【完結】天下無敵の公爵令嬢は、おせっかいが大好きです

ノデミチ

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10.ともに、生きる未来

訪問

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 いよいよ、ヴォルコニア竜帝国に公式訪問します。

 私とルーク様、ロディマス王太子にリルウィン嬢。この四人が赴く事になり、セシリア王女以下の方々が、一端船で中央大陸へ。帰路につきます。後日合流。

 サーモンド王国とヴォルコニア竜帝国の国境。
 先日の平和協定で確定した国境線で、ちょっとしたセレモニー! サーモンドの王族が、国境線を越えるのは、やはり一大事! ある意味お祭騒ぎでした。

 「ようこそ! ヴォルコニア竜帝国へ。歓迎します、皆さん」

 迎えるのは勿論、ミューク皇太子。
 あはは、まだ、何か目付きが熱っぽいよ?
 え~と? ルーク様? 前に立って?
 「渡さないよ?」

 ちょ? 赤くなるからやめてください!

 「う~ん、残念」

 あぁ? 二人して!
 「二人して、からかってますね? もぉ!」

 あははははははは!
 皆さん大爆笑です。 解せぬ。

 「ここから皇都までは半日程です。明日朝出発し、昼過ぎにはつく予定です。飛竜隊が皆さんの歓迎飛行を行いますので、期待してください!」

 それは壮観! ワクワクします。

 その夜、同室のリルウィン嬢と女子会モドキ!
 何せ、同じ家格、同じ境遇。あるある話題はつきません!
 「では、生まれた時には?」
 「はい、決められてました」

 リルウィン嬢は、生まれたその日に、ロディマス王太子の許嫁に決まったんだそうです。この二人、三日しか誕生日は違わないとの事。
 「後悔はありませんけど、ね」

 微笑むリルウィン嬢は幸せ一杯に見えて、決められた事をどうこう言うのが野暮としか言えないです。
 「仲よろしいのですね」
 「リスティア様こそ! 本当にルーク殿下がゾッコンなのですね」
 「ひょっとして、いちゃつき過ぎ?」
 「ですね。シャーロット様が呆れるはずです」

 あうぅ、そう…、見えますか?
 でも、こうして知り合えた事に感謝。私達の代の頃には、世界中が仲良くなれる気がする。


 そして、翌昼過ぎ。
 私達は、皇都ヴォルハートに到着しました。

 リンドガイアの王都ランザーとは違う、やや古めかしくも美しい街。中央にあるのは城と言うより宮殿。
 二階立ての馬車の展望部分にて、私達は街の人達に手を振ります。

 聞こえてくる喚声が、「光神竜姫様!」なのは気のせいかなぁ? 

 「サーモンドの私達が、皇都で大歓迎を受ける日が来るなんてな」
 「そうですね、ロディマス殿下。まぁ、殆どはリスティア様のようですけど」

 ミューク皇太子様を含む、私達五人が笑顔で手を振り…、あれ? 大きな白い竜?
 飛竜と並びながら、巨大な白竜が悠々飛行中。

 「守護竜ヴォルコニア様!」

 え? この国の守護神竜ヴォルコニア様?
 お姿、初めて見ました。凄い!

 あれ? 今のは手招き? まさか?
 「リスティア? ひょっとして?」
 「はい、私、呼ばれたみたいです」
 呼応するように、私、銀色に輝き始めました。

 「竜変身!『ドラゴン・チェンジ』」

 甲冑ではなく銀色のドレス。『光神竜姫』の別バージョン? 頭のリングから竜の角、背には輝く二枚の翼。

 周りは大歓声!

 「行きます!」

 そのまま『ヴォルコニア』様の元へ。
 「歓迎するぞ、『ゼルメイド』の愛娘よ」
 「はい、『ヴォルコニア』様、よろしくお願いします」

 竜達と並行して悠々飛行中!
 ちょっと調子に乗ったかな? エヘヘ、でも気持ちいいなぁ!

 「おい、ルーク?」
 「うん、年々規格外がパワーアップしてるんだよね」

 この姿だと見えるし、聞こえるんですよ? ルーク様?
 まぁ、アクシデント…じゃなくてアドリブありましたが、歓迎パレードは大盛況でした。

 王宮前、ヴォルコニア様と別れてルーク様達と合流します。と、竜変身が解けました。
 そして、王宮の中へ。
 謁見の間にて、ヴォルコニア皇帝マイノック三世陛下に合いまみえます。
 「ヴォルコニア竜帝国へ、ようこそ! 歓迎するぞ、ルーク リンドガイア王太子、ロディマス サーモンド王太子。その婚約者達よ」
 「初めまして、マイノック三世陛下」
 「この度の歓迎、実にありがたく思います」

 マイノック陛下は、私達を見回すと、
 「そなたが『光神竜姫』? そなたのおかげで、我が国の歴史が変わった。国境が定まり、こうしてサーモンドの王太子を国賓に迎える事も出来た。本当に礼を言う」
 私に向かって頭を下げる皇帝陛下。
 「いえ、全ては和を貴ぶ両国の太子殿下のご尽力です。それに『光神銀竜ゼルメイド』様が応えたものと。私は、その意思を代行したに過ぎません」

 『ゼルメイド』様の声がなければ、多分誓約など考えてないし、竜語魔法を唱えられるようになってないと思うのです。
 
 「フム。そなたがミュークの婚約者であればな。つくづく惜しいものよ。だが、今後ともこうして交流交歓できれば、嬉しく思う」
 「はい、陛下。私も、そう望みます」

 私達が、あの『ドラゴン・マスター=ダイン』も望んだ世界を一つに、平和にする事。現実味を帯びてきて、とても嬉しく思ったのでした。

 それを喜ばない者も居ました。
 「このままでは済まさぬ。『光神竜姫』、モルド様はあぁ言ったが、絶対に…、絶対に殺す! これ以上の邪魔はさせん! 『光神竜姫リスティア』」
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