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4.王都の闇に、蠢く影

聖光

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 ギャアアアアアァァ!

 黒いローブの男が召喚したアンデッド・ウォーリア!
 大きい!何で? しかも回りにゾンビがワラワラと出てきているのです。

 「王都に、墓地とは言えアンデッドを!」

 「くくく、けけけけけけけけけ!さあ、暴れるがいい。この地に混乱を!」
 「おい!何のつもりだ?お前は?」

 馬鹿貴族のキリーも狼狽えてる?

 「あなたのお陰でこいつらを召喚できる死霊と命、死体を確保出来ました。感謝致します!お礼にあなたを王にしてあげましょう!死霊供の王にね。くくく、けけけけけけけけけ!」

 狂ったように笑う黒いローブの男。

 「お前はどこの者だ!」

 王太子殿下が尋ねます。
 
 「ヴォルコニアなのか?」

 同盟国サーモンド王国の交戦国、ヴォルコニア竜帝国?でも死霊を使うなんて!

 「違いますよ。さすがにかの国でも我々死霊魔法使いは違法の存在です。ならばこそ我々の敵は世界!女神の治めるこの大地!我々の目的はもっと大きい!くくく、語り過ぎましたか?では死になさい‼︎」
 そう言って黒いローブの男は消えてしまいました。移動魔法?

 アンデッド達が襲ってきました。カイルとマゼールさんが炎の剣で迎え撃ちます。私も、

 「右!ファイアーボール!」

 墓地の向かって右!ボコボコ出てくるゾンビを焼き払います。

 「ぐああっ!」

 アンデッド・ウォーリアが、大剣でマゼールさんを殴り付けました!え?どこに持ってたの?あんな大剣?

 「死霊が剣の形を作ってるんです。斬られると体力をかなり奪われます」
 「サンキュウ!チェレン。あれを掻い潜って本体に攻撃?でも時間を稼げれば応援来る筈」 

 確かにそうだけど、もつの?

 アンデッド・ウォーリアの動きは緩慢です。カイルはもちろんマゼールさんもかわすのは問題ないみたい。でも二人の攻撃もあまり効いていません。
 しかもゾンビがまだ少しずつ出てきているのです。このままじゃ?

 一か八か!今の私に出来るか、わかんないけどやるしかない!

 「カイル!マゼールさん!足止めお願いします‼︎」

 「お嬢?」
 「リスティア様?」
 振り向きもせず応える二人。

 「よし!」
 「わかりました!」

 何の説明もしてないのに二人は私を信じてくれました。

 「右!」「おう!」

 二人は大剣を掻い潜ってアンデッド・ウォーリアの右足に迫ります。必殺剣の二連撃!

 「「どうだ!?」」

 足へのダメージを受けて膝をつくアンデッド・ウォーリア!今だ!

 「自然の法に抗う者よ、女神の御名の下、聖なる光をもって母なる大地に還りなさい!『ターン・アンデッド』‼︎」

 神聖魔法Lv2、お願い!女神様、私に力を‼︎

 アンデッド・ウォーリアの下、回りのゾンビも巻き込み大地に白い魔法陣が現れました!
 そこから、すべてを包み込む白い聖なる光!

 「ギャアアアアアァァ!」

 ゾンビ達が白い炎に包まれ消滅していきます。
 やがてアンデッド・ウォーリアも大きい聖なる光に! やった…。
 私、ホッとして座り込みました。

 「神聖魔法?リスティア嬢」
 「お嬢!スゲェ‼︎」
 「お嬢様!いつの間に?」
 「リスティア様?助かりました!」

 四人の男の子が私のところに来ました。

 と、オオオーッ!って歓声。
 え?振り返ると騎士団や司祭の方達が!
 いつの間に? あ、お父様?

 「リスティア!大丈夫か!カイル、チェレン、お前達も怪我はないか?」
 
 私は、お父様にしっかり抱きしめられました。
 「お父様、私、大丈夫です」
 「ミリュー公、リスティア嬢の神聖魔法のお陰で皆無事だ。本当に助かった。我々も王都も」

 王太子殿下の言葉に改めて大歓声!

 「あの歳で神聖魔法?」「凄い、まさに天才!神の子だ」「女神様だ」

 ちょ?だんだん大袈裟な言われようだよ?

 「お嬢様の『聖女伝説』二コマ目です」

 チェレン?まだ規格外がマシに思えるのは気のせい?
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