60 / 62
番外編~
氷の精霊は終わりを望む ~溶けた世界、求める熱~
しおりを挟む
「男が死んだ」
その知らせを氷の精霊が聞いたのは、男が山を下った僅か数時間後のことだった。
山を下りて、男は村に着いた途端に息絶えたらしい。
雪の積もった地面に寝かされていた男は、安心したような表情を浮かべていた。
苦痛も何もないような、まるで眠っているだけのような、穏やかな表情だった。
男の亡骸の元へ向かった氷の精霊は、初めて自分から男の手に触れた。
男から氷の精霊に触れたことは何度かあった。
しかし、氷の精霊から手を伸ばしたのは、これが初めてのことだった。
氷の精霊が触れた男の手は、今まで触れた男のどんな手よりも冷たくて。
誰よりも優しかった男の手は、氷の精霊の手を握り返すことはしなかった。
「……そうか。其方、死んだのか」
呟いた氷の精霊の頬を、何かが伝って落ちていった。
パチリと瞬きをして、氷の精霊は自身の視界がぼやけていることに気が付いた。
氷の精霊は、氷の精霊である自分が水も出せることを、涙と言うものを流せることを、初めて知った。
「此方は……其方が好きだったのかもしれないのぅ……」
涙を流した氷の精霊の心は、疾うの昔に、ドロドロに溶かされてしまっていた。
氷の精霊の幸せを願う、触れただけで折れてしまいそうな男の、力強い言葉によって。
◇ ◆ ◇
男が居なくなっても、世界は変わらずに回り続ける。
気が付けば男が死んでしまってから、数十年以上の時が経っていた。
変わらぬ世界。
氷山で一人きりだった時と何一つ、変わっているものはない。
……はずなのに。
どうしてだろうか?
同じ世界のはずなのに、温もりを教えられた世界はまるで、別の物のようだった。
氷の精霊は、与えられる温もりの心地よさを知ってしまった。
誰かと共に過ごす時は、一人きりで雪に埋もれるだけの時間よりも、もっとずっと幸せなのだと知ってしまった。
氷の精霊を溶かしたあの熱はもう、この世界のどこにも無いと言うのに。
溶けた心で見る世界は、美しくて、優しくて。温かくて
……それから少し、寂しかった。
◇ ◆ ◇
それからしばらくの時が経って。
昔に村を枯らした魔物が……魔王の配下の炎鳥が復活した。
放って置いても良かったのだけれど、氷の精霊は炎鳥の元へ向かった。
炎鳥を放っておけば、再び村を枯らされてしまうかもしれなかったから。
轟々と燃える炎鳥の姿を前に、氷の精霊は不思議な気持ちになった。
炎鳥が居なければ、男に会うことは出来なかった。
しかし炎鳥が居なければ、男があんなに早くに死ぬことはなかったかもれない。
感謝をしたいような、憎みたいような、不思議な気持ちだった。
「此方は感謝もしておる。炎鳥が居なかったなら、此方はここに立っては居なかったからのぅ」
炎鳥は氷の精霊を見て、一層体の炎を大きく燃やした。
「我が友ハルジオンを害した人間を、我は許さぬ。止めるというのなら、貴様も殺す」
何もかもを破壊したいとでも言うように、ギラギラと瞳を輝かせる炎鳥の姿に、氷の精霊はスッと目を細めた。
憎しみや悲しみ、そういったものに囚われている炎鳥の姿は……もしかしたら氷の精霊だったかもしれない。
例えば氷の精霊の愛した男が、死の間際に立ってなお、氷の精霊の幸せを願うような、どこまでも優しい男でなければ……
……男を殺した原因である炎鳥を殺すため、世界を凍てつかせたのは氷の精霊であったかもしれないから。
だからなんとなく氷の精霊には、炎鳥の気持ちも分かるような気がした。
「だが、あの悪夢のような光景を繰り返す訳にはいかないのじゃ」
氷の精霊はそう言って、魔力を広げていく。
長い年月が経ってなお、氷の精霊は男のかさついた手の感触を忘れてはいなかった。
