【完結】天下無敵の公爵令嬢は、おせっかいが大好きです

ノデミチ

文字の大きさ
上 下
19 / 90
4.王都の闇に、蠢く影

貧民

しおりを挟む
 校外実習が増えてきました。
 
 医学もですが、薬学も野山に行って薬草採取。チェレンもぜぇぜぇ言いながら野山歩いています。

 「チェレン、鍛え方足ンネーよ!今度特訓やろーぜ」

 例によって授業空いてるカイルが護衛役でついてきてます。いつもありがとう、カイル。

 「あなた方の特訓に付き合ったら動けなくなります。絶対嫌ですからね」
 「あなた方? 何故に私を入れる? 」

 そう、不満を口にすると?

 「お嬢!俺と互角‼︎」
 「お嬢様、カイル並みにやるじゃないですか!」
 「ちょ? か弱い乙女を脳筋と一緒にするな!」

 ⁉︎カイルとチェレンだけじゃなく、薬学とってるみんなが驚くのは何故?

 私、メッチャ乙女心傷付いた…。しくしく。

 「お嬢!わざとらしい」

 カイル!いい方!!
 本当に頭にくる!って、あれ? 女の子がこっち見てる。私達より小さいよね。

 「うん? 何? どうしたの?」

 何か言いたげにこっちを伺ってる女の子。呼び掛けて微笑みながら近付きます。

 「ひょっとして、コレ取りに来た?」

 薬草を見せてみます。

 「えと、ママ具合悪くてキツそうで。隣のお婆ちゃんに言ったら薬取りに行かないとないって言われて」
 「薬草取りに来たんだ。ね、お婆ちゃん、何の薬草採ってきてって言ってた?」

 あ、それがわかんないんだ。うん、よし!

 「ね、お姉さん、おうちに行っていい?薬の事わかると思うし」

 実習終わって現地解散。私達は女の子について行きます。

 「お嬢様、この先は貧民区です」
 「お嬢!ちょっと警戒します!」

 二人の顔つき変わりました。あぁ、家々の雰囲気、王都はもちろん近隣の村とも違います。不衛生で壁や道端汚れてやや臭います。

 「お姉ちゃん、ここ」

 中に入ると母親らしき女性が床に横たわっています。その横にお婆ちゃん。
 母親が私達に気付いて起き上がろうとしました。

 「あ、そのままで。私達、王立学校の生徒です。西の野山で薬草を採取していたら、お子さん来たので何の薬草が必要なのかと思って」
 「すみません。いえ、大丈夫です。ちょっと寝てたら」

 そんな訳ない!近付いて顔色見ながら額に手を当てます。熱い!

 「熱が!待って下さいね」

 私は採取した薬草の中から熱冷ましになる『タイフィ草』取り出し軽く手揉みしました。

 「湯飲み、貸してください」

 受け取って水属性魔法Lv2 ピュアファイで、キレイな水を作ります。次に火属性魔法Lv1ファイアで温め、ぬるま湯にしながら手揉みした薬草を浸しました。

 少し覚まして「これ、飲んでください」と渡します。

 「熱冷ましです。気分良くなると思います」
 「すみません。ありがとうございます」

 少し落ち着いたかな?後は体力回復。

 「ちょっと魔法で体力回復させます。『ヒール』」

 回復魔法で優しく包み込みます。

 「大丈夫? 少し楽になりました?」
 「はい。はい、とても。ありがとうございます」

 良かった。あ、女の子も嬉しそうです。

 「ママ、もう大丈夫?」
 「うん、熱下がったと思うし体力回復したから。後は栄養ある食事です」

 ちょっと気になる。多分まともな食事してなさそう。子供に回して自分は二の次にしてるんだ。わかるけどこのままじゃ。

 「施薬院に行かれませんか? 少し改善されないとこのままじゃ」
 「ありがとうございます。でも、本当に大丈夫です」

 結局、説得できずこのままということに。
 ならば、

 「また明日伺います!」

 ママさん、びっくりされてます。

 「で、ですが…」
 「どうか気になさらずに。うん、なら私の医療実習にお付き合い下さいませ!」

 微笑んで、でもハッキリと宣言しました。ちょっと強引かな?
 このままじゃ終われません。只、何とかしたいという思いでした。

 翌日から学校が終わると、この貧民区にきて介護・医療実習の名目のもと奉仕活動することにしました。制服なのでただの学生としか思われず活動もうまく受け入れられていたのです。

 あの、悪い意味での貴族の方が来るまでは…。
しおりを挟む
感想 49

あなたにおすすめの小説

30代社畜の私が1ヶ月後に異世界転生するらしい。

ひさまま
ファンタジー
 前世で搾取されまくりだった私。  魂の休養のため、地球に転生したが、地球でも今世も搾取されまくりのため魂の消滅の危機らしい。  とある理由から元の世界に戻るように言われ、マジックバックを自称神様から頂いたよ。  これで地球で買ったものを持ち込めるとのこと。やっぱり夢ではないらしい。  取り敢えず、明日は退職届けを出そう。  目指せ、快適異世界生活。  ぽちぽち更新します。  作者、うっかりなのでこれも買わないと!というのがあれば教えて下さい。  脳内の空想を、つらつら書いているのでお目汚しな際はごめんなさい。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

滅びる異世界に転生したけど、幼女は楽しく旅をする!

