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外伝
露店の親父は見た!
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リンドガイア王国建国祭。
我々商売人も露店を出して稼ぎ時だ。
こんな時じゃないと王都で商売なんて出来ないからな。王都中央広場の場所取り。人気の場所は籤引きになる。
へっへー!今年は当たりだよ。
王宮への大通りへ続く広場噴水前の一角。
1番人通りが多い場所だ!全く今年はツイテいるよ。それもコレも『光神竜姫』たるミリュー公爵令嬢様々か?御利益有り難いね。王国は益々栄えるってもんだ。
何でも『竜の災厄』って言う戦争らしき揉め事が他国であったらしくって、それを綺麗に収め、しかもあの伝説の竜語魔法を使ったのが我等が『神竜の愛娘』ミリュー公爵令嬢リスティア様だって話だ。アチラの守護神竜と戯れる様に空を舞われたとか。流石に貴きお方は違うねぇ。
おっと、もうすぐ王家の方々がお出ましだ…。
あれが『光神竜姫』リスティア様…。
あの方が王太子妃?
本当に…、本当に女神にも等しいお方だ!
おおお!リンドガイア王国、万歳‼︎
昨夜の王家の方々のお出まし。
そして天空を舞った竜の姫~リスティア様。
この世の者とは思えない神々しさだったねぇ。建国祭も派手に盛り上がったよ。広場の賑わいも例年以上で売り上げも倍増。有り難いねぇ。
それはそうと、毎年来るあの女の子。夕べは来なかったな。まだ子供なのに、何か使い込まれた革鎧を着込み、実用的な長剣を腰に履く少女とハーフプレート?を付ける少年。コイツの剣も飾りには見えねぇ。が、この少年は「お嬢!」って少女を呼んでんだよな。ひょっとして少女の護衛か?にしてはあの女の子、貴族には見えねぇんだよな。かなり使い込まれた革鎧着てるし。冒険者として年季が入ってる様にも見えるし。でもガキ過ぎるし。
しかもあの食いっぷり。貴族処か街娘でもあんな齧り付く様な食い方はしねぇ。いや、ワイルドボアの頬肉の串焼きだ。齧り付いて串を抜くのが美味い食い方なんだけどね。娘っ子の食いっぷりじゃねぇし、あの娘2~3本平らげていくんだよな。オマケにジャイアントスネークの塩焼きも。アッサリとした塩味なんだが、蛇肉って事に抵抗の有る奴が多くてね。まぁ娘っ子は敬遠するもんなんだが。
おっと、そろそろ焼けてきた。
ホラ、匂いにつられて客が集まりだした。
「いらっしゃい!」
焼きながら客に手渡し、昨夜の『光神竜姫』様の事で盛り上がる。あの神々しいお姿を見ただけでも長生き出来そうだし商売も繁盛しそうだよ。
おっと行列の最後か?あの娘っ子と剣士のガキ。さては夕べは間に合わなかったのか?
「おじさん、頬肉3本と塩焼き1つ」
「俺も。あ、塩焼きの他にタレ漬けある?」
「お、お前さんツウだねぇ。コイツは秘伝のタレに漬け込むと益々美味えんだ」
尤もタレの匂いは少しクセがある。儂の地元の奴位しか好まないんだが。
「へへっ、コレコレ」
受け取るとこのガキはタレ漬けから齧り付いた。丁度行列もはけたしことだし、
「お前さん、このタレの味を知ってるってデンガナの者かい?」
地元の者か聞いてみる。
「いや、俺達はローカストの産まれ。でもデンガナに2年前かな?行った時にご馳走になってさ。それ以来病み付き」
「ほお?その歳であんな辺境まで?」
「お嬢!の付き合いでね、な」
何の用があったのやら。その娘っ子は一心不乱に齧り付いてる。
「それはそうと夕べは間に合わなかったのかい?いつもは初日から来てたのに」
「うん、王都にはいたけど外せない用があったんだ。だから泣く泣くね」
「泣く泣く?用事ほっぽり出して食べに行くって抜け出そうとしただろ?お嬢!の所為でどんだけ苦労したか」
「もう、どっちの味方?この裏切者‼︎」
うーん。剣士のガキは従者だと思うんだけどな。実は同僚?冒険者仲間なのか?
「じゃあ、天空を舞った『光神竜姫』様は見てねぇのか?あの神々しいお姿。思わず拝んじまったよ」
「いや、俺は見たんだ」
「ほう。じゃ、アンタは?」
「うん、一度は見てみたいんだけど…。ね、今度の機会で何とか出来ない?」
「どうしろって?お嬢!まさか宝珠持って撮り乍ら追いかけろって言わないよな?」
「無理?」「絶対無理‼︎」
は?撮り乍ら?宝珠?
何か魔道具でも持ってる?まさかお貴族様?
「鏡見ながら飛べば?」
「酷い!」
何?何を言ってる?
「って言うか、そろそろ帰らないとマズいよ、お嬢!アソコで何か合図してんのマゼールだと思う。殿下が探してるんじゃないの?」
「むう。午前中は好きに動くって言ってたのに」
「屋台で立ち食いは想定外じゃね?少なくとも公爵令嬢は勿論、王太子妃殿下はやらねーよ」
は?何?今、何て言った?
そう言えば、この娘っ子。ま、まさか?
「ごちそうさま、おじさん」
「あ、勘にきたかもしんないけど一応秘密な」
…あれが『光神竜姫』様?
我々商売人も露店を出して稼ぎ時だ。
こんな時じゃないと王都で商売なんて出来ないからな。王都中央広場の場所取り。人気の場所は籤引きになる。
へっへー!今年は当たりだよ。
王宮への大通りへ続く広場噴水前の一角。
1番人通りが多い場所だ!全く今年はツイテいるよ。それもコレも『光神竜姫』たるミリュー公爵令嬢様々か?御利益有り難いね。王国は益々栄えるってもんだ。
何でも『竜の災厄』って言う戦争らしき揉め事が他国であったらしくって、それを綺麗に収め、しかもあの伝説の竜語魔法を使ったのが我等が『神竜の愛娘』ミリュー公爵令嬢リスティア様だって話だ。アチラの守護神竜と戯れる様に空を舞われたとか。流石に貴きお方は違うねぇ。
おっと、もうすぐ王家の方々がお出ましだ…。
あれが『光神竜姫』リスティア様…。
あの方が王太子妃?
本当に…、本当に女神にも等しいお方だ!
おおお!リンドガイア王国、万歳‼︎
昨夜の王家の方々のお出まし。
そして天空を舞った竜の姫~リスティア様。
この世の者とは思えない神々しさだったねぇ。建国祭も派手に盛り上がったよ。広場の賑わいも例年以上で売り上げも倍増。有り難いねぇ。
それはそうと、毎年来るあの女の子。夕べは来なかったな。まだ子供なのに、何か使い込まれた革鎧を着込み、実用的な長剣を腰に履く少女とハーフプレート?を付ける少年。コイツの剣も飾りには見えねぇ。が、この少年は「お嬢!」って少女を呼んでんだよな。ひょっとして少女の護衛か?にしてはあの女の子、貴族には見えねぇんだよな。かなり使い込まれた革鎧着てるし。冒険者として年季が入ってる様にも見えるし。でもガキ過ぎるし。
しかもあの食いっぷり。貴族処か街娘でもあんな齧り付く様な食い方はしねぇ。いや、ワイルドボアの頬肉の串焼きだ。齧り付いて串を抜くのが美味い食い方なんだけどね。娘っ子の食いっぷりじゃねぇし、あの娘2~3本平らげていくんだよな。オマケにジャイアントスネークの塩焼きも。アッサリとした塩味なんだが、蛇肉って事に抵抗の有る奴が多くてね。まぁ娘っ子は敬遠するもんなんだが。
おっと、そろそろ焼けてきた。
ホラ、匂いにつられて客が集まりだした。
「いらっしゃい!」
焼きながら客に手渡し、昨夜の『光神竜姫』様の事で盛り上がる。あの神々しいお姿を見ただけでも長生き出来そうだし商売も繁盛しそうだよ。
おっと行列の最後か?あの娘っ子と剣士のガキ。さては夕べは間に合わなかったのか?
「おじさん、頬肉3本と塩焼き1つ」
「俺も。あ、塩焼きの他にタレ漬けある?」
「お、お前さんツウだねぇ。コイツは秘伝のタレに漬け込むと益々美味えんだ」
尤もタレの匂いは少しクセがある。儂の地元の奴位しか好まないんだが。
「へへっ、コレコレ」
受け取るとこのガキはタレ漬けから齧り付いた。丁度行列もはけたしことだし、
「お前さん、このタレの味を知ってるってデンガナの者かい?」
地元の者か聞いてみる。
「いや、俺達はローカストの産まれ。でもデンガナに2年前かな?行った時にご馳走になってさ。それ以来病み付き」
「ほお?その歳であんな辺境まで?」
「お嬢!の付き合いでね、な」
何の用があったのやら。その娘っ子は一心不乱に齧り付いてる。
「それはそうと夕べは間に合わなかったのかい?いつもは初日から来てたのに」
「うん、王都にはいたけど外せない用があったんだ。だから泣く泣くね」
「泣く泣く?用事ほっぽり出して食べに行くって抜け出そうとしただろ?お嬢!の所為でどんだけ苦労したか」
「もう、どっちの味方?この裏切者‼︎」
うーん。剣士のガキは従者だと思うんだけどな。実は同僚?冒険者仲間なのか?
「じゃあ、天空を舞った『光神竜姫』様は見てねぇのか?あの神々しいお姿。思わず拝んじまったよ」
「いや、俺は見たんだ」
「ほう。じゃ、アンタは?」
「うん、一度は見てみたいんだけど…。ね、今度の機会で何とか出来ない?」
「どうしろって?お嬢!まさか宝珠持って撮り乍ら追いかけろって言わないよな?」
「無理?」「絶対無理‼︎」
は?撮り乍ら?宝珠?
何か魔道具でも持ってる?まさかお貴族様?
「鏡見ながら飛べば?」
「酷い!」
何?何を言ってる?
「って言うか、そろそろ帰らないとマズいよ、お嬢!アソコで何か合図してんのマゼールだと思う。殿下が探してるんじゃないの?」
「むう。午前中は好きに動くって言ってたのに」
「屋台で立ち食いは想定外じゃね?少なくとも公爵令嬢は勿論、王太子妃殿下はやらねーよ」
は?何?今、何て言った?
そう言えば、この娘っ子。ま、まさか?
「ごちそうさま、おじさん」
「あ、勘にきたかもしんないけど一応秘密な」
…あれが『光神竜姫』様?
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