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8.竜の災厄
歓迎
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一ヶ月弱の船旅を経て私達はサーモンド王国に着きました。
ここはリンドガイアと違い王都に港があります。貿易は王家直轄なんだそうです。
で、港から王城までパレード!沿道にはリンドガイアとシレジアの国旗を持った子供達が手を振って歓迎してくれています。
うん、凄い熱気!この交流にかけるサーモンド王国の本気度がわかります。
先頭の馬車、二階のオープンスペースにルーク様とセシリア王女。次の馬車にフィリップ先輩とエドモン様。手を振って沿道のサーモンド国民に応えます。私とシャーロットは馬車の中にいます。
そしていよいよ王城へ! 城門前に馬車が着きました。衛兵達の出迎えと共に王城入り口にいらっしゃるのはサーモンド王国王太子ロディマス殿下。そして、その婚約者でコーンズ公爵令嬢リルウィン様。
「ルーク!」
「ロディマス!」
二人の王太子は駆け寄るとがっちりと握手。
実は同じ歳の幼馴染。
金髪で水色と黄緑色のオッドアイが特徴的な少年。背は殆ど変わらない二人。本当に会えて嬉しそう。
「では、どうぞ王城へ!」
王城大広間。
サーモンド王国の王族、貴族官僚が一堂に揃って歓迎してくれています。
「ルーク王太子、セシリア王女。サーモンド王国へようこそ!」
サーモンド国王ライノス三世陛下が改めて歓迎の意を示され、
「多大なる歓迎に感謝致します、ライノス陛下」
ルーク様が代表で謝意を伝えます。
「此度の交流が三国の友好の礎に成らんことを願ってやみません」
セシリア王女も謝意を示され、皆に笑顔が拡がります。
「うむ。さて、歓迎の式典は明日としてここでは立食の形で友好を深めたいと思う。どれ、私も」
うわぁ、陛下、玉座から降りてこられた!
テーブルに手招きされてルーク様達もそちらへ。
「さぁ、君を紹介しないと」
私もルーク様に並びます。国王陛下の元へと。
「陛下、私の婚約者でミリュー公爵令嬢リスティアです」
「はじめまして。リスティア=ミリューと申します。此度はお招き戴きましてありがとうございます」
あ、この視線。シレジアの顔合わせの時と一緒。
「そなたが『白き聖女』『神竜の愛娘』と呼ばれた?」
やっぱり女傑として伝わってるみたいです。
陛下はもちろん王妃様やロディマス殿下、リルウィン様も目を丸くして見つめてきました。
「はい。何か申し訳ないです。皆様のご期待に添えそうもなくて」
ちょ?ルーク様? 吹き出すところではないですよ?ちょっと睨んじゃいます。
「ごめん。シレジアの時よりユーモア効いてきたなって思ってね。ライノス陛下、どうも『ドラゴン・スレイヤー』のイメージが独り歩きしているようです。シレジアとの顔合わせの時もやはり驚かれまして」
「うむ。確かにの。魔法はもちろん剣技にも優れると聞けばな」
「彼女はミリュー公爵家の者です。その血は伊達ではないのでしょう」
得意気なルーク様の横、私、何か恥ずかしくって赤くなってしまいます。
「ではお手合わせ願えるかしら?」
あれ?先ほどからセシリア王女と歓談されてた女性?
「姉上? 今までどちらへ?」
姉上?って事はサーモンド王国の王女様?
「リスティア、サーモンド王国のアイリス王女。ロディマス王太子の姉君だ」
「久しぶりね、ルーク殿下。後はじめましてね、リスティア嬢」
快活な女性。何か憧れます。
「はじめまして。リスティア=ミリューです」
「で、お手合わせ願える?」
「あ、はい。まだ未熟者ですが」
パーティーの後で、ということで。
先ずはせっかく?なので女子会!
私にシャーロット、セシリア王女とリルウィン嬢、アイリス王女。
王女様二人が、四つ歳上で同じ歳。で、婚約者の三人が同じ歳。似た境遇なのであるある話で盛り上がります。
「で、リスティア様? 航海中ルーク殿下が毎晩お部屋に来られたって本当ですか?」
ふぇ? あちゃー! その話題、今振るの? シャーロット?