水分を失ってひび割れて、それでも温かくて優しかった男の手を……
……男と同じ苦しみを、氷の精霊は二度と村の子供に味わわせたくはなかった。
凍てつかせる氷に、氷を溶かしてしまう炎。
相性は不利で、氷の精霊は何度も炎鳥の炎の熱に飲み込まれた。
どろりと体が溶かされて、しかし氷の精霊は、熱いとは思わなかった。
氷の精霊が熱いと思ったのは、遠い昔、男に触れられた時だけ。
あの時に溶かされてしまった氷の精霊の心は、いまだ凍り付くことは無いままだったから。
氷が溶けて、
再び凍って。
炎を凍らせて、
炎に溶かされて。
炎鳥を追い払った氷の精霊は、ドロリと形を失った自分の手を凍らせようとして、けれど止めた。
もしも氷の精霊に終わりがあるのなら……
永久に近い時を生きる精霊の終わりが、あるとするなら……
もう一度、自分を溶かしたあの熱に触れたいと思ってしまったのだ。
熱くて、
脆くて、
……離れ難い、男の手の体温に。
『氷の精霊様。誰よりも優しい、氷の精霊様』
男の声がした気がした。
氷の精霊は、そちらの方向を見た。
白い光の中、男が昔と変わらぬ笑顔を浮かべているような気がした。
『 』
氷の精霊は男の名前を呼んだ。
ずっと呼びたくて、けれど呼べなかった名前だった。
◇ ◆ とある男が呼んだ、美しい氷の精霊 ◆ ◇
昔、干からびて滅ぶ寸前だった村の男が、助けを求めて精霊を呼んだ。
男は、精霊という生き物を信じてはいなかった。
それでも精霊に呼びかけたのは、そうしないと村が滅ぶしかないと悟っていたからだった。
「其方か、精霊を呼んでおるのは」
男の呼びかけに応じて現れたのは、美しい精霊だった。
降り注ぐ雪のように純白の髪。純度の高い氷のように、キラキラと輝くシルバーグレーの瞳。
――氷の精霊だ
男はその存在を見た瞬間に、そう思った。
ふわりふわりと宙に浮かぶ、人だと言うには余りにも美しすぎる氷の精霊は、まさに氷の化身のように映った。
美しい、けれど冷たい氷。
……しかし、それは間違いだと直ぐに知った。
冷たい氷のような印象を与える精霊は、本当に優しい心の持ち主だったから。
氷の精霊は、枯れた村に氷の恩恵を与えてくれた。
氷の精霊は、「暇つぶし」と言いながら、救いの手を差し伸べてくれた。
「氷の精霊様、本当にありがとうございます」
「……此方の手は、冷たくはないか?」
男は、自分に向かって手を伸ばした氷の精霊が、途中でその手を止めるのを何度も見ていた。
人とは違う温度など、男は気にも留めなかったと言うのに。
それでも「冷たいから」と、触れる事すら躊躇う氷の精霊は優しくて、どこまでも優しくて。
男は優しい氷の精霊の幸せを、心の底から願っていた。
自分の短い寿命もどうでも良くて、死んでしまうその瞬間まで、氷の精霊のことを想っていた。
……
…………
………………
体という器から魂が抜けて、数十年。
男は氷の精霊の涙を初めて見た。
冷たい印象を与える氷のようなシルバーグレーの瞳から、まるで氷が溶けてしまったかのように、涙が次々に流れ落ちていた。
『氷の精霊様、そんなに泣いてしまったら、溶けてしまいますよ』
男はその光景に驚いてパチリと瞬きをして、それから、氷の精霊に向かって手を伸ばした。
『溶けても良い。溶けても良いから、此方は其方と……ソリスと共にありたい』
氷の精霊も男の名前を呼びながら、男に向かって手を伸ばした。
もう冷たくはない氷の精霊の手と、男の手が触れあって、お互いの熱が混ざり合う。
いっそ溶けて、氷の精霊と一つになって、ずっと一緒に居ることが出来れば良いのに、と。
男はそんな事を思って、氷の精霊の手を握り締めた。
【あとがき】
ずっと書きたかった氷の精霊と、
氷の精霊が忘れられなかった人間の話を書くことができました!
