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教えてもらった、幸福の話
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「主様は幸せですか?」
主様の手が私の頭を撫でる。
あの日、主様に連れ出されたあの日からもう、一年の月日が経っていた。未だに毒素の抜けきれない奇妙な紫色に染まる私の髪を「サラサラだな」なんて、主様以外に言う人などいない。
「あぁ、幸せだ」
「何故ですか?」
主様は少し考えてから言う。
「今日の夕飯は確か林檎がついていた。シャウラは林檎が好きだっただろう」
主様は「四号」だったはずの私を「シャウラ」と呼び、優しい手つきで触れる。
乱暴にされても毒兵器の私は壊れないのに、主様はいつもそうだった。
「主様は林檎を好きではないです」
「そうだな」
「それでも幸せなのですか?」
「シャウラが嬉しいのであれば、俺は幸せだと思う」
そういうものだろうかと私は思った。
しかし、私に幸せのことを教えてくれる人なんて、主様の他には誰も居なかったから、きっとそういうものなのだろうと思った。
「シャウラ、もうしばらくしたら戦争が始まる。その前にお前はこの国を出なさい。戦争が終わるまで、どこかで身を隠すんだ」
戦争の種火はもう、国中の至る所で燻っていた。
何時になく真面目な顔で言う主様に、私は「はい」と答えた。
主様がそう言うのだから、それが正解なのだろう。
主様の手が私の頭を撫でる。
あの日、主様に連れ出されたあの日からもう、一年の月日が経っていた。未だに毒素の抜けきれない奇妙な紫色に染まる私の髪を「サラサラだな」なんて、主様以外に言う人などいない。
「あぁ、幸せだ」
「何故ですか?」
主様は少し考えてから言う。
「今日の夕飯は確か林檎がついていた。シャウラは林檎が好きだっただろう」
主様は「四号」だったはずの私を「シャウラ」と呼び、優しい手つきで触れる。
乱暴にされても毒兵器の私は壊れないのに、主様はいつもそうだった。
「主様は林檎を好きではないです」
「そうだな」
「それでも幸せなのですか?」
「シャウラが嬉しいのであれば、俺は幸せだと思う」
そういうものだろうかと私は思った。
しかし、私に幸せのことを教えてくれる人なんて、主様の他には誰も居なかったから、きっとそういうものなのだろうと思った。
「シャウラ、もうしばらくしたら戦争が始まる。その前にお前はこの国を出なさい。戦争が終わるまで、どこかで身を隠すんだ」
戦争の種火はもう、国中の至る所で燻っていた。
何時になく真面目な顔で言う主様に、私は「はい」と答えた。
主様がそう言うのだから、それが正解なのだろう。
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