「うん、私も聞きたかった!」
やば!セシリア様も食いついた!
「いえ、毎晩って訳では…、その、…週三…四…五日位かな?」
「ほぼ毎晩ですね、リスティア様! つまり航海中ずっとイチャイチャしていた、と」
あうぅ、そういう訳では…ないと…思う…けど…。
でも、思い返しただけでも幸せ気分になってしまいます。赤くなるのがわかる。
「幸せオーラ駄々漏れですわね、ご馳走様!」
もう!シャーロット?
「貴女も結構ラブラブしてたわよ?」
「いいわね、婚約者のいる方は? リルウィンも弟とラブラブですし?」
「え?姉様! こちらに振らなくても?」
「姉様?」
「あぁ、そう呼ばせています。最初は大分抵抗あったみたいだけどね」
そう言うとケラケラ笑うアイリス様。
「そう言えばアイリス様、長子なのに弟君が王太子って?」
疑問に思った事を尋ねます。
「我が国は男性にしか王位継承権はありませんわ。残念ですけど」
「それは申し訳ないです。要らぬ事を言いました」
「その分好きにさせてもらってますわ」
やっぱり素敵ですよ! アイリス様。
一方その頃…。
「準備は終わった。私もコイツらもいつでも暴れられる」
「それは何より。ですが、こちらの準備が終わりません。明日の明け方まで待ってもらえますかね、『ドラゴン・マスター』ダイン!」
「ちっ!私が先に暴れてもいい? これで、この国の穏健派の馬鹿者共も目が覚めるだろうしな」
ヴォルコニア竜帝国が誇る騎竜軍団。
『竜を統べるもの』の異名を持つ男、ダイン。
穏健派優位の状況を逆手にとり『言の葉』を使って暴れる気にさせた。ちと『言の葉』にこめる魔が強かったか?
「さて、今度は死霊だけではありませんよ?これでヴォルコニアとサーモンドは戦争勃発!リンドガイアとシレジアの王族も巻き込まれる。正に千載一遇の機会! やっと世界を滅ぼせる。くくく、けけけけけけけけけ!」
「止める! 今度こそ。リスティア様、力を貸して!…お父様…お覚悟を!」
ここはリンドガイアと違い王都に港があります。貿易は王家直轄なんだそうです。
で、港から王城までパレード!沿道にはリンドガイアとシレジアの国旗を持った子供達が手を振って歓迎してくれています。
うん、凄い熱気!この交流にかけるサーモンド王国の本気度がわかります。
先頭の馬車、二階のオープンスペースにルーク様とセシリア王女。次の馬車にフィリップ先輩とエドモン様。手を振って沿道のサーモンド国民に応えます。私とシャーロットは馬車の中にいます。
そしていよいよ王城へ! 城門前に馬車が着きました。衛兵達の出迎えと共に王城入り口にいらっしゃるのはサーモンド王国王太子ロディマス殿下。そして、その婚約者でコーンズ公爵令嬢リルウィン様。
「ルーク!」
「ロディマス!」
二人の王太子は駆け寄るとがっちりと握手。
実は同じ歳の幼馴染。
金髪で水色と黄緑色のオッドアイが特徴的な少年。背は殆ど変わらない二人。本当に会えて嬉しそう。
「では、どうぞ王城へ!」
王城大広間。
サーモンド王国の王族、貴族官僚が一堂に揃って歓迎してくれています。
「ルーク王太子、セシリア王女。サーモンド王国へようこそ!」
サーモンド国王ライノス三世陛下が改めて歓迎の意を示され、
「多大なる歓迎に感謝致します、ライノス陛下」
ルーク様が代表で謝意を伝えます。
「此度の交流が三国の友好の礎に成らんことを願ってやみません」
セシリア王女も謝意を示され、皆に笑顔が拡がります。
「うむ。さて、歓迎の式典は明日としてここでは立食の形で友好を深めたいと思う。どれ、私も」
うわぁ、陛下、玉座から降りてこられた!
