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王族達
37. だが、断る!って言ってみた
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ロラン殿下が、同じ馬車に乗ってる。
まぁ、流石は公爵家の馬車だけあって、子供1人増えたからって特に狭く感じる事も無くて。でも、私の定位置がお継母様のお膝から殿下の隣になっちゃってさ。
色々お話しする事になっちゃって。
「冒険者稼業?今の君が?」
「はい。コレでも『ランクC』の冒険者なんです」
驚くロラン殿下にギルドカードを見せる。
冒険者の証である、女神フェリシアの不思議な力の結晶でもある身分証。荒くれ自由業の冒険者にとって、偽造不可能たる身分証は全てに優る貴重品って言っていい。
「いつの間に?アイラ」
「名前や才能のトコしか見なかったなぁ。気付かなかった」
お兄様やお姉様もびっくり。勿論お継母様も。
「何だかんだで、グレートボアやオークキングも倒してますから。あの3頭が、ですけど」
「確かに。4聖神獣ならランクBの魔獣ですら相手にならないだろうし」
私自身は何の力…処か取り柄すら無い。
でも才能が独自の能力である以上、4聖神獣を使役して戦うという冒険者って位置付けな訳なので、4聖神獣の倒した魔獣の経験値は私にも入る。
で、テイマー物の理屈(へへ、そこそこ読んでるんだよね、前世では)だとテイムした魔獣に入る経験値の割合が高く、テイマーって中々レベルが上がり難いモノなんだけど、最高ランクの4聖神獣と低ランクの私とではね。向こうは「1」で私が「1万」とかになっちゃう訳で。RPGとかで「チャララーン」ってレベルアップの音楽が延々と続くみたいな(笑)。
そんなこんなで、冒険者稼業数ヶ月の私でもあっという間のレベルアップを果たしているの。
ヒガンザタンサラスの冒険者ギルドは、私の実情を知ってるから(勿論公にはなってないけど、高ランク冒険者の幾人かはピンときてると思う)、表向きは普通にお使い幼女の程で対応してくれてるけど。
ランクCはもう中堅。そこそこベテラン。
まぁ、今の私がベテランとしての役割を担う事なんて有り得ないけど、でも多分、国家災害級魔獣討伐でも私達は対応出来る。
何せ、炎、水、大地属性最強の個体が揃ってるんだから。でカナ達が言うには、おそらく風属性神獣風神竜も頼めば力を貸してくれるだろうって。
「風神竜も?」
「使役とはまた違うみたいなんですけど。実際大怪鳥相手の時には手を貸して貰えましたし」
「は?」
「『奈落の顎』って谷奥に巣を作ろうとしてたんです。ギルドから『谷奥の魔獣分布に異変有り』って調査依頼来てて。巣作り終わってたら面倒だったんですけど、その時は作る前だったみたい。同行してたサブギルマスさんも驚いてました」
コレ、マジで大騒ぎだったんだよ。秘密だけど。
「ちょっとアイラ?そんな危険な事してたの?」
「でも、私には瑞獣霊亀の防護加護があるんです、お姉様」
つまり、物理的攻撃は私には効かない。
そして、3頭の攻撃に耐え得る魔獣もそうそう居ないんだよ。
確かに大怪鳥は、その耐え得る魔獣の1頭なんだけど、魔法攻撃手段が何も無いからね。嘴と鉤爪だけが攻撃手段。羽ばたきによる大風も風属性物理攻撃って形だから。
でも、この時は、風神竜に驚いた大怪鳥が谷奥への巣作りを諦めて飛び去って。エドガーさんは退治すべし、って立場だったけど、私達はほっとく事にしたんだ。
「大怪鳥をほっといた?」
「山奥へ飛び去ったんだもん。誰も困んないよ」
私の意見。で、3頭は私の言いなり。
ギルドには報告してる。ギルマスさんも苦笑いして「確かに困らないな」って。
国家災害級魔獣も山奥から出て来ない限り、人畜無害な只のデカいトリ。
「そうね。貴女達にとってはその程度ね」
お継母様が呆れ気味に見えるのは気のせい?
だって元々依頼は調査。討伐じゃないもん。
「だが大怪鳥は、街を滅ぼすかもしれない魔獣だ。未来の災厄から王国を守る為に討伐を依頼する事だって」
「それは、王子様として『聖獣使い』の私への依頼、という事ですか?」
「最終的には父上の判断だろうけど、そうとってくれて構わないよ」
やんちゃ坊主の雰囲気は無い。
王族としての責任感。やっぱりロラン王子は敬慕出来る王太子だわ。
だが、断る!