正直、バッドエンドかハッピーエンドか、読み手によって変わるとは思います。
氷の精霊は男に会えて幸せを知り、
男に置いて逝かれてしまって寂しさを知り、
けれど男の「幸せになって」の言葉で、失った幸せを求めて生き続けて、
溶けてしまって、やっと求めていた幸せを手にすることが出来たと思います。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
次はガストンの話を……書けたら更新したいと思います!
その知らせを氷の精霊が聞いたのは、男が山を下った僅か数時間後のことだった。
山を下りて、男は村に着いた途端に息絶えたらしい。
雪の積もった地面に寝かされていた男は、安心したような表情を浮かべていた。
苦痛も何もないような、まるで眠っているだけのような、穏やかな表情だった。
男の亡骸の元へ向かった氷の精霊は、初めて自分から男の手に触れた。
男から氷の精霊に触れたことは何度かあった。
しかし、氷の精霊から手を伸ばしたのは、これが初めてのことだった。
氷の精霊が触れた男の手は、今まで触れた男のどんな手よりも冷たくて。
誰よりも優しかった男の手は、氷の精霊の手を握り返すことはしなかった。
「……そうか。其方、死んだのか」
呟いた氷の精霊の頬を、何かが伝って落ちていった。
パチリと瞬きをして、氷の精霊は自身の視界がぼやけていることに気が付いた。
氷の精霊は、氷の精霊である自分が水も出せることを、涙と言うものを流せることを、初めて知った。
「此方は……其方が好きだったのかもしれないのぅ……」
涙を流した氷の精霊の心は、疾うの昔に、ドロドロに溶かされてしまっていた。
氷の精霊の幸せを願う、触れただけで折れてしまいそうな男の、力強い言葉によって。
◇ ◆ ◇
男が居なくなっても、世界は変わらずに回り続ける。
気が付けば男が死んでしまってから、数十年以上の時が経っていた。
変わらぬ世界。
氷山で一人きりだった時と何一つ、変わっているものはない。
……はずなのに。
どうしてだろうか?
同じ世界のはずなのに、温もりを教えられた世界はまるで、別の物のようだった。
氷の精霊は、与えられる温もりの心地よさを知ってしまった。
誰かと共に過ごす時は、一人きりで雪に埋もれるだけの時間よりも、もっとずっと幸せなのだと知ってしまった。
氷の精霊を溶かしたあの熱はもう、この世界のどこにも無いと言うのに。
溶けた心で見る世界は、美しくて、優しくて。温かくて
……それから少し、寂しかった。
◇ ◆ ◇
それからしばらくの時が経って。
昔に村を枯らした魔物が……魔王の配下の炎鳥が復活した。
放って置いても良かったのだけれど、氷の精霊は炎鳥の元へ向かった。
炎鳥を放っておけば、再び村を枯らされてしまうかもしれなかったから。
轟々と燃える炎鳥の姿を前に、氷の精霊は不思議な気持ちになった。
炎鳥が居なければ、男に会うことは出来なかった。
しかし炎鳥が居なければ、男があんなに早くに死ぬことはなかったかもれない。
感謝をしたいような、憎みたいような、不思議な気持ちだった。
「此方は感謝もしておる。炎鳥が居なかったなら、此方はここに立っては居なかったからのぅ」
炎鳥は氷の精霊を見て、一層体の炎を大きく燃やした。
「我が友ハルジオンを害した人間を、我は許さぬ。止めるというのなら、貴様も殺す」
何もかもを破壊したいとでも言うように、ギラギラと瞳を輝かせる炎鳥の姿に、氷の精霊はスッと目を細めた。
憎しみや悲しみ、そういったものに囚われている炎鳥の姿は……もしかしたら氷の精霊だったかもしれない。
例えば氷の精霊の愛した男が、死の間際に立ってなお、氷の精霊の幸せを願うような、どこまでも優しい男でなければ……
……男を殺した原因である炎鳥を殺すため、世界を凍てつかせたのは氷の精霊であったかもしれないから。
だからなんとなく氷の精霊には、炎鳥の気持ちも分かるような気がした。
