【完結】天下無敵の公爵令嬢は、おせっかいが大好きです

ノデミチ

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5.白き聖女の伝説

謁見

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 え?は?
 ルーク王太子殿下と婚約???
 ちょ?な、七歳児!?

 「お嬢!スゲェ‼︎」
 「リスティア様、おめでとうございます」

 カイルとローラが祝福する。い、いや、ま、待って!
 
 「何?それ?」

 マゼールさん、相変わらず苦笑しながら、

 「元々話は合ったのです。何せ条件合う方がリスティア様しか考えられないので」
 「成る程!」

 え?チェレン?

 「お嬢様、王太子殿下との釣り合いを考えると伯爵以上? で、年齢の釣り合いを考えるとシャーロット様かお嬢様しかいません。ただシャーロット様には許婚者がいらっしゃいます」
 「ですわね。確か隣国シレジアの宰相バンダボワヌ侯爵の嫡男エドモン様」

 あぁ。隣国同士の友好親善外交の一貫で一歳の時に決まったと言ってた。金髪の優しい顔立、二つ歳上の素敵な方です。

 「って、ローラは?」
 「うちは男爵家です。よほどの事がないと」

 う~ん、なんだかなー!

 「あれ?リスティア様は殿下がお嫌いですか?」

 ちょ?マゼールさん?直球過ぎません?
 殿下いないしスルーします。
 とは言え…、これ、私、拒否権って言うか選択肢ないよね? う~ん。

 そして竜の日。謁見です。
 お父様は先に登城してます。公務もあるし。
 いつもの三人なのが救いです。お陰でそんなに緊張しなくても、ってカイル?チェレン?

 「王宮なんて初めてだよ?」
 「緊張しますよー!ううう」
 「 チェレンはともかくカイル?緊張するの?」
 「お嬢!ひでぇ~」

 謁見の間。
 この扉の向こうに国王陛下や王族貴族、官僚の方達がいます。呼ばれた!扉が開いていきます。

「行くよ。私達、いつもの三人!一緒だから」
「お嬢!」「お嬢様!」

 入っていくと正面に国王陛下と王妃様。
 右に王太子殿下。他、お父様始め重鎮の貴族。
 左に官僚が並んでいます。

 前に聞いていた、指定の位置について臣下の礼をとる私達。公爵家の人間なので割りと近い位置です。

 「面を上げよ。うん!赤子の時以来か? ほう、真に母アイラに似てきたな、リスティア嬢」
 「はい、ありがとうございます。陛下におかれてはご機嫌麗しく、ミリュー公女リスティアでございます」
  うん!噛まずに言えた!

 「此度は見事な働きであった。教会や施薬院はもちろん王太子からも色々聞いた」
 「恐れ入ります。これもひとえに陛下の御威光の賜物でございます」
 まだ噛んでない、セーフ!

 「ミリュー元帥、卿も鼻が高かろう」
 「有り難きお言葉。なれど今少しお淑やかになってほしいと思う次第です」

 お父様?何気に酷くない?

 「いやいや、卿の息女はなかなか魅力的な素晴らしき女性だと王太子からも毎日のように聞いておるぞ」
 「ち、父上!?」

 殿下にそう思われてるの?うわぁ、赤くなっちゃう。あれ?殿下も顔赤い?

 「さてリスティア嬢。卿の働きに何か褒美をと思うのだが、まさか爵位や領地をやるわけにもいかずにな。学生の卿に金銭を与えるのもどうかと思い、ちと悩んでおるでな。何ぞ欲しい物があるか?」

 欲しい物?実は奉仕活動していて気になってた事があった。頼んで…いいかな?

 「では、一つだけお願いがございます」
 「ほう?何なりと」
 「王立学校に、薬師の学校を作ってください」

 我が儘かもしれない。でも聞き届けてもらえるなら!

 「薬師の学校?」
 「はい!この間、奉仕活動していて気になっていました。回復魔法じゃなくても薬師がいればって。野山には薬草が豊富にあります。でも使える者があまり多くありません。薬師がいれば怪我や病の者も早く治ります。みんなが喜ぶと思うんです。だから…あの?陛下?」

 何?国王陛下、目を閉じて何か考えている?

 「いや、済まぬ。少し思い出してな。卿の母アイラの事を」
 「お母様の事?ですか?」
 「うむ。卿の母と初めて会った時だ。予はまだ王太子だった。冒険者であった卿の母アイラが災厄とも言える魔物を打ち倒した。父王が褒美をやろうとしたら、アイラは貧しき者が頼れる医療院を望んだのだ」
 「お母様が?」
 「それに応えてできたのが王立の施薬院だ。完治した後で働いて治療費を返せる、貧しき者でも使える王国が営む医療院。卿の母が作ったのだ。そして、その娘が薬師の学校を望む。やはり親子よの。相わかった。来年度から出来るよう早速準備させよう。良いか?宰相」
 「御意」

 良かった。これで助かる人が増える。

 「今一つ、リスティア嬢とミリュー元帥に褒美と言うか、頼みがあるが」

 は?陛下が頼み?

 「リスティア嬢を王太子ルークの妃として迎えたいのだ。どうかな?」
 「へ、陛下?」

 うわぁ、本当にきた?って、お父様?

 「公爵家としても身に余る光栄です。が、娘が」
 「リスティア嬢?ルークを支えてはくれぬか?」

 え?私に聞くの? あ、殿下、その。
 マゼールさんの言葉、思い出した。
 
 「リスティア様は殿下がお嫌いですか?」
 
 そんな、そんなことない、です。

 「は、はい。私でよろしければ慎んでお受け致します」

 私、未来の王太子妃が、決まりました。
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