【完結】天下無敵の公爵令嬢は、おせっかいが大好きです

13.世界に愛された娘

終章

 目の前の安らかな光景。
 小さな子供達が話をせがんでいます。

 「えーと、どのお話だったかしら？」
 「骨の竜のお話です、お大祖母様。後光神銀竜様のお話もしてくださると。こないだ約束致しましたよ？」
 「あらあら、ごめんなさいね、マリス。マイクにリアンナもいいかしら？ それじゃ私が小さく、まだ七歳の時でした」

 骨の竜が王都に迫る話。そして光神銀竜様の背に乗って立ち向かう話。あの頃は必死で、皆を守ろうと頑張ってきました。

 あれから九十年。

 ルーク様の後、息子のマーク王、孫のライド王の御代が続き、この国は豊かに、優しく、暮らしやすくなっていきました。私は、曾孫達に昔語をする毎日を過ごしています。
 本当に穏やかな、心安らかな日々。

 うん、そろそろルーク様の御元へ行かないとね。
 先立たれて十年。
 甘えてこられるあの方を十年もお一人にしてしまいました。また、お側にきてもよろしいですか？

 「殿下、皆様おやつの時間でございます。お手を洗われてこちらへ」
 「はい。さあ、お大祖母様も。あれ？ お大祖母様？ お休みになりました？ サリー、お大祖母様に毛布を掛けてあげて」

 子供達が城内の手洗場に行きました。
 心地よい微睡みの中、あらあら、ルーク様が待ちきれなかったのかしら？ 迎えに来てくださっています。
 今、行きます。


 「あら？ ここは？」
 「待っていました。その、女神グランガイアから聞いて。世界をより良く変えられる力を持つって。お願い！ 手を貸してもらえる？ 私の世界、ウィザーランドは今衰退しているの。ね、また、この人と一緒に」
 「まぁ、ルーク様」

 白き世界、神界なのかしら？ 
 そこで私を待っていたのはグランガイア様より若く見える女神。そしてルーク様。
 「待ちくたびれたよ、リスティア。でも、お陰で君と共に新しい世界へ行けそうだ」
 「また、お側に居ることが出来るのですね？ また、貴方に愛してもらえる？」
 「あぁ、来世でも一緒に居られるみたいだ」
 「では、喜んで。女神様」


 「貴方達は共に歩み、慈しみ合い、共に生きる。その愛が世界を変える。時代を変える。この世界を、私と共に導いて欲しい」

 ルーク様と共に、新しい世界へ。

 今度は、どんな冒険が待っているのかしら？


 
    天下無敵の公爵令嬢は、おせっかいが大好きです。
  　　　　                                                             ～ fin ～