「だが、あの悪夢のような光景を繰り返す訳にはいかないのじゃ」
氷の精霊はそう言って、魔力を広げていく。
長い年月が経ってなお、氷の精霊は男のかさついた手の感触を忘れてはいなかった。
水分を失ってひび割れて、それでも温かくて優しかった男の手を……
……男と同じ苦しみを、氷の精霊は二度と村の子供に味わわせたくはなかった。
凍てつかせる氷に、氷を溶かしてしまう炎。
相性は不利で、氷の精霊は何度も炎鳥の炎の熱に飲み込まれた。
どろりと体が溶かされて、しかし氷の精霊は、熱いとは思わなかった。
氷の精霊が熱いと思ったのは、遠い昔、男に触れられた時だけ。
あの時に溶かされてしまった氷の精霊の心は、いまだ凍り付くことは無いままだったから。
氷が溶けて、
再び凍って。
炎を凍らせて、
炎に溶かされて。
炎鳥を追い払った氷の精霊は、ドロリと形を失った自分の手を凍らせようとして、けれど止めた。
もしも氷の精霊に終わりがあるのなら……
永久に近い時を生きる精霊の終わりが、あるとするなら……
もう一度、自分を溶かしたあの熱に触れたいと思ってしまったのだ。
熱くて、
脆くて、
……離れ難い、男の手の体温に。
『氷の精霊様。誰よりも優しい、氷の精霊様』
男の声がした気がした。
氷の精霊は、そちらの方向を見た。
白い光の中、男が昔と変わらぬ笑顔を浮かべているような気がした。
『 』
氷の精霊は男の名前を呼んだ。
ずっと呼びたくて、けれど呼べなかった名前だった。
◇ ◆ とある男が呼んだ、美しい氷の精霊 ◆ ◇
昔、干からびて滅ぶ寸前だった村の男が、助けを求めて精霊を呼んだ。
男は、精霊という生き物を信じてはいなかった。
それでも精霊に呼びかけたのは、そうしないと村が滅ぶしかないと悟っていたからだった。
「其方か、精霊を呼んでおるのは」
男の呼びかけに応じて現れたのは、美しい精霊だった。
降り注ぐ雪のように純白の髪。純度の高い氷のように、キラキラと輝くシルバーグレーの瞳。
――氷の精霊だ
男はその存在を見た瞬間に、そう思った。
ふわりふわりと宙に浮かぶ、人だと言うには余りにも美しすぎる氷の精霊は、まさに氷の化身のように映った。
美しい、けれど冷たい氷。
……しかし、それは間違いだと直ぐに知った。
冷たい氷のような印象を与える精霊は、本当に優しい心の持ち主だったから。
氷の精霊は、枯れた村に氷の恩恵を与えてくれた。
氷の精霊は、「暇つぶし」と言いながら、救いの手を差し伸べてくれた。
「氷の精霊様、本当にありがとうございます」
「……此方の手は、冷たくはないか?」
男は、自分に向かって手を伸ばした氷の精霊が、途中でその手を止めるのを何度も見ていた。
人とは違う温度など、男は気にも留めなかったと言うのに。
それでも「冷たいから」と、触れる事すら躊躇う氷の精霊は優しくて、どこまでも優しくて。
男は優しい氷の精霊の幸せを、心の底から願っていた。
自分の短い寿命もどうでも良くて、死んでしまうその瞬間まで、氷の精霊のことを想っていた。
……
…………
………………
体という器から魂が抜けて、数十年。
男は氷の精霊の涙を初めて見た。
冷たい印象を与える氷のようなシルバーグレーの瞳から、まるで氷が溶けてしまったかのように、涙が次々に流れ落ちていた。
『氷の精霊様、そんなに泣いてしまったら、溶けてしまいますよ』
男はその光景に驚いてパチリと瞬きをして、それから、氷の精霊に向かって手を伸ばした。
『溶けても良い。溶けても良いから、此方は其方と……ソリスと共にありたい』
氷の精霊も男の名前を呼びながら、男に向かって手を伸ばした。
もう冷たくはない氷の精霊の手と、男の手が触れあって、お互いの熱が混ざり合う。
いっそ溶けて、氷の精霊と一つになって、ずっと一緒に居ることが出来れば良いのに、と。
男はそんな事を思って、氷の精霊の手を握り締めた。
【あとがき】
ずっと書きたかった氷の精霊と、
氷の精霊が忘れられなかった人間の話を書くことができました!