白夢
ファンタジー
 何もしないでいいから、世界の終わりを見届けてほしい。  そう言われて、異世界に転生することになった。  でも、どうせ転生したなら、この異世界が滅びる前に観光しよう。  どうせ滅びる世界なら、思いっきり楽しもう。  だからわたしは旅に出た。  これは一人の幼女と小さな幻獣の、  世界なんて救わないつもりの放浪記。 〜〜〜  ご訪問ありがとうございます。    可愛い女の子が頼れる相棒と美しい世界で旅をする、幸せなファンタジーを目指しました。    ファンタジー小説大賞エントリー作品です。気に入っていただけましたら、ぜひご投票をお願いします。  お気に入り、ご感想、応援などいただければ、とても喜びます。よろしくお願いします! 23/01/08 表紙画像を変更しました

能力値カンストで異世界転生したので…のんびり生きちゃダメですか?

火産霊神
ファンタジー
私の異世界転生、思ってたのとちょっと違う…? 24歳OLの立花由芽は、ある日異世界転生し「ユメ」という名前の16歳の魔女として生きることに。その世界は魔王の脅威に怯え…ているわけでもなく、レベルアップは…能力値がカンストしているのでする必要もなく、能力を持て余した彼女はスローライフをおくることに。そう決めた矢先から何やらイベントが発生し…!?

美少女に転生して料理して生きてくことになりました。

ゆーぞー
ファンタジー
田中真理子32歳、独身、失業中。 飲めないお酒を飲んでぶったおれた。 気がついたらマリアンヌという12歳の美少女になっていた。 その世界は加護を受けた人間しか料理をすることができない世界だった

男爵家の厄介者は賢者と呼ばれる

暇野無学
ファンタジー
魔法もスキルも授からなかったが、他人の魔法は俺のもの。な~んちゃって。 授けの儀で授かったのは魔法やスキルじゃなかった。神父様には読めなかったが、俺には馴染みの文字だが魔法とは違う。転移した世界は優しくない世界、殺される前に授かったものを利用して逃げ出す算段をする。魔法でないものを利用して魔法を使い熟し、やがては無敵の魔法使いになる。

異世界に転生した社畜は調合師としてのんびりと生きていく。~ただの生産職だと思っていたら、結構ヤバい職でした~

夢宮
ファンタジー
台風が接近していて避難勧告が出されているにも関わらず出勤させられていた社畜──渡部与一《わたべよいち》。 雨で視界が悪いなか、信号無視をした車との接触事故で命を落としてしまう。 女神に即断即決で異世界転生を決められ、パパっと送り出されてしまうのだが、幸いなことに女神の気遣いによって職業とスキルを手に入れる──生産職の『調合師』という職業とそのスキルを。 異世界に転生してからふたりの少女に助けられ、港町へと向かい、物語は動き始める。 調合師としての立場を知り、それを利用しようとする者に悩まされながらも生きていく。 そんな与一ののんびりしたくてものんびりできない異世界生活が今、始まる。 ※2話から登場人物の描写に入りますので、のんびりと読んでいただけたらなと思います。 ※サブタイトル追加しました。

転生したら死んだことにされました〜女神の使徒なんて聞いてないよ!〜

家具屋ふふみに
ファンタジー
大学生として普通の生活を送っていた望水 静香はある日、信号無視したトラックに轢かれてそうになっていた女性を助けたことで死んでしまった。が、なんか助けた人は神だったらしく、異世界転生することに。 そして、転生したら...「女には荷が重い」という父親の一言で死んだことにされました。なので、自由に生きさせてください...なのに職業が女神の使徒?!そんなの聞いてないよ?! しっかりしているように見えてたまにミスをする女神から面倒なことを度々押し付けられ、それを与えられた力でなんとか解決していくけど、次から次に問題が起きたり、なにか不穏な動きがあったり...? ローブ男たちの目的とは?そして、その黒幕とは一体...? 不定期なので、楽しみにお待ち頂ければ嬉しいです。 拙い文章なので、誤字脱字がありましたらすいません。報告して頂ければその都度訂正させていただきます。 小説家になろう様でも公開しております。

処理中です...