テーブルに手招きされてルーク様達もそちらへ。
「さぁ、君を紹介しないと」
私もルーク様に並びます。国王陛下の元へと。
「陛下、私の婚約者でミリュー公爵令嬢リスティアです」
「はじめまして。リスティア=ミリューと申します。此度はお招き戴きましてありがとうございます」
あ、この視線。シレジアの顔合わせの時と一緒。
「そなたが『白き聖女』『神竜の愛娘』と呼ばれた?」
やっぱり女傑として伝わってるみたいです。
陛下はもちろん王妃様やロディマス殿下、リルウィン様も目を丸くして見つめてきました。
「はい。何か申し訳ないです。皆様のご期待に添えそうもなくて」
ちょ?ルーク様? 吹き出すところではないですよ?ちょっと睨んじゃいます。
「ごめん。シレジアの時よりユーモア効いてきたなって思ってね。ライノス陛下、どうも『ドラゴン・スレイヤー』のイメージが独り歩きしているようです。シレジアとの顔合わせの時もやはり驚かれまして」
「うむ。確かにの。魔法はもちろん剣技にも優れると聞けばな」
「彼女はミリュー公爵家の者です。その血は伊達ではないのでしょう」
得意気なルーク様の横、私、何か恥ずかしくって赤くなってしまいます。
「ではお手合わせ願えるかしら?」
あれ?先ほどからセシリア王女と歓談されてた女性?
「姉上? 今までどちらへ?」
姉上?って事はサーモンド王国の王女様?
「リスティア、サーモンド王国のアイリス王女。ロディマス王太子の姉君だ」
「久しぶりね、ルーク殿下。後はじめましてね、リスティア嬢」
快活な女性。何か憧れます。
「はじめまして。リスティア=ミリューです」
「で、お手合わせ願える?」
「あ、はい。まだ未熟者ですが」
パーティーの後で、ということで。
先ずはせっかく?なので女子会!
私にシャーロット、セシリア王女とリルウィン嬢、アイリス王女。
王女様二人が、四つ歳上で同じ歳。で、婚約者の三人が同じ歳。似た境遇なのであるある話で盛り上がります。
「で、リスティア様? 航海中ルーク殿下が毎晩お部屋に来られたって本当ですか?」
ふぇ? あちゃー! その話題、今振るの? シャーロット?
「うん、私も聞きたかった!」
やば!セシリア様も食いついた!
「いえ、毎晩って訳では…、その、…週三…四…五日位かな?」
「ほぼ毎晩ですね、リスティア様! つまり航海中ずっとイチャイチャしていた、と」
あうぅ、そういう訳では…ないと…思う…けど…。
でも、思い返しただけでも幸せ気分になってしまいます。赤くなるのがわかる。
「幸せオーラ駄々漏れですわね、ご馳走様!」
もう!シャーロット?
「貴女も結構ラブラブしてたわよ?」
「いいわね、婚約者のいる方は? リルウィンも弟とラブラブですし?」
「え?姉様! こちらに振らなくても?」
「姉様?」
「あぁ、そう呼ばせています。最初は大分抵抗あったみたいだけどね」
そう言うとケラケラ笑うアイリス様。
「そう言えばアイリス様、長子なのに弟君が王太子って?」
疑問に思った事を尋ねます。
「我が国は男性にしか王位継承権はありませんわ。残念ですけど」
「それは申し訳ないです。要らぬ事を言いました」
「その分好きにさせてもらってますわ」
やっぱり素敵ですよ! アイリス様。
一方その頃…。
「準備は終わった。私もコイツらもいつでも暴れられる」
「それは何より。ですが、こちらの準備が終わりません。明日の明け方まで待ってもらえますかね、『ドラゴン・マスター』ダイン!」
「ちっ!私が先に暴れてもいい? これで、この国の穏健派の馬鹿者共も目が覚めるだろうしな」
ヴォルコニア竜帝国が誇る騎竜軍団。
『竜を統べるもの』の異名を持つ男、ダイン。
穏健派優位の状況を逆手にとり『言の葉』を使って暴れる気にさせた。ちと『言の葉』にこめる魔が強かったか?
「さて、今度は死霊だけではありませんよ?これでヴォルコニアとサーモンドは戦争勃発!リンドガイアとシレジアの王族も巻き込まれる。正に千載一遇の機会! やっと世界を滅ぼせる。くくく、けけけけけけけけけ!」
「止める! 今度こそ。リスティア様、力を貸して!…お父様…お覚悟を!」
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