正直、バッドエンドかハッピーエンドか、読み手によって変わるとは思います。
氷の精霊は男に会えて幸せを知り、
男に置いて逝かれてしまって寂しさを知り、
けれど男の「幸せになって」の言葉で、失った幸せを求めて生き続けて、
溶けてしまって、やっと求めていた幸せを手にすることが出来たと思います。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
次はガストンの話を……書けたら更新したいと思います!
65
お気に入りに追加
7,808
あなたにおすすめの小説
最後にひとつだけお願いしてもよろしいでしょうか
鳳ナナ
恋愛
第二王子カイルの婚約者、公爵令嬢スカーレットは舞踏会の最中突然婚約破棄を言い渡される。
王子が溺愛する見知らぬ男爵令嬢テレネッツァに嫌がらせをしたと言いがかりを付けられた上、
大勢の取り巻きに糾弾され、すべての罪を被れとまで言われた彼女は、ついに我慢することをやめた。
「この場を去る前に、最後に一つだけお願いしてもよろしいでしょうか」
乱れ飛ぶ罵声、弾け飛ぶイケメン──
手のひらはドリルのように回転し、舞踏会は血に染まった。
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
【完結】家族にサヨナラ。皆様ゴキゲンヨウ。
くま
恋愛
「すまない、アデライトを愛してしまった」
「ソフィア、私の事許してくれるわよね?」
いきなり婚約破棄をする婚約者と、それが当たり前だと言い張る姉。そしてその事を家族は姉達を責めない。
「病弱なアデライトに譲ってあげなさい」と……
私は昔から家族からは二番目扱いをされていた。いや、二番目どころでもなかった。私だって、兄や姉、妹達のように愛されたかった……だけど、いつも優先されるのは他のキョウダイばかり……我慢ばかりの毎日。
「マカロン家の長男であり次期当主のジェイコブをきちんと、敬い立てなさい」
「はい、お父様、お母様」
「長女のアデライトは体が弱いのですよ。ソフィア、貴女がきちんと長女の代わりに動くのですよ」
「……はい」
「妹のアメリーはまだ幼い。お前は我慢しなさい。下の子を面倒見るのは当然なのだから」
「はい、わかりました」
パーティー、私の誕生日、どれも私だけのなんてなかった。親はいつも私以外のキョウダイばかり、
兄も姉や妹ばかり構ってばかり。姉は病弱だからと言い私に八つ当たりするばかり。妹は我儘放題。
誰も私の言葉を聞いてくれない。
誰も私を見てくれない。
そして婚約者だったオスカー様もその一人だ。病弱な姉を守ってあげたいと婚約破棄してすぐに姉と婚約をした。家族は姉を祝福していた。私に一言も…慰めもせず。
ある日、熱にうなされ誰もお見舞いにきてくれなかった時、前世を思い出す。前世の私は家族と仲良くもしており、色々と明るい性格の持ち主さん。
「……なんか、馬鹿みたいだわ!」
もう、我慢もやめよう!家族の前で良い子になるのはもうやめる!
ふるゆわ設定です。
※家族という呪縛から解き放たれ自分自身を見つめ、好きな事を見つけだすソフィアを応援して下さい!
※ざまあ話とか読むのは好きだけど書くとなると難しいので…読者様が望むような結末に納得いかないかもしれません。🙇♀️でも頑張るます。それでもよければ、どうぞ!
追加文
番外編も現在進行中です。こちらはまた別な主人公です。
私が死んで満足ですか?
マチバリ
恋愛
王太子に婚約破棄を告げられた伯爵令嬢ロロナが死んだ。
ある者は面倒な婚約破棄の手続きをせずに済んだと安堵し、ある者はずっと欲しかった物が手に入ると喜んだ。
全てが上手くおさまると思っていた彼らだったが、ロロナの死が与えた影響はあまりに大きかった。
書籍化にともない本編を引き下げいたしました
婚約者に毒を飲まされた私から【毒を分解しました】と聞こえてきました。え?
こん
恋愛
成人パーティーに参加した私は言われのない罪で婚約者に問い詰められ、遂には毒殺をしようとしたと疑われる。
「あくまでシラを切るつもりだな。だが、これもお前がこれを飲めばわかる話だ。これを飲め!」
そう言って婚約者は毒の入ったグラスを渡す。渡された私は躊躇なくグラスを一気に煽る。味は普通だ。しかし、飲んでから30秒経ったあたりで苦しくなり初め、もう無理かも知れないと思った時だった。
【毒を検知しました】
「え?」
私から感情のない声がし、しまいには毒を分解してしまった。私が驚いている所に友達の魔法使いが駆けつける。
※なろう様で掲載した作品を少し変えたものです
最愛の側妃だけを愛する旦那様、あなたの愛は要りません
abang
恋愛
私の旦那様は七人の側妃を持つ、巷でも噂の好色王。
後宮はいつでも女の戦いが絶えない。
安心して眠ることもできない後宮に、他の妃の所にばかり通う皇帝である夫。
「どうして、この人を愛していたのかしら?」
ずっと静観していた皇后の心は冷めてしまいう。
それなのに皇帝は急に皇后に興味を向けて……!?
「あの人に興味はありません。勝手になさい!」
婚約破棄?王子様の婚約者は私ではなく檻の中にいますよ?
荷居人(にいと)
恋愛
「貴様とは婚約破棄だ!」
そうかっこつけ王子に言われたのは私でした。しかし、そう言われるのは想定済み……というより、前世の記憶で知ってましたのですでに婚約者は代えてあります。
「殿下、お言葉ですが、貴方の婚約者は私の妹であって私ではありませんよ?」
「妹……?何を言うかと思えば貴様にいるのは兄ひとりだろう!」
「いいえ?実は父が養女にした妹がいるのです。今は檻の中ですから殿下が知らないのも無理はありません」
「は?」
さあ、初めての感動のご対面の日です。婚約破棄するなら勝手にどうぞ?妹は今日のために頑張ってきましたからね、気持ちが変わるかもしれませんし。
荷居人の婚約破棄シリーズ第八弾!今回もギャグ寄りです。個性な作品を目指して今回も完結向けて頑張ります!
第七弾まで完結済み(番外編は生涯連載中)!荷居人タグで検索!どれも繋がりのない短編集となります。
表紙に特に意味はありません。お疲れの方、猫で癒されてねというだけです。
王太子妃は離婚したい
凛江
恋愛
アルゴン国の第二王女フレイアは、婚約者であり、幼い頃より想いを寄せていた隣国テルルの王太子セレンに嫁ぐ。
だが、期待を胸に臨んだ婚姻の日、待っていたのは夫セレンの冷たい瞳だった。
※この作品は、読んでいただいた皆さまのおかげで書籍化することができました。
綺麗なイラストまでつけていただき感無量です。
これまで応援いただき、本当にありがとうございました。
レジーナのサイトで番外編が読めますので、そちらものぞいていただけると嬉しいです。
https://www.regina-books.com/extra/login
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。