「え?」
「お断りします。未来の災厄を理由とした討伐は、とても納得出来ません。その理由、私にも当てはまりますよ」
もし私が世界征服の野望を持ったら。
『才能;勇者』の人じゃないと、私達は倒せないと思うし。
まぁ、流石は公爵家の馬車だけあって、子供1人増えたからって特に狭く感じる事も無くて。でも、私の定位置がお継母様のお膝から殿下の隣になっちゃってさ。
色々お話しする事になっちゃって。
「冒険者稼業?今の君が?」
「はい。コレでも『ランクC』の冒険者なんです」
驚くロラン殿下にギルドカードを見せる。
冒険者の証である、女神フェリシアの不思議な力の結晶でもある身分証。荒くれ自由業の冒険者にとって、偽造不可能たる身分証は全てに優る貴重品って言っていい。
「いつの間に?アイラ」
「名前や才能のトコしか見なかったなぁ。気付かなかった」
お兄様やお姉様もびっくり。勿論お継母様も。
「何だかんだで、グレートボアやオークキングも倒してますから。あの3頭が、ですけど」
「確かに。4聖神獣ならランクBの魔獣ですら相手にならないだろうし」
私自身は何の力…処か取り柄すら無い。
でも才能が独自の能力である以上、4聖神獣を使役して戦うという冒険者って位置付けな訳なので、4聖神獣の倒した魔獣の経験値は私にも入る。
で、テイマー物の理屈(へへ、そこそこ読んでるんだよね、前世では)だとテイムした魔獣に入る経験値の割合が高く、テイマーって中々レベルが上がり難いモノなんだけど、最高ランクの4聖神獣と低ランクの私とではね。向こうは「1」で私が「1万」とかになっちゃう訳で。RPGとかで「チャララーン」ってレベルアップの音楽が延々と続くみたいな(笑)。
そんなこんなで、冒険者稼業数ヶ月の私でもあっという間のレベルアップを果たしているの。
ヒガンザタンサラスの冒険者ギルドは、私の実情を知ってるから(勿論公にはなってないけど、高ランク冒険者の幾人かはピンときてると思う)、表向きは普通にお使い幼女の程で対応してくれてるけど。
ランクCはもう中堅。そこそこベテラン。
まぁ、今の私がベテランとしての役割を担う事なんて有り得ないけど、でも多分、国家災害級魔獣討伐でも私達は対応出来る。
何せ、炎、水、大地属性最強の個体が揃ってるんだから。でカナ達が言うには、おそらく風属性神獣風神竜も頼めば力を貸してくれるだろうって。
「風神竜も?」
「使役とはまた違うみたいなんですけど。実際大怪鳥相手の時には手を貸して貰えましたし」
「は?」
「『奈落の顎』って谷奥に巣を作ろうとしてたんです。ギルドから『谷奥の魔獣分布に異変有り』って調査依頼来てて。巣作り終わってたら面倒だったんですけど、その時は作る前だったみたい。同行してたサブギルマスさんも驚いてました」
コレ、マジで大騒ぎだったんだよ。秘密だけど。
「ちょっとアイラ?そんな危険な事してたの?」
「でも、私には瑞獣霊亀の防護加護があるんです、お姉様」
つまり、物理的攻撃は私には効かない。
そして、3頭の攻撃に耐え得る魔獣もそうそう居ないんだよ。
確かに大怪鳥は、その耐え得る魔獣の1頭なんだけど、魔法攻撃手段が何も無いからね。嘴と鉤爪だけが攻撃手段。羽ばたきによる大風も風属性物理攻撃って形だから。
でも、この時は、風神竜に驚いた大怪鳥が谷奥への巣作りを諦めて飛び去って。エドガーさんは退治すべし、って立場だったけど、私達はほっとく事にしたんだ。
「大怪鳥をほっといた?」
「山奥へ飛び去ったんだもん。誰も困んないよ」
私の意見。で、3頭は私の言いなり。
ギルドには報告してる。ギルマスさんも苦笑いして「確かに困らないな」って。
国家災害級魔獣も山奥から出て来ない限り、人畜無害な只のデカいトリ。
「そうね。貴女達にとってはその程度ね」
お継母様が呆れ気味に見えるのは気のせい?
だって元々依頼は調査。討伐じゃないもん。
「だが大怪鳥は、街を滅ぼすかもしれない魔獣だ。未来の災厄から王国を守る為に討伐を依頼する事だって」
「それは、王子様として『聖獣使い』の私への依頼、という事ですか?」
「最終的には父上の判断だろうけど、そうとってくれて構わないよ」
やんちゃ坊主の雰囲気は無い。
王族としての責任感。やっぱりロラン王子は敬慕出来る王太子だわ。
だが、断る!
「え?」
「お断りします。未来の災厄を理由とした討伐は、とても納得出来ません。その理由、私にも当てはまりますよ」
もし私が世界征服の野望を持ったら。
『才能;勇者』の人じゃないと、私達は倒せないと思うし。
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こんばんは。
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更新、お疲れ様でした。
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