上 下
36 / 37
王族達

36. もう、なるようになれ!っての

しおりを挟む
 馬車の中。
 満面の笑みを浮かべるお姉様リディアお継母様フェリア。そして仏頂面のアイラに苦笑いのお兄様ポール

 つまりは、に乗って帰路についてる訳で。

 察してくれ。

 クヮアー『結局、全敗なんだよね』
 ピィー『経験の差だよねー』
 ガォオオーン『それな』

 やっぱり味方してくんない。
 あたしゃ、もう諦めたよ。へっ。

 ピィー『あ~あ、やさぐれちゃったよ』
 クヮアー『アイラ、幼女設定ドコいったの?』

 いや、設定って何よ。
 私は正真正銘5歳児だっちゅーの!

 ガォオオーン『アイラ、そろそろ次の宿場町だけど?』

 馬車は、別に駆け足の猛スピードって訳じゃないから、サイモン公爵領都トランビスまで幾日か掛かる。途中、宿場町に滞在して、そこそこ散財する義務…とまでは言えないにしても、消費活動する必要が公爵家にはあるんだよね。

 なので、そんな宿場町で隙有らば!って思ってたんだけど。

 基本、私の定位置はお継母様のお膝な訳で。
 馬車から降りた途端に、お姉様にしっかりと掴まれてしまっていて。

「まだ強行突破は考えてないわ。もう少し待って」

 大地魔狼コロは姿を消しつつ、馬車に寄り添って走って…、うん、コロにとっては歩きに近い速度スピードなんだよねー。
 霊鳥鳳凰カナは悠々、飛んで追いかけてて、
瑞獣霊亀キィちゃんは相変わらず私のポシェットの中。

 隙有らば!
 ピィー『ホントに、そう思ってる?アイラ』

 お姉様と、そしてお継母様と一緒のお買い物ショッピング。やっぱり楽しいんだ。
 流石は公爵家!買い物に上限なくってさ。
 入るお店は、とっても上品で。しかも値札なんか付いてなくって。
 お姉様は「この棚のモノ、ぜ~んぶ見せて」って言って、サラッと見た後、
「全部貰うわ、ね、お母様。今度のお茶会にコレで行くわ。そうね。コレと色違いで、あの娘に合うサイズのモノ、有る?」
 私を指して、とびっきりの笑顔で聞いてきた。

「お継母様?お茶会って」
「お茶会のデビュタントとして。確かに早いかもしれませんがね」

 それって、学校へ行く様になってからじゃなかった?つまり、お姉様の歳の頃だよね。

「あまりにも早過ぎませんか?それともお継母様には、私が11歳に見えるとか?」
「それどころか、大人に感じる事もあるのですけどね。それはさておき、貴女は少し有名になり過ぎてしまっていてね」

 お継母様曰く。

 1.スキルが『聖獣使い』。
 2.豊穣の担い手。
 3.次期王妃。

「等と言われていてね」
「その3つ目は、私聞いた事ありませんけど?」
「最近の事ですからね」

 何せ、家格と年齢の、両方マッチングするのは本当に私しかいないらしい。

 世嗣促進って訳じゃないんだろうけど、此処数年何故か、高位貴族に男子しか生まれなかったんだとか。その意味では、お姉様リディアも貴重な高位貴族令嬢妃候補だったんだって。5歳も年上だけど。
 そこへ降って湧いた1つ年下の貴族令嬢
 庶子とは言え認知養育された公爵家令嬢であり、世にも稀なるスキルまで持ち合わせてる、他家が対抗する気さえ起こせそうもない存在。

 困ったモンだ。

「やぁ、此処で買い物してたんだね」

 噂をすれば何とやら?

 って、何でココにロラン王子がいるの?
 店を出て表中央通り歩く私達の前に、いきなり現れた王子様。
 おい?護衛ドコだよ。

「そうですが、殿下はお一人で?どうしてまた」

 お継母様?棒読みに聴こえるのは気のせい?

「所用があってトランビスへ行く途中だったんだけど、皆と逸れちゃってね。久々の遠出ではしゃいじゃったかなぁ」
「それはいけませんわ。殿下の護衛は公爵家が相勤めましょう。どうぞ、公爵家ウチの馬車へ」

 お継母様?

 ピィー『コレ、既成事実作ってる?』
 クヮアー『まぁた、出し抜かれたねぇ、アイラ』
 ガォオオーン『オイラ、知らね』

 帰路につく馬車が3になってるの、何故?

 …お継母様ぁ…。
 ええい!もう、なるようになれ‼︎
しおりを挟む
感想 17

あなたにおすすめの小説

召喚魔法使いの旅

ゴロヒロ
ファンタジー
転生する事になった俺は転生の時の役目である瘴気溢れる大陸にある大神殿を目指して頼れる仲間の召喚獣たちと共に旅をする カクヨムでも投稿してます

(完結)もふもふと幼女の異世界まったり旅

あかる
ファンタジー
死ぬ予定ではなかったのに、死神さんにうっかり魂を狩られてしまった!しかも証拠隠滅の為に捨てられて…捨てる神あれば拾う神あり? 異世界に飛ばされた魂を拾ってもらい、便利なスキルも貰えました! 完結しました。ところで、何位だったのでしょう?途中覗いた時は150~160位くらいでした。応援、ありがとうございました。そのうち新しい物も出す予定です。その時はよろしくお願いします。

転生先ではゆっくりと生きたい

ひつじ
ファンタジー
勉強を頑張っても、仕事を頑張っても誰からも愛されなかったし必要とされなかった藤田明彦。 事故で死んだ明彦が出会ったのは…… 転生先では愛されたいし必要とされたい。明彦改めソラはこの広い空を見ながらゆっくりと生きることを決めた 小説家になろうでも連載中です。 なろうの方が話数が多いです。 https://ncode.syosetu.com/n8964gh/

Sランク冒険者の受付嬢

おすし
ファンタジー
王都の中心街にある冒険者ギルド《ラウト・ハーヴ》は、王国最大のギルドで登録冒険者数も依頼数もNo.1と実績のあるギルドだ。 だがそんなギルドには1つの噂があった。それは、『あのギルドにはとてつもなく強い受付嬢』がいる、と。 そんな噂を耳にしてギルドに行けば、受付には1人の綺麗な銀髪をもつ受付嬢がいてー。 「こんにちは、ご用件は何でしょうか?」 その受付嬢は、今日もギルドで静かに仕事をこなしているようです。 これは、最強冒険者でもあるギルドの受付嬢の物語。 ※ほのぼので、日常:バトル=2:1くらいにするつもりです。 ※前のやつの改訂版です ※一章あたり約10話です。文字数は1話につき1500〜2500くらい。

30代社畜の私が1ヶ月後に異世界転生するらしい。

ひさまま
ファンタジー
 前世で搾取されまくりだった私。  魂の休養のため、地球に転生したが、地球でも今世も搾取されまくりのため魂の消滅の危機らしい。  とある理由から元の世界に戻るように言われ、マジックバックを自称神様から頂いたよ。  これで地球で買ったものを持ち込めるとのこと。やっぱり夢ではないらしい。  取り敢えず、明日は退職届けを出そう。  目指せ、快適異世界生活。  ぽちぽち更新します。  作者、うっかりなのでこれも買わないと!というのがあれば教えて下さい。  脳内の空想を、つらつら書いているのでお目汚しな際はごめんなさい。

異世界の親が過保護過ぎて最強

みやび
ファンタジー
ある日、突然転生の為に呼び出された男。 しかし、異世界転生前に神様と喧嘩した結果、死地に送られる。 魔物に襲われそうな所を白銀の狼に助けられたが、意思の伝達があまり上手く出来なかった。 狼に拾われた先では、里ならではの子育てをする過保護な里親に振り回される日々。 男はこの状況で生き延びることができるのか───? 大人になった先に待ち受ける彼の未来は────。 ☆ 第1話~第7話 赤ん坊時代 第8話~第25話 少年時代 第26話~第?話 成人時代 ☆ webで投稿している小説を読んでくださった方が登場人物を描いて下さいました! 本当にありがとうございます!!! そして、ご本人から小説への掲載許可を頂きました(≧▽≦) ♡Thanks♡ イラスト→@ゆお様 あらすじが分かりにくくてごめんなさいっ! ネタバレにならない程度のあらすじってどーしたらいいの…… 読んで貰えると嬉しいです!

出来損ないと呼ばれた伯爵令嬢は出来損ないを望む

家具屋ふふみに
ファンタジー
 この世界には魔法が存在する。  そして生まれ持つ適性がある属性しか使えない。  その属性は主に6つ。  火・水・風・土・雷・そして……無。    クーリアは伯爵令嬢として生まれた。  貴族は生まれながらに魔力、そして属性の適性が多いとされている。  そんな中で、クーリアは無属性の適性しかなかった。    無属性しか扱えない者は『白』と呼ばれる。  その呼び名は貴族にとって屈辱でしかない。      だからクーリアは出来損ないと呼ばれた。    そして彼女はその通りの出来損ない……ではなかった。    これは彼女の本気を引き出したい彼女の周りの人達と、絶対に本気を出したくない彼女との攻防を描いた、そんな物語。  そしてクーリアは、自身に隠された秘密を知る……そんなお話。 設定揺らぎまくりで安定しないかもしれませんが、そういうものだと納得してくださいm(_ _)m ※←このマークがある話は大体一人称。

毒を盛られて生死を彷徨い前世の記憶を取り戻しました。小説の悪役令嬢などやってられません。

克全
ファンタジー
公爵令嬢エマは、アバコーン王国の王太子チャーリーの婚約者だった。だがステュワート教団の孤児院で性技を仕込まれたイザベラに籠絡されていた。王太子達に無実の罪をなすりつけられエマは、修道院に送られた。王太子達は執拗で、本来なら侯爵一族とは認められない妾腹の叔父を操り、父親と母嫌を殺させ公爵家を乗っ取ってしまった。母の父親であるブラウン侯爵が最後まで護ろうとしてくれるも、王国とステュワート教団が協力し、イザベラが直接新種の空気感染する毒薬まで使った事で、毒殺されそうになった。だがこれをきっかけに、異世界で暴漢に腹を刺された女性、美咲の魂が憑依同居する事になった。その女性の話しでは、自分の住んでいる世界の話が、異世界では小説になって多くの人が知っているという。エマと美咲は協力して王国と教団に復讐する事にした。

処理中です...