから似合わないか…。
「ビリーのアニキ」
あ、確かゲーム内でエラムのゴロツキをまとめ上げているワルの親父。名前付きのNPCで新人の頃に絡まれる腕試しクエストのボス役…なんだけど憎めない、割と後々も絡む事、世話になる事すらあるオッさん。
「あ、どした!そのボウズ」
「今日の新入りでさぁ。俺達が今教えてやってるとこで」
「ビリーさん、彼等はまたやりそうでした。ギルドとしても」
「わかったって。そんな噛み付くな、リリア。アイツらにはちゃんと言い聞かせておく。よし、野郎共、特別な依頼だ。ヘマするんじゃねぇぞ」
ゴロツキ達が悪い笑みを浮かべてついていく。ビリーって呼ばれたオッさんがコッチをジロっと一瞥していく。一応ど新人だ。道を譲って会釈しとく。
特別な依頼。
ゲームでもあった。ある商会の隊商を襲うんだ。ライバル商会の依頼だから、ある意味冒険者の仕事だ。でも明らかに悪い事だからギルドを通さない直接の依頼。必要悪と言えばそれまでだけど…何だかなぁ。
そうだ。せっかくだからギルドの受付嬢…えと、リリアさん。ギルドとは関係ないけど聞いてみようかな。
「あの、この街にマディアスさんの身内がいるって聞いたんですけど」
「はい?あの、ロディマスさん…でしたかしら。兄に何か?」
は?兄?そう言えば、このお姉さん、この世界では珍しい黒髪だ。
「残念ですが兄は15年前に亡くなっています。貴方が生まれる前だと思うのですが?」
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