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11.王太子妃 (ほぼ確定) の日常
社交
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『光神銀竜ゼルメイド』様の乱入を経て、御披露目?は大歓声の中終わりました。
そして、広場で庶民のお祭りが、王城では貴族達の夜会が始まります。
ダンスも終わり、銘々談笑中。
私とルーク様の元には、貴族達が入れ替り立ち代わり。
「リスティア様、本当にお綺麗です事。ドレスも素敵ですわ」
「ありがとうございます。ボルタ伯爵夫人」
年始の挨拶で何回か会っています。早々『貴女は誰?』という状況にはならないと思っているのですが…。
「リスティア様!」
「ローラ様、シャーロット様」
クラスメイトって、こういう時ホッとします。
「リスティア様、本当に素敵なドレスですね」
「お母様のこだわりデザインです。二日程着せ替え人形でした」
「何処も同じですわ」
そんな微笑ましい談笑の中、少しキツメのお姉様が!
コニー=オズモンド侯爵令嬢。
五つ年上で有るが為に、王太子妃候補から外れてしまったお方です。だからなのか、最初は『親の仇』みたいな目で見られてました。『白き聖女』から『神竜の愛娘』と呼ばれるようになって、やっとルーク様の婚約者と認めて下さいました。
「ご機嫌麗しゅう、リスティア様」
「お久しぶりでございます、コニー様」
「『光神竜姫』のお姿、誠に神々しいもの。貴女は成るべくして『王太子妃』になられたのですね」
「過分な地位と寵愛を受け、日々精進せねばと努力する次第です。コニー様のお眼鏡にかなうと宜しいのですが」
おーっほほほほほほほ!
笑って去って行かれたコニー様。疲れたぁ。
「年齢的なものより、あの性格のせいと思えるのですが…」
「ローラ様!?」
聞こえるとヤバイのですが、どうやらセーフ。
何せ成人しているのに、全くご成婚の話がないのです。そうとうピリピリしてると聞こえてきます。
「尤も私自身、言えた柄ではないのですが」
「………」
「笑い飛ばしてくださいませ。冗談にならなくなりますわ」
「ローラ様、私もリスティア様も、何とも言い様がありませんわ」
「ちょ? シャーロット様?」
私を、巻き込まないでくださいまし。あうぅ、言えません。ほら、二人の視線の先に火花が…。
「あらあら、お若い方ばかりで何のお話? 私の様な年増も加わってよろしいかしら?」
「フィーナ様。勿論ですわ。今丁度このジュースの産地を当てていた所です。ボルタかラバルトか? どちらだと思われますか?」
「あらあらメインの果実で考えてみたら、パイルの可能性もありそうね」
誤魔化せた! と思う。グッドタイミングです。
話の輪に加わったのはフィーナ=ドイル男爵令嬢。
ご自分で年増って仰有る、十八歳の明るい方。勿論ご婚約されてはいます。まだ嫁いでいらっしゃらないのは、婚約者が上級騎士爵位で、兵役につき国境警備の任に在る為。
騎士爵位には、これがあります。でも、上手く手柄を立てられたら准男爵に上がれるって聞きました。
で、意外に填まってしまった産地当て。
これは、何処産のアップル? オレンジは何処のが美味しい? 馬鹿馬鹿しく盛り上がりました。
隣にいたはずのルーク様が、何処かへ行ってしまうくらい。あはは。
うん、ルーク様は…、いらっしゃいました。
先のテーブルで談笑中。あれは?
「話は終わった? ずいぶん盛り上がっていたようだけど」
「はい、まぁ、ですね。フフ、申し訳ありません、私達だけで盛り上がってしまいました」
「何故こうも、どうでもいい話で盛り上がるのかな?実は私には解らないのだ」
それでも笑顔で話されるのは、教皇グラント公爵の嫡男、次期教皇と言われるヴァイス=グラント公子。といっても、私のお父様と同じお年です。
「あら? ヴァイス様、それでは奥様は勿論、御息女クーデルカ様のお話にも?」
「はっははは。実は全くだ。横で唯笑っているだけだよ」
「まぁ! そうだったのですか? お父様」
噂をすれば、クーデルカ=グラント嬢。
「しまった! そばに居たのか」
「ウフフ、リスティア様からしか見えない位置だったみたいです。リスティア様、善い事を聞かせていただきました。さぁ、お父様? もう、訂正は利きませんわよ?」
困った様に私を見られるヴァイス様。
「申し訳ございません、ヴァイス様。クーデルカ様が、口に指を当てて来られたものですから」
「何と? はて? 娘とリスティア様が、そうも懇意にされているとは?」
「あら? お話されていませんか? クーデルカ様はレムオンお兄様の御学友でいらっしゃいます。我が王都別宅に来られた事もございますのよ?」
「う~む、私はこうも娘と意思疎通していなかったのか。ますます困ったぞ」
あまり困った様に見えませんけど。
実はお兄様とクーデルカ様は、私から見ても、かなり親しく懇意にされています。っていうか、付き合ってる様にしか見えません!
私、お兄様を応援します!!なので、クーデルカ様の味方なんです。
クスクス笑い合う二人の女性に挟まれ、困った顔のヴァイス様。あはは。ルーク様まで落ち着かないのは何故でしょうね?
「ルーク様が、お困りになることはないと思うのですけど?」
「あ、そうだよね。つられてしまった」
「いやいや、殿下。もうしばらくこちら側にいてくださいませ」
「あら? ルーク様は私の味方なのです」
微笑んで、腕組んでしまいます。
「じゃあ、こっち」
手がスルリと抜かれました。
え? ふぇ? 肩を抱かれてしまいました。
うわぁ! このドレス、肩は露出してるのですけど。
直に…抱かれてます……。
「成る程、確かに殿下はリスティア様のお味方ですね。相変わらずお熱くて、羨ましいかぎりですわ」
この時の二人は、新婚さん…っていうか、やっぱバカップル? 勿論面と向かって言う方などいらっしゃらないのですけど。
フフ、この幸せな新婚気分。ずっと続いて欲しい。
女神様は勿論、『モルド』にも届いたのでしょうか?四年程何事もなく平穏無事だったのです。
そして、広場で庶民のお祭りが、王城では貴族達の夜会が始まります。
ダンスも終わり、銘々談笑中。
私とルーク様の元には、貴族達が入れ替り立ち代わり。
「リスティア様、本当にお綺麗です事。ドレスも素敵ですわ」
「ありがとうございます。ボルタ伯爵夫人」
年始の挨拶で何回か会っています。早々『貴女は誰?』という状況にはならないと思っているのですが…。
「リスティア様!」
「ローラ様、シャーロット様」
クラスメイトって、こういう時ホッとします。
「リスティア様、本当に素敵なドレスですね」
「お母様のこだわりデザインです。二日程着せ替え人形でした」
「何処も同じですわ」
そんな微笑ましい談笑の中、少しキツメのお姉様が!
コニー=オズモンド侯爵令嬢。
五つ年上で有るが為に、王太子妃候補から外れてしまったお方です。だからなのか、最初は『親の仇』みたいな目で見られてました。『白き聖女』から『神竜の愛娘』と呼ばれるようになって、やっとルーク様の婚約者と認めて下さいました。
「ご機嫌麗しゅう、リスティア様」
「お久しぶりでございます、コニー様」
「『光神竜姫』のお姿、誠に神々しいもの。貴女は成るべくして『王太子妃』になられたのですね」
「過分な地位と寵愛を受け、日々精進せねばと努力する次第です。コニー様のお眼鏡にかなうと宜しいのですが」
おーっほほほほほほほ!
笑って去って行かれたコニー様。疲れたぁ。
「年齢的なものより、あの性格のせいと思えるのですが…」
「ローラ様!?」
聞こえるとヤバイのですが、どうやらセーフ。
何せ成人しているのに、全くご成婚の話がないのです。そうとうピリピリしてると聞こえてきます。
「尤も私自身、言えた柄ではないのですが」
「………」
「笑い飛ばしてくださいませ。冗談にならなくなりますわ」
「ローラ様、私もリスティア様も、何とも言い様がありませんわ」
「ちょ? シャーロット様?」
私を、巻き込まないでくださいまし。あうぅ、言えません。ほら、二人の視線の先に火花が…。
「あらあら、お若い方ばかりで何のお話? 私の様な年増も加わってよろしいかしら?」
「フィーナ様。勿論ですわ。今丁度このジュースの産地を当てていた所です。ボルタかラバルトか? どちらだと思われますか?」
「あらあらメインの果実で考えてみたら、パイルの可能性もありそうね」
誤魔化せた! と思う。グッドタイミングです。
話の輪に加わったのはフィーナ=ドイル男爵令嬢。
ご自分で年増って仰有る、十八歳の明るい方。勿論ご婚約されてはいます。まだ嫁いでいらっしゃらないのは、婚約者が上級騎士爵位で、兵役につき国境警備の任に在る為。
騎士爵位には、これがあります。でも、上手く手柄を立てられたら准男爵に上がれるって聞きました。
で、意外に填まってしまった産地当て。
これは、何処産のアップル? オレンジは何処のが美味しい? 馬鹿馬鹿しく盛り上がりました。
隣にいたはずのルーク様が、何処かへ行ってしまうくらい。あはは。
うん、ルーク様は…、いらっしゃいました。
先のテーブルで談笑中。あれは?
「話は終わった? ずいぶん盛り上がっていたようだけど」
「はい、まぁ、ですね。フフ、申し訳ありません、私達だけで盛り上がってしまいました」
「何故こうも、どうでもいい話で盛り上がるのかな?実は私には解らないのだ」
それでも笑顔で話されるのは、教皇グラント公爵の嫡男、次期教皇と言われるヴァイス=グラント公子。といっても、私のお父様と同じお年です。
「あら? ヴァイス様、それでは奥様は勿論、御息女クーデルカ様のお話にも?」
「はっははは。実は全くだ。横で唯笑っているだけだよ」
「まぁ! そうだったのですか? お父様」
噂をすれば、クーデルカ=グラント嬢。
「しまった! そばに居たのか」
「ウフフ、リスティア様からしか見えない位置だったみたいです。リスティア様、善い事を聞かせていただきました。さぁ、お父様? もう、訂正は利きませんわよ?」
困った様に私を見られるヴァイス様。
「申し訳ございません、ヴァイス様。クーデルカ様が、口に指を当てて来られたものですから」
「何と? はて? 娘とリスティア様が、そうも懇意にされているとは?」
「あら? お話されていませんか? クーデルカ様はレムオンお兄様の御学友でいらっしゃいます。我が王都別宅に来られた事もございますのよ?」
「う~む、私はこうも娘と意思疎通していなかったのか。ますます困ったぞ」
あまり困った様に見えませんけど。
実はお兄様とクーデルカ様は、私から見ても、かなり親しく懇意にされています。っていうか、付き合ってる様にしか見えません!
私、お兄様を応援します!!なので、クーデルカ様の味方なんです。
クスクス笑い合う二人の女性に挟まれ、困った顔のヴァイス様。あはは。ルーク様まで落ち着かないのは何故でしょうね?
「ルーク様が、お困りになることはないと思うのですけど?」
「あ、そうだよね。つられてしまった」
「いやいや、殿下。もうしばらくこちら側にいてくださいませ」
「あら? ルーク様は私の味方なのです」
微笑んで、腕組んでしまいます。
「じゃあ、こっち」
手がスルリと抜かれました。
え? ふぇ? 肩を抱かれてしまいました。
うわぁ! このドレス、肩は露出してるのですけど。
直に…抱かれてます……。
「成る程、確かに殿下はリスティア様のお味方ですね。相変わらずお熱くて、羨ましいかぎりですわ」
この時の二人は、新婚さん…っていうか、やっぱバカップル? 勿論面と向かって言う方などいらっしゃらないのですけど。
フフ、この幸せな新婚気分。ずっと続いて欲しい。
女神様は勿論、『モルド』にも届いたのでしょうか?四年程何事もなく平穏無事だったのです。
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