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10.ともに、生きる未来

帰国

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 こうして、交流・交歓は終わりました。
 いよいよ、帰国の途につきます。

 「終わったね」
 「そうですね、ルーク様」

 荷造りや準備を、メイド達がテキパキやってくれてます。本当は自分達でやりたいのですが、メイド達に、「あなた方は要りません」って言うわけにもいかず。しょうがない、と思うのは私だけみたいです。何でも『公爵令嬢らしからぬ貧乏性』って言われた事あるのですけど…、解せぬ。

 「これでお別れかぁ、名残惜しいね」

 ロディマス殿下とリルウィン嬢も寂しそう。

 「この同盟で、色々合同で出来る事もあると思うよ。会う機会は増えるから」
 「あぁ、そうだね」

 結果だけみれば大成功。世界がまとまる兆しが見えて来ました。
 でも、犠牲も大きくて。
 レベッカとドウンを喪った事。胸の奥に、刺のように刺さってます。

 「だからこそ、この成功を繋げる。続かせる。絶対にだ!」

 私の顔色を読んだ? 優しく肩を抱きながら、ルーク様が私に微笑みかけます。

 「はい、ルーク様」
 私も微笑みかえします。お心使いに感謝です。

 
 さて、帰る為に『プリンス・オブ・ルーク』号と合流するのですが、そのポイントとして、サーモンドの島『フロル島』で合流する事になっています。
 ここは、サーモンド王国の漁港基地なのですが、古代遺跡『ゲート』が稼働している珍しい場所です。王都と漁港フロルが、魔導転位装置で結ばれているのです。港が国の管理下にあるサーモンドならではの話。荷物用のゲートは、かなりお魚臭いのですけど、人間用のはそこまででもなく、私達は予定通りに島へ転位し、懐かしの船に合流しました。

 「ルーク殿下! リスティア様」

 シャーロット達と数日振りの再会です。

 「聞きましたわよ、リスティア様。『光神竜姫』の大活躍。ヴォルコニアまでお救いになられて」
 「たまたまです。近衛騎士や神官達が頑張ってくださいました。そのお手伝いを、ちょっとしただけですので」

 「本当に、生きた伝説になってきたわね、リスティア嬢」
 「セシリア王女。お久しぶりです」
 「この身体のどこに、そんなパワーが?」
 「そんなにか弱そうですか?」

 目をパチクリさせて聞いてみます。私、元気少女のつもりなんですけど。

 「いえ、か弱そうには見えませんが…」
 「ある意味失礼ですわ? セシリア様。これでも公爵令嬢なのですよ?」

 勿論冗談です。笑いをこらえきれない呈で言ったので、回りも大爆笑。

 「まぁ確かに、『竜人』、『ドラゴン・スレイヤー』のイメージはないな。どうしても『女丈夫』、『女傑』になるしね。君はとても愛らしい女性だよ」
 「そう言われるのは嬉しいのですが、また抱き締めるのですか? ルーク様」
 全然さりげなくもなく、肩を抱かれました。

 「ハイハイ、ごちそうさまです、殿下!」
 「ほら、シャーロット達呆れてますよ?」
 「だから、そんな幸せオーラ駄々漏れでは説得力ゼロですわ、リスティア様」

 あうぅ、抱き締められると緩む表情がいけないのですよね。わかってるのですが…。

 などと言っている間に、私達の荷物の積み込み、終わったようです。

 「殿下! 皆さん、出港準備に入ります。御乗船ください」
 甲板士官の伝令。私達は、ゾロゾロと船に乗ります。

 そして、また一ヶ月近い船旅の始まり。
 
 珠に水棲の魔物に遭うのですけど、大概狩られてディナー? になりました。うん、水棲の魔物って、大イカを筆頭に美味しいものが多いのです。不思議。

 折角なので、水兵さん達の鍛練に参加。
 往くときにはなかったのです。でも、サーモンド王国での交流の中で、アイリス王女と剣技鍛練・交流試合を行いました。『剣の舞姫』アイリス王女と互角に渡りあった事で、「流石はミリュー司令官の御息女」と、水兵の私を見る目が変わりました。

 「剣技も凄いし、本当に、あの身体のどこにあれだけのパワーが?」
 「リスティア様は、若手最強の剣士の御一人なのですよ?」

 はい? シャーロット? 私、いつ、そんな話に?
 不思議に思って訊ねます。

 「学園や兵達の噂をまとめると、です」

 曰く、剣技のみならば、最強はレムオンお兄様。
 在学中の発表会は常勝無敗。初等部四年連続優勝は、カイルも出来なかった大記録です。実際カイルが、唯一勝てない相手でもあるのです。流石お兄様。

 魔法ありだと少し変わります。
 カイルは勿論ですが、お兄様も魔力が低いのです。四元及び補助魔法の Lv2 くらいまでしか使えません。あ、カイルはほぼゼロです。
 なので、回復魔法 Lv3 まで使えるマゼールさんが、最強の魔法剣士。

 「そこが違います。竜語魔法も使える魔法剣士がいらっしゃいますのよ?」
 「あれ? 私?」
 「他に誰がいらっしゃるのですか? 尤も数百年振りの竜語魔法の使い手です。本当に、規格外にも程がありますわ」
 「そうかな?」
 
 どうして私の代名詞が規格外なんだろ? 解せぬ。

 そんなこんなで、楽しく過ごす船旅。
 夜は、毎晩ルーク様が部屋に来て、お話したり…、ゴニョゴニョ。
 幸せなせいか、ホックの位置処かカップサイズまで変わってしまいました。

 もうすぐ帰